「産むべきという“圧”がしんどい」と感じたら。自分の思い込みを捨てる時かも

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 こんにちは、コラムニストのおおしまりえです。

 前回、前々回と2回にわたり、子を持たない女性を応援する「マダネ プロジェクト」を運営する、くどうみやこさんに話を聞いてきました。

 そこで感じたことは2つ。1つめは、子を持たない女性はまだまだマイノリティで、旧時代の価値観によって、想像以上に肩身の狭い思いをする人もいるという事実。
 2つめは、日本の女性には、当人にもそれ以外の人にも、思い込みの圧があるなという点です。それを、言葉は悪いですが、“呪い”のようなものだと改めて感じます。

 その思い込みという呪いが、20代では結婚への焦りになり、30代は出産への焦りになり、そして40代以降の子どもを持たない人には、罪悪感や疎外感といった感覚となり、その人を苦しめるのかなと。今回は、こうした呪いにとらわれず、自分らしい幸せを見つけるためにできることについて話してもらいました。(以下、「」内コメントはくどうさん)

◆出産や育児が賞賛されても、“圧”だと思わなくていい

「自分らしく生きる」という言葉は今の時代、女性に限らず多くの人がよく耳にする言葉。

 その一方で、出産が祝福されて育児が賞賛されるのは、自然なことでしょう。社会全体として少子高齢化への危機感もあり、その空気が消えることはない。私たちが、それを“圧”と捉えてしまったり、「女性は子を産むべし」という価値観に悩んだりすることなく、自分らしさを見つけるために、できることはあるのでしょうか。

「私自身、『マダネ プロジェクト』を通じて、これまで約500人の価値観に触れて視野が広がり、考えが変わった1人です。その経験から言えるのは、いろんな立場の人の話を聞き、『女性は結婚して出産してこそ』とか『お嫁さんになるのが幸せ』みたいな、『こうあるべき』という思い込みを捨て、『私はこう思う』という自分自身の考えを少しずつ持つことが大事だということ。

 子を持たない生き方は女性の人生の1つの選択肢だと思うのですが、当事者の声を聞くキッカケは現状すごく少ないです」

◆「産んで育てて働くのがデフォルトと思ってた」

「以前、女子大生の方々に話をする機会があったのですが、その感想の中に、『少子化だから産んで育てて働くのがデフォルトだと思っていた』という声がありました。今まで、産むことを前提として、仕事と両立するための話しか聞いてこなかったわけです。彼女の感想を聞き、これも一種の刷り込みになってしまわないかと危惧(きぐ)しました」

 昔は「女性は子を産んで一人前」といった価値観がありましたが、今は「子を産んで働くことを早くから準備しよう」というデフォルトに変わっているとすれば、ちょっと驚きというか、怖さを感じました。

「本来ライフコース(人生の道筋)には色々なものがあって、1つ1つを知った上で、自分にとっての最適な道を見つけていくことが望ましいです。参加者の中には、親に圧をかけられてずっと苦しかったという女性もいました。少子高齢化は社会問題ではありますが、子を持たなくても社会の一員として子育てに貢献することはできます。子がいないからと卑屈になるのではなく、もっと柔軟な選択肢を持てるように、たくさんの方の話を聞いていただきたいですね」

◆子を持たない生き方に対して、少しずつ見方が変わってきた

 今回「子を持つ人生、持たない人生」というテーマで私自身考えを整理する中で、まだまだ自分の中にも“呪い”があることに気付かされました。この呪いは、出産適齢期には焦りになり、それを過ぎて達成できないと罪悪感みたいなものに変わることが、話を聞く中でよく理解できました。

「社会としては、できるだけ産んで欲しいし働いても欲しいという実情は理解できますし、今後もそこは変わらないと思います。もちろん、子どものいる人が社会的な保障を受け、尊重されることは大切なことです。でも、子どものいない人には“多様性を大事に”といった耳ざわりのいい言葉が聞こえてくるだけで、実際は蚊帳(かや)の外に置かれてしまうことが多い。この辺りも私たちが生きづらさを感じる部分です。

 ただ、8年こうした活動をしていると、ゆっくりと一歩ずつではありますが、子を持たない生き方も着目され始めたような感覚があります。だからこそ、これからも声を発し続けるのは大事だなと思います」

◆「違う」をフラットに受け入れられる人でいたい

「みんなちがって、みんないい」
 この言葉をつづったのは、詩人、金子みすゞさん(1903-1930年)です。

 この詩が生まれてから、大正・昭和・平成と3つの時代が過ぎ、令和という4つめの時代に私たちはいます。もしかしたら今やっと、「みんなちがって、みんないい」の言葉を実現できるような世になり始めているのかもしれません。

 私達の周りには、当たり前ですが自分と違う考えを持った人や、違う人生の選択肢を取った人しかいません。異なる価値観を持つ相手と向き合ったとき、善悪のジャッジや決めつけをせず、フラットにその人を見て、受け止めていけるような人でありたい。同時に、いつだって自分自身も思い込んだ価値観で自分をジャッジすることなく、前向きに悩み、そして答えを出し続けていきたい。そう考え、改めて背筋をシャンとするのでした。

【取材協力】くどうみやこ(大人ライフプロデューサー/トレンドウォッチャー)
大人世代のライフスタイルからマーケティングまで、時流やトレンドをとらえた独自の視点で情報を発信。近年は子どもをもたない大人のマーケットに着目し、子どものいない女性を応援する「マダネ プロジェクト」を主宰。

<取材・イラスト・文/おおしまりえ>

【おおしまりえ】
水商売やプロ雀士、素人モデルなどで、のべ1万人以上の男性を接客。現在は雑食系恋愛ジャーナリストとして年間100本以上恋愛コラムを執筆中。Twitter:@utena0518

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