BTSジョングクも愛読する「私は私のままで」etc. 韓国エッセイにほっこり

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 パンツ一丁で寝そべる男性のイラストが可愛らしい、韓国エッセイ『あやうく一生懸命生きるところだった』(ハ・ワン著)は、2020年に日本語版が発売されて以来、SNSを中心に口コミで話題となり、日韓で40万部を超えるベストセラーとなりました。

 著者のハ・ワンさんは、フリーのイラストレーターとして活動する一方、副業として会社勤めもしていました。二足のわらじで必死に働くものの、あるとき全てが中途半端に感じてしまい、自分が一体どこへ向かっているのか分からなくなってしまったそうです。

 そんな40歳を目前にしたある日、ハ・ワンさんは「今日から必死に生きない」ことを決意します。計画もないまま上司に辞表を出し、必死に頑張ることを辞めてみる、という人生を賭けた実験を開始。そんなハ・ワンさんが頑張らない日々の中で見つけた「人生の真理」とは?

 今回は「あやうく一生懸命生きるところだった」から、忙しい毎日を今よりちょっとだけ幸せにするためのヒントを紹介します。

◆「ひとり」を楽しめる人は、幸せな人

 家族や恋人と過ごす時間を大切にする韓国ですが、最近ではどうやら「ひとり」が流行っているのだそう。その背景には、独身世帯の増加など社会的な要因とともに、競争社会での「人付き合い」による疲れがあるそうです。人間関係の疲れは韓国でも日本でも同じですね。飲み会での「気疲れ」や、女友達からの「マウンティング」など……(ため息)。仕事やプライベートでの人付き合いが、自分でも気が付かないうちに大きなストレスとなっていることがあります。

 著者のハ・ワンさんは、そんな人間関係で疲れた心と体には「ひとりの治癒の時間」が大切だと優しく訴えます。ひとりでご飯を食べたりお酒を楽しんだり。ひとりでできることを楽しんで、十分に充電する時間を与えてあげれば、「帰り道が約束された旅行」のように、また必ず人の輪の中に帰っていくことができます。

 一人ぼっちが楽しいと感じるのは、「だれかと繋がっている」証拠でもあります。ひとりを楽しむ方法を一つでも多く知っている人は、きっと幸せな人です。

◆諦めることで見えてくるものがある

「あきらめるな」「努力は必ず報われる」といった言葉、日本でもよく耳にしますよね。身近な人たちからのそんな「声援」を聞き続けてきたせいか、諦めることがとても悪いことのように感じてしまう人も多いのではないでしょうか。

 ハ・ワンさん自身、韓国美大の最高峰であるホンデ大学に合格すれば人生が変わると盲目的に信じて浪人し続け、4度目の受験でようやく合格することができたという経験を持っています。ただ、「あれほど苦労してホンデに入学したというのに、人生が変わることはなかった」とのこと。入学してからは学費を払うためにバイトに必死で、花のキャンパスライフは夢のまた夢。有名大だからといって大企業からのスカウトなどもなく、ホンデ大学への合格で「人生の一発逆転」は起きなかったそうです。

 韓国では「この道が唯一の道」と盲目的に信じた結果、悲劇も生まれています。ある青年が公務員試験に四浪したあげく、母と一緒に田舎へ帰る途中のパーキングエリアのトイレで首を吊って自殺したそうです。とてもショッキングなニュースですよね。このエピソードを極端な話だとスルーすることもできますが、何かに固執することで自分自身を苦しめてしまった経験はきっと多くの人が持っているはず。諦めることって簡単なようで、意外と難しいことなのかもしれません。

 ハ・ワンさんは「命以外なら全部あきらめたっていい」と述べながら、「諦めること」について次のように書いています。

「世の中にはたくさんの道が存在する。一つの道にこだわりすぎるのは、ほかの道をあきらめていることと同じだ。あまりにもつらく、耐えがたいならあきらめろ。あきらめたって問題ない。道は絶対、一つじゃないから。」

 一つのことに執着することで他の選択肢を諦めてしまっているのかもしれないと思うと、少しギクッとしますよね。時には「諦めないこと」より「諦めること」のほうが、幸せへの近道だったりするのかもしれません。

◆何でもない日々を幸せに生きる

 毎日がキラキラして、一日中ワクワクして過ごせたら最高ですよね。だけど実際は、代わり映えのしない「地味で何でもない一日」の積み重ねが人生だったりします。

 でもだからこそ、人生の大半を占める「平凡な日々」を、いかに幸せに生きられるかどうかが大切なのかもしれません。

そう、人生の大半はつまらない。だから、もしかすると満足できる生き方とは、人生の大部分を占めるこんな普通のつまらない瞬間を幸せに過ごすことにあるのではないか?」

 ハ・ワンさんは、なんでもない日常を描いた短編ウェブドラマを見ることで、今ある特別でない日常がちょっと違って見えてきたりすると言います。なんでもない日々がドラマになっているのを見ることで、自分の地味な毎日もドラマになり得るのだと感じることができるそう。

 よくある韓国ドラマのように、イケメン御曹司に見初められてゴールイン!なんて、夢のような話は現実には起きませんが、今ある日々の中でささいなことに価値を見つけて小さな幸せを積み上げていくことなら、今日から始められる気がしてきます。

◆“優しい言葉”が詰まった韓国文学

 ここ数年で大きな盛り上がりを見せる韓国文学。『あやうく一生懸命生きるところだった』のように、韓国エッセイには今ある自分を肯定してくれるような「新しい視点」と「優しい言葉」の詰まった本が多いのが特徴です。

 例えば、韓国で100万部以上のベストセラーとなり日本語版も出版された『私は私のままで生きることにした』(キム・スヒョン著)というイラスエッセイもそんな一冊。BTSのジョングクが愛読していることでSNSを中心に一気に人気に火が付きました。

「私は私のままで生きることにした」というタイトルの通り、「こうあるべき」という社会の価値観にとらわれるのではなく、自分自身を大切にして堂々と胸を張って生きていこうとの、力強くて温かなエールの一冊となっています。

 著者のキム・スヒョンさんは「何が正解なのかわからない世の中で、誰のまねもせず、誰もうらやまず、自分を認めて愛する方法」を書いたと言います。

 ページをめくる度に “心のつかえ” が少しずつ取れていくような、そんな感覚になる癒しの一冊。頑張った一日の終わりに読めば、心が少し軽くなるのを感じられるかもしれません。

◆美しい恋愛エッセイも

 最後に紹介するのは、韓国ドラマ『キム秘書はいったい、なぜ?』でも取り上げられた、今SNSを中心に話題の恋愛エッセイ『すべての瞬間が君だった きらきら輝いていた僕たちの時間』(ハ・テワン著)です。

 付き合って100日記念日にバラの花束をプレゼントする慣習があるくらい、ロマンチックな恋愛をすることで有名な韓国ですが、本書はそんな情熱的な韓国人の著者だからこそ編み出せる極上の恋愛ポエムが詰まった一冊です。

 美しいポエムを読んでいると、恋愛の喜びも痛みもすべて昇華されていくような気がします。恋愛中の人にも、失恋してしまった人にもおすすめの一冊です。

<文/Yoco>

【Yoco】
家でごろごろしながら韓国ドラマをひたすら見るのが好きな、自称「干物オンナ」のOLブロガー。好きな言葉はサムギョプサル。まとまらない興味をまとめたHIMONO Media運営中。Instagramではおススメ本を紹介

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