末期ガンの38歳BL漫画家、退院した日に観劇へ「推しから生命力をもらった」

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 ポジティブ闘病記、『末期ガンでも元気です 38歳エロ漫画家、大腸がんになる』(フレックスコミックス)の著者である漫画家の「ひるなま」さん(@daicho_polaris)へのインタビュー前後編。

 執筆の際に気を配ったことや、発売後の周囲からの意外な反応などを聞いた前編に続き、後編では、「ひるなま」さんが影響を受けた漫画や、大腸ガンの手術をして退院した日に舞台『刀剣乱舞』を観に行った(!)というパワフルな「ひるなま」さんの、今の“推し”についてなど、人物像にも迫ります。

 また、今もなお続くコロナ禍で闘病を続ける「ひるなま」さんに、病を抱える人だけでなく、健康な人へのメッセージを聞きました。

◆きっかけは、『忍たま乱太郎』!?

――漫画家を目指すことに繋がったきっかけを教えてください。

ひるなまさん(以下、敬称略)「アニメ『忍たま乱太郎』の原作『落第忍者乱太郎』です。ドはまりして居ても立ってもいられず二次創作を描いたのが、初めて描いたストーリー漫画だったのですが、その時、私はもう29歳でした。

 それ以前からイラストのお仕事はしていましたが、あの『乱太郎』とそれを取り巻く二次創作の世界との出会いがなければ同人活動も始めませんでしたし、拙作に登場する友人知人とも出会えず、今頃漫画も描いていなかったと思います。幅広い人々を惹き付ける壮大な作品世界を築かれた尼子騒兵衛先生に、心から感謝しております」

――そうなんですね! 『落第忍者乱太郎』に、本書の『鳥獣戯画』風キャラクター、そしてご自身のBL漫画『陰の間に花』にも和のテイストを感じます。もともとお好きなのでしょうか?

ひるなま「国籍や文化圏による好き嫌いは本来ありません。ただ勉強する上では、日本の中近世の庶民文化史に興味を持って来たので、その知識の範囲内で描かせてもらったが『陰の間に花』です。あとは、私は筆圧が弱すぎてGペンではなく筆で漫画を描いてきたので、筆のタッチを活かしたいという気持ちはありまして。昔から皇名月先生の絵に憧れていたので、影響を受けていると思います」

◆ガン手術のあとは、連続観劇でエネルギー充電

――エンタメジャンルのなかで、推し作品、人がいましたら教えてください。

ひるなま「俳優の椎名鯛造さんが大好きで応援しております。ここ十年ほどのお仕事はほとんど拝見していますが、小柄でパワフルで機敏なアクション・生命力あふれる演技に、人の身体の迫力みたいなものを感じるのです。

 ちなみにガンの手術のあと、退院したその日に舞台『刀剣乱舞』へ行った話は、漫画にも描きましたが、その翌々日には椎名さんの出演される『劇団鹿殺し』さんの舞台にも行きました(笑)。あの日は本当に、舞台から生命力を与えられた……という気分になりましたね

◆手術以降に新しく始めたこと

――翌々日にも観劇されていたんですね! 本書で、闘病生活を続けるにあたって大切なのは、「日常をどう保つか」だと書かれています。手術以降に新しく始めたことなどはありますか?

ひるなま「たくさんあります! 私はもともと、便秘になったことがなく、お通じに悩まない人間だったので、ヨーグルトや乳酸菌飲料を積極的に摂り始めたのは退院以降です。今作にも登場しているリングフィットや散歩もそうです。

 あとお料理に関しても、術後に始めたことが非常に多いです。療養食って自作せざるを得ない苦労や手間が本当に多くて。さらに抗癌剤の関係で急激に太ったのですが、闘病するには体力が必要なので『食事量は減らさずに』と病院から言われていて……。今まさに試行錯誤しています」

――第2弾は、どんなことに触れようと思っていますか?

ひるなま「実はまだ全く決まってないんです。でもご質問に答えていて、術後の食事やお料理についても少し描きたいなと思いました。他にも今作で取りこぼした細かいエピソードはたくさんありますので、今は編集さんと色々お話しているところです」

◆コロナ禍での闘病に思うこと

――最後に、この本をすでに読んだ人、これから読む人へ。メッセージをお願いします。

ひるなま「すでに読まれた方へ、拙作を手にお取りくださって本当にありがとうございます。これから読んでくださる方にも、心から感謝申し上げます。お知り合いやお身内に同病の方がいらっしゃるのでしょうか、それとも患者さんご本人でしょうか。病気になって不安で、情報を探し回って、疲労困ぱいの方もいらっしゃるでしょう。それでなくてもコロナ禍の今は、誰だって疲れているでしょう。

 病を抱える皆さんは、出歩きづらく、通院も感染症への不安が大きいでしょう。どうか余計な苦しみを得ることなく、無事に2021年を過ごせるよう祈ります。

 健康な方々には、どうか大規模な国際イベント等はひかえていただき、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大防止を、もうしばらく真剣にお願いしたいと、個人的には思います。それが私のような病人の余命を縮めないことに繋がります。

 そしてここを読んで下さった方々だけでも、非科学的でハイリスクな行為・人種差別・医療関係者やエッセンシャルワーカーを追い詰める言動をしないよう。そのために、まずご自身の体と健康を大事にして下さるよう、心から切に祈っております」

<取材・文/望月ふみ>

【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi

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