黒木華「芸能界屈指の酒豪」がお取り寄せでシメにハマっているインド式カレーとは!?

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第70回 夢民

■『イチケイのカラス』の共演女優に勧められてハマる

 アイドルだってメシを食う。さて、数多いる女優の中には、「本格派」のお墨付きを登場時から受け、颯爽とデビューした天才肌も見かける。キャリアを舞台でスタートさせた、黒木華もそのうちの一人だ。しかし、ぼくは彼女を“アイドル”と呼ぶのにいささかの抵抗もない。子ども時分から映画ばかり観てきたので、自分にとってのアイドルには演技が付き物だ。

 つまり、何か役柄に染まって、自分の心の中に入ってくれてこそ、銀幕に映える若い娘はアイドルとなっていく。一部例外はあるが、山口百恵も松田聖子も本田美奈子もそうだった。

 この連載を引き受ける際も、「アイドルの定義とは?」としつこく、たぶん3回くらいは担当に訊いた。「鈴木さんがそう思えば、それがアイドルです」と答えるほど、編集長は寛大ではない。確か「見た目も美人で、アイドル的人気を博しているなら誰でもOK」という回答だった。であれば、黒木華は最高のアイドルだ。

 華が初主演した16年公開の映画、『リップヴァンウィンクルの花嫁』の監督、岩井俊二は彼女を評し「最も現代的」であり「平成の最先端女優」であると語っている。ハリウッドでは昔から、およそ女優に関してはエキゾチックな風貌が好まれるので、そうした傾向が念頭にあっての発言だ。

 華が海外受けするかはわからないが、いかにも和風な面立ちで、どこにでもいそうでいない存在感を醸す。この控えめさが日本の芸能界では武器になる。何にでも変化できるからだ。同じ年に『重版出来!』(TBS系)で連続ドラマにも初主演し、一躍お茶の間の人気も獲得。そして、岩井が「文学的な香りがする」とも評した女優はスターとなった。

 さて、緊急事態宣言も5月末までの延期と決まり、外食で酒も公然とは飲めないので、飲み助のほうが特に「ステイホーム」を意識せざるを得ない。この情勢を見越してか、去る3月31日放映の『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)では、黒木と石塚英彦が「お取り寄せ&テイクアウトで美味しかったグルメベスト3」を公開した。同番組ではベストバイ企画が何回か放送されていて、今回はそのグルメ版だったとか。

 そこで華が第3位として最初に挙げた「夢民」のカレーは、かつては西早稲田にあり、早大生のソウルフードとして知られた。創業から38年も愛されながら、12年末には閉店。15年に江東区青海のダイバーシティ東京内にて復活を遂げた。

 確かゼロ年代初頭には、商標権とノウハウを業務用の調味料製造販売に委託し、都内でチェーン展開を図ったりもした。それら本店以外の店舗は後に「チャオカリー」と商号を変え、今は汐留店だけ存続している。

 ぼくも若い頃は高田馬場にある出版社で働いていたので、よく会社から15分の道程を歩いて夢民まで食べに行ったが、二日酔いの日に限って沁みるような、シャバシャバのカレーなのだ。創業者は過去にインド放浪もした、ヒッピーっぽい人だったが、目指したのはあくまで「インド式」。本場そのものではない食べやすさは、どこか宮崎などの冷や汁のような、日本の伝統的な汁かけご飯を彷彿とさせる。

 20種ものスパイスを調合して作られる、油や粉を使わないソースに、多くのメニューには炒めた野菜がふんだんに入る。サラリとして滋味深いのだ。それは女優、黒木華が醸す旨味とも共通する。

 華は新作ドラマ『イチケイのカラス』(フジテレビ系)で共演中の女優、桜井ユキに勧められてハマったといい、「ベーコンエッグ野菜カレー」がお気に入りと番組では語った。ぼくのお薦めはトマトとほうれん草の入った「ポパイカレー」だが、こちらもよく食べた。しかし、夢民がレトルトカレーの通販を行っているとは知らなかった……。

■ベストお取り寄せからもわかる酒好きっぷり

 黒木の他のベストお取り寄せだが、まず1位は「冷やして食べる唐揚げ・手羽中骨付(努努鶏)」。努努は“ゆめゆめ”と読むが、「決して」とか「断じて」の意味で、なんで手羽揚げの商品名となっているのか? どうも商品コピーの「決して温めないでください!」とリンクするようだ。

 彼女曰く「甘辛くて冷たいのに美味しい」。冷凍庫から出して5分~10分で自然解凍し、食べ頃を迎える。チェーン居酒屋のやきとりセンターの定番メニュー「夢のいいとこ鶏」と同じものだ。

 次いで2位は青森・八戸の魚問屋、鯖陣の「鯖の冷燻」。いわば、スモーク・マカレル(サバ)なのだが、試食した石ちゃんのコメント、「漁港の香りがする生ハム」がすべてを言い当てているのでは? 黒木曰く「鯖が燻製された良い香りとモッチリな食感」がポイントらしい。皮目を炙ってあって、これは見るからに旨そうで、同店の売上げランキングでもつねに1位の様子だ。

 ちなみに石ちゃんのベスト3は、ベイクド チャーシューバオ(ティム・ホー・ワン)・冷凍鯛ごはん(瓔珞)・マロンシャンティイ(パレスホテル東京)だそう。マロンシャンティイとはなんぞや? と検索をかけてみたら、生クリームの中に粗い粒状の栗が包まれたモンブランで、少し前に取材した、尾上松也さんの好物と言うではないか。こんな繊細な菓子が今では通販で買えるのだ。

 に引き替え、華の好みのほうが左党だ。要は男っぽい。努努鶏はビールの当てに恰好、鯖の冷燻は日本酒にも白ワインにも合うだろう。そして、その〆が夢民のカレーというわけだ。華は芸能界でも指折りの酒豪らしく、12年のNHKの朝の連続テレビ小説『愛と純』で共演して以来、女優の吉田羊とはよく飲み歩きに出る仲とか。赤ら顔で二人して夜の街を闊歩する姿をフライデーもされている。

 東京でも堂々と横紙破りをする居酒屋チェーンなどがあるが、黒木も今は職業柄、宅飲みに徹しているはずだ。実に漢らしい彼女と、いつか肩を組んで高歌放吟する日を夢見て、ぼくも我慢の日々を送るのか。しかし、それはいったいいつまで…?

(取材・文=鈴木隆祐)

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  • 5/15 10:00
  • 日刊大衆

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