オーストラリア人女性、扁桃腺の手術後目覚めたらアイルランド訛りに

オーストラリアに住むアンジー・マッキエンさん(Angie Mcyen、27)が、扁桃腺の摘出手術を受けたのは先月21日のことだった。手術は約30分と簡単なものだったが、アンジーさんはその7日後の28日、自分が話す言葉のアクセントがいつもと違うことに気付いた。

そして先月30日、TikTokに最初の動画を投稿し、次のような衝撃の告白をした。

「シャワーを浴び、いつものように音楽を聴きながら歌を歌い始めたの。すると突然、自分がアイルランド訛りになっていたの。最初は他の人の声かと思って『まさか』と信じられなかったけど、今は本当にそうなのでは…と頭から離れないの。」

パニック状態のアンジーさんはその後、すぐに友人に電話。するとその友人は「以前、YouTubeの動画で見たことがあるんだけど、それは『外国語様アクセント症候群(FAS)』かもしれないね」と言って、病気について書かれたリンクを送ってきたという。

「それを読んでいたら、FASは脳卒中が原因になることがあると書かれていて。その日のうちに病院に行ったわよ」と当時を振り返るアンジーさん。ただ医師には「もしかしたら声帯が損傷しているのかもしれないけど、健康には全く問題はないよ。きっとすぐに良くなるから、ゆっくり休むことだね」と言われて帰宅したそうだ。

それでもアイルランド訛りがなくなることはなく、最初は半信半疑だった家族や友人らも次第に「これは冗談ではない」と気付いたという。

アンジーさんはTikTokにこれまでの経緯を投稿しており、コメント欄には「何をバカなことを言ってるんだ」と非難する声も多数見られた。

そんなコメントに対し、アンジーさんは「私が冗談を言っているという人もいるけど、日に日に『自分は間違いなくFASである』という思いを強くしているの。FASというのは、私の脳に何かが起きているということで、笑い事ではないと思う。だからこのプラットフォームを通して、FASについてみんなに知ってもらいたいと思っているわ」と語っている。

現在アンジーさんはMRIや血液検査などを受け、神経科医やスピーチセラピストとの予約も入れているそうで「幸運なことに、今は家族や友人が私を支えてくれているの。もし私の脳に異常があるのなら、しっかり治療できることを願っているわ」と真剣な眼差しで述べている。

なおFASは通常、脳卒中や偏頭痛、頭部の外傷などで発症するとされており、豪シドニーのマッコーリー大学の教授でスピーチセラピストであり、言語機能障害に詳しいリンジー・ニッケルズ氏(Lyndsey Nickels)は「扁桃腺の手術後に発症したというケースは聞いたことがない珍しいケース」と語り、このように続けた。

「FASは、脳の損傷により発声するための筋肉のコントロールが困難になることで起きると言われる。これによりアクセントやリズムが変わり、あたかも違う言語を話しているように聞こえるのだ。」

ちなみにFASは1907年に最初の症例が報告されており、オーストラリア在住の科学者で過去に「イグノーベル賞」を受賞したことがあるカール・クルスツェルニキ博士は、アンジーさんのTikTokの中で次のように述べている。

「現在までに報告されている患者は150人ほどだが、実際はもっと多いはず。ただ発症の原因は脳の損傷だけとは限らず、まだまだ未知数の分野である。それでもスポーツで怪我をした時と同じように、FASも治療が可能なんだ。スピーチの訓練をすることでね!」

画像は『angie.mcyen 2021年5月1日付TikTok「Day 4: I woke up with an Irish accent 4 days ago.」、2021年5月12日付TikTok「Reply to @marc.com.au Day 14」』のスクリーンショット

(TechinsightJapan編集部 A.C.)

2021/5/16 5:00

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