120歳まで現役で生きるために。「健康の常識」を疑うことで見えてきたもの

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企業グループオーナー兼作家である金森重樹氏が、2か月で90㎏から58㎏の減量に成功した経験をもとに出版した『ガチ速“脂”ダイエット』とその続編である『極上レシピ大全』のガチ速シリーズ。「運動ゼロ空腹ゼロでもみるみる痩せる」ダイエットメソッドを分かりやすく解説した。本連載では、そんな『ガチ速』シリーズには収めきれなかった話を紹介していく。

◆そもそも、金森式ってなに?

 金森式のメソッドには、大きく3つのポイントがあります。

 まず第一に、「断糖高脂質食」という食事方法を徹底すること。糖質制限と勘違いされがちですが、本質的には断糖こそ最適解。完全に糖を断ち、脂をたっぷり摂ることでケトン体をエネルギー源にするよう体内回路が切り替わり、みるみる内臓脂肪が消えていきます。

 2つ目に、サプリメントを積極的に摂取することで「質的栄養失調」を解消すること。「ビタミン、ミネラルは野菜や果物から摂取しなければならない」という思い込みは捨てましょう。無駄な糖質、健康を阻害する農薬などを摂取するくらいなら、サプリで補うほうがよほど効率が良いです。

 それらを踏まえ、一日の食事を「1.5食」にするインターミッテント・ファスティングな生活を定着させること。一日3食という習慣にも疑問を持つべき。肥満の人は、ダラダラと一日中何かを食べることでインスリンが出っ放しになることが多い。タンパク質を食べない時間を24時間作るのが理想です。

 現代人の抱える肥満を「食」というアプローチから解決する試みが、ガチ速シリーズの2冊でした。こうした食生活を続けることで、リバウンドすることなく2年が経とうとしています。

◆論文を読み、情報発信する最終ゴールは“健康長寿”

 僕は何事にも「徹底して理詰めで当たる」のがモットー。最近は50代にしてここまで変化した自分自身の体が面白くて仕方がないのですが、収穫は減量だけではありませんでした。興味の赴くまま、多くの文献や最新の研究を読み解くうちに「健康長寿」との密接な関係が立体的に浮かび上がってきたのです。

 たとえば「太く短く生きたい」と口に出す人は多い。けれども、現代の医療はそれを許してくれません。50代まで暴飲暴食を繰り返すような自堕落な生活を送った後には何が待っているか。糖尿病になれば定期的に透析を受けなくてはならない不自由な暮らしが待っているし、実際病院には管につながれたまま、ただ死を待つ老人が繭のように寝たきりになっている。

 これでは果たして生きていると言えるのかどうか。少なくとも僕にはそう思えません。

 僕は、現実的なビジョンを持って「120歳まで現役で生きる」ことを真剣に考えています。食から始まったガチ速メソッドですが、突き詰めれば「健康長寿」こそが最終ゴール。そのために日々学び、その知見をツイッターで発信することで、同じ志を持つ人から新たなフィードバックをもらうという好循環も生まれています。

◆「健康の常識」を疑うべし。現代人の不調の大元を再考

 肥満に代表される現代人の不調を理解するには、旧石器時代の人類の暮らしに思いを馳せることがとても役立ちます。旧石器時代、すなわち農耕が開始される前の狩猟採集型の生活です。

 そもそも旧石器時代の食生活がどんなものだったかと言えば、肉、魚、ナッツ類が中心でした。米や小麦といった穀物やイモ類=糖類を食べていなかったため、虫歯や歯周病にかかることもなく、死ぬまで親知らずが残るなど、現代人よりも遥かに良好な口腔環境を持っていたといいます。

「人類は農耕によって退化していった」――耳の痛い現実を1930年代に説いていたプライス博士の慧眼は、歯周病が脳卒中やがんなど死に至る病を引き起こす要因であることが明らかになった今こそ、一聴に値する説だと思います。

◆正しいルーツを学ぶには旧石器時代に着目せよ!

 こうした人類学的アプローチで最新研究に目を向けると、さらに興味深いニュースに出合いました。2019年に、前期旧石器時代の遺物が多く発見されているイスラエルのケセム洞窟から、旧石器時代の人類が動物の骨髄を主食にしていたことを裏づける物的証拠が見つかったのです。

 現代人は赤身肉のみを可食部としていますが、もともとは大型肉食獣などが食べ残した骨を洞窟に持ち帰り、骨に付着した肉からタンパク質と脂質、骨髄に含まれるビタミン、鉄、カルシウム、マグネシウムを摂取していました。

 このことからも、穀物や野菜が本質的に人類にとって必要ないことがわかり、『ガチ速』の基本理論となる「断糖高脂質食」への確信を強めていきました。

 人類学や生化学、栄養学を横断して突き詰めていくと、現代人が妄信する「健康の常識」は、実は非常識であることがとても多いことに気がつきます。

 そして、それは当然のように「食生活」に限らず、例えばエアコンの利用など体温調節の必要がなくなった住環境、足の機能を無視した靴の存在など、あらゆる点で健康を蝕む習慣が溢れています。

 コンクリートジャングルに生きる僕たちが、今からサバンナを生きた旧石器人と同じ生活をすることは現実的ではありません。ただ、本質的な健康にアプローチする重要なエッセンスを見誤らなければ、30㎏の減量をはじめとした不調の改善は簡単にできます。

 次回は、僕が実践している食以外のそうした習慣を紹介します。

◆健康長寿を正しく知るための、珠玉の一冊

 このコーナーでは、毎号一冊、僕が『ガチ速』メソッドにたどり着くまでに感銘を受けた素晴らしい書籍を紹介していきたいと思います。

『親指はなぜ太いのか 直立二足歩行の起源に迫る』島 泰三著(中公新書/2003年)

 本書は人類の手の形状が他の霊長類に例のない異質なものであることに着目し、初期人類の主食がなんであったのか?という謎に挑むもの。出版社が「スリリングな知の冒険」と紹介しているけど、まさにその通り! ちょっと冒頭だけ読んで寝るつもりが、徹夜で読破してしまったほど知的好奇心を大いに刺激されました。

 まず、僕が20世紀に教科書で学んだ常識が21世紀にはまったく変わってしまっていたことに驚いた。僕らはアウストラロピテクスが最古の人類と習ったけれど、ホモ・サピエンスの祖先じゃないなんてね。

 人類学にしても霊長類研究にしても、常識というのはどんどんアップデートして時に180度変わることさえあるんだ、ということを改めて感じたこともこの本を読んで得た大きな収穫です。

◆人類の進化の常識は日々アップデートしている

 著者は童謡で知られる猿のアイアイを長年研究していくなかで、霊長類の口と手の形態は主食によって決定されていることを発見する。そこから、1本だけ離れて生えている太くて短い親指とガラスをも噛み砕ける硬い歯を持つ初期人類は、拇指対向性の手で石を握り骨を割り、平らな歯列と臼歯によって骨をすり潰し、骨髄や脳を主食にしていたのではないか?という結論にたどり着きます。

 この本が出版されたのは2003年。この時点では霊長類の研究から見た「骨髄主食仮説」にとどまっていたことが、2019年にケセム洞窟で骨を缶詰のように保管して食べていたことが物証として発見されたことで、仮説は「仮」ではなくなった。

 ケセム洞窟では2020年にも40万年前の歯が発掘されています。人類学、考古学的にも人類の進化の常識は日々アップデートしている。こうした視点を再考できる一冊です。

<取材協力/仲田舞衣 撮影/高橋宏幸>

―[120歳まで現役で生きる]―


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  • 5/15 15:51
  • 日刊SPA!

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