等身大で暮せる“田舎都市”!? 「二子玉川」の魅力に迫る

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 東急田園都市線の急行で渋谷駅から2駅、所要時間約11分で到着する東京・二子玉川地区。電車を降りると、30階建ての楽天本社ビルなどが目に飛び込み、振り返れば街を象徴する高島屋が出迎えてくれる。高級ブランド店が並ぶ歩道は、開放的な雰囲気で整備されており、歩くだけでワンランク上の気分を楽しめるおしゃれな街だ。ニコタマダムが日常的にブランド品を買い、休日になると高級輸入車が駐車の列を作っているセレブなイメージもあるが、実は田舎が息づく街でもある。

 二子玉川の「都市」としての歴史は比較的浅い。世田谷区は、かつて近郊農村として栄えていたが、1960年代からベッドタウンとしての需要が高まり住宅都市へと移り変わった。区は、さらに都市の核を作るため、87年に二子玉川地域を対象とした都市再開発の計画原案を策定し、15年に「二子玉川ライズ」を完成。約30年を費やして、商業施設・オフィス・住宅を備えた新しい街をつくり上げたのだ。10年ごろに分譲を始めた高級マンションは、都市開発とあわせて人気を博し、高所得者の転入によってセレブな街へと変化を遂げた。
 駅近2LDKの低層マンションが、中古でも7000万円ほどで売られているケースもある。そんな二子玉川で生活するにはハードルが高くて浮いてしまうと思われがちだが、意外とそうでもない。高島屋から5分も歩けば創業50年以上の店が軒を連ねる商店街にたどり着き、さらにその先はゆったりとした時間を感じさせてくれる住宅街と畑が現れる。
 住宅の間には畑がいくつもあり、日中、農作業に勤しむ人々が軽トラを走らせている。直売所も設けられており、区のブランドである「せたがやそだち」の野菜や果物が安価に購入可能だ。住民も地方出身の若い転入者が多く気軽に交流を楽しめるし、行政の子育て支援が充実しているため、育児にもお金が比較的かからない。駅一帯の開発エリアを抜ければ、等身大で生活できる街なのである。狸もいればザリガニも釣れる二子玉川は、かつて農村だった頃の面影をしっかりと残している。
 二子玉川における20年前の街を知る人は、近年の発展とセレブの街という持ち上げ方が滑稽との見方もある。しかし、“都会の便利さが享受できる田舎”に住むことは一番の贅沢ではないかと考えることができる。地方では、高齢者が車を手放すことができないし、若者も都会から戻らない傾向がある。一方、都会は、窮屈さや生活コストの高さで精神的な豊かさを得るのが難しい。ここ、二子玉川には人間の生活の理想があるのではないだろうか。(フリーライター・me_me)

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  • 5/15 19:00
  • BCN+R

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