高級ホテルのワーケーション、どれだけ仕事がはかどる? 自腹で体験してみた

拡大画像を見る

―[デジタル四方山話]―

◆都内ホテルがこぞってワーケションプランを用意

 リモートワークが広がり、強制的に自宅で仕事をせざるを得なくなっている人が増えた。以前から自宅で仕事をするフリーランスであれば環境が整っているだろうが、自宅だと机や椅子さえないこともあるだろう。

 ネット回線もスマホしか持っていないなら、PC作業で困ってしまう。テザリングが使えるとしても、今度は通信量の消費が気になる。家族がいるなら、邪魔してくるかもしれないし、逆にビデオ会議するので静かにしろと言うのもストレスを与えてしまう。

 そんなとき、以前ならカフェに行って作業するという人は多かったのだが、このご時世ではそうもいかない。そこで注目されたのが、ワーケーション。ワークとバケーションを組み合わせた造語だ。観光地やリゾート地に泊まりながら、仕事をしようというものだが、こちらも旅行ができない現状では難しい。しかし、例えば、近場のホテルであれば、移動は可能だ。

 最近、コロナ禍で外に出る機会がめっきり減ったので、今回気分転換でワーケーションしてみることにした。都内のホテルがこぞってワーケーション向けのプランを用意しているのだ。

 例えば、帝国ホテルは30泊36万円の「サービスアパートメント」を用意。名古屋マリオットアソシアホテルはデラックスツインルームの30連泊プラン28万6000円を用意した。京王プラザホテルはもうすぐ期間終了となってしまうが、30泊21万円の朝食付きプランを販売していた。2人で利用するなら1泊3500円計算になる。

◆36時間ステイを選択、仕事環境は?

 筆者はさすがに30泊はできないが、高級ホテルでのワーケーションには興味津々だった。海外出張時にホテルで缶詰になり、原稿を書くことはよくあるが、都内にいながらにしてワーケーションしたことはなかった。

 そこで、今回はホテルニューオータニの「ハーフウィークワーケーション」を利用してみることに。今回は午前8時から翌日の午後8時までの36時間ステイできるコースを選んだ。もちろん、自腹だ。

 まずはこれまでの出張経験からのアドバイス。出張先のホテルで仕事をするには兎にも角にも不足のない環境を構築する必要がある。何かが足りないと効率が下がってしまうからだ。

 あらかじめインターネット環境があるかどうかは確認しておこう。ホテルニューオータニは全室でWi-Fiと有線LANが無料で利用できた。速度も、30Mbps以上出ているので快適だ。

 次に準備したいのが、電源タップ。複数台のPCやスマホを充電しようとすると、コンセントが足りなくなることがあるのだ。そこで、複数の口を備えた充電器やコンセントを増やせる電源タップを用意しておくと安心だ。延長コードも兼ねているなら、照明用の電源を手元まで引っ張ってきたりと、便利に利用できる。

 ホテル代は安いほうがいいが、机がないと作業は難しい。たとえ、ソファがふかふかでもローテーブルで長時間の作業は厳しい。若いなら無理もきくが、腰や肩が弱い人が変な姿勢で仕事をすると、体を壊してしまう。デスクと椅子があることは確認しておこう。

◆ノートPCにプラスαで用意したい

 ノートPCに加えて、もう1〜2画面あると作業効率がアップする。今はモバイルディスプレイが安く手に入るようになっているし、Macであればサイドカー機能でiPadを拡張ディスプレイとして利用できる。もちろん、PCを2台持参するのもいいだろう。

 筆者の場合、海外出張の際は、万一の故障に備えてPCを2台持っていくようにしている。加えて、普段使っているキーボードやマウスがあるなら、それもあったほうがいい。やはり手に馴染んだデバイスでないと、細かい操作でストレスを感じてしまうためだ。

 ちなみに、HDMIケーブルを持参して、ホテルにあるテレビにつないでセカンドディスプレイにするという技もあるのだが、場所を移動できないので、いい感じに使えることは少ない。今回のホテルニューオータニはアナログビデオ入力のRCA端子しかなく、どちらにせよつなぐことはできなかった。

 予想以上に気分転換という効果は大きかった。人との交流はないが、それでも自宅とは異なる環境で仕事をするというのは新鮮だ。事務所のアーロンチェアと異なり、普通の椅子なのでやや腰に負担がかかるがそれ以外は快適そのもの。

 集中力も問題なしどころか、向上している感じもする。これは、とにかく静かなためだ。事務所は木造なので、静かではあるが風や車、飛行機などの音が聞こえることもある。普段は気にしていないのだが、高級ホテルの無音環境だとさらに集中できるようだ。

 家だと、しょっちゅうお茶を作りにキッチンに行ったり、犬と戯れたり、なんなら掃除を始めたりと誘惑が多い。ホテルだと、仕事をするしかない、という環境になるので、気が散らなくていい。

 ビデオ会議も家族の目などを気にせず、堂々とスピーカー出力で参加できる。高級ホテルであれば、防音もしっかりしているのでセキュリティも問題なし。部屋が汚れていると言う人も、ホテルのワーケーションであれば、堂々と写せるだろう。

◆仕事のパフォーマンス20.7%上昇のデータも

 NTTデータ経営研究所とJTB、日本航空が2020年7月に行ったワーケーションの効果検証実験によると、ワーケーション実施中は仕事のパフォーマンスが20.7%も上昇したという。しかも、終了後5日間効果が持続する。この結果は、実際に体感した状態とマッチしていて、納得だ。

 さらに、「職業性ストレス(心身のストレス反応)」もワーケーション開始後に低減していました。「活気」が向上し、「不安感」は低減した。そして、こちらも効果が5日間持続した。ただし、「疲労感」は下がりにくい傾向があるという。こちらも、全部同じように感じた。

 気になる価格は36時間1室1名3万3000円から。二人だとプラス4000円となる。さらに上のランクの部屋や60時間プランも用意されている。

 今回、半分記事ネタ、半分家族へのプレゼントという感じで利用してみたのだが、想像以上に仕事が捗るし、筆者もリフレッシュできた。この原稿は2日後に書いているが、ワーケーション後5日間パフォーマンスが上がるというのも実感している。

 わざわざ他の所に金をかけていく意味がわからない、というのはとても同感だったのだが、実際にやってみると意見が真逆になった。ワーケーション、お勧めです。<文/柳谷智宣>

―[デジタル四方山話]―

【柳谷智宣】
お酒を毎晩飲むため、20年前にIT・ビジネスライターとしてデビュー。酒好きが高じて、2011年に原価BARをオープン。2021年3月には、原価BAR三田本店をオープンした。新型コロナウイルス影響を補填すべく、原価BARオンライン「Wi杯」をスタート。YouTubeチャンネルも開設し生き残りに挑んでいる

関連リンク

  • 5/12 15:53
  • 日刊SPA!

スポンサーリンク

記事の無断転載を禁じます