甘い不倫のひととき。でも、求めても求めても達することはない

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後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。

不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。

【不倫の精算#30後編】

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「いてもいなくても同じ」夫の存在のあまりの希薄さ

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「会うのはね、あっちの仕事が早く終わった夕方とか、土曜日の午後とか。

日曜は娘と過ごすから、少ししか時間が作れないんだけどね」

 

食べている間、Mさんははずんだ声で話し続けた。

 

子ども中心の生活を送るMさんは、自身が休みで娘さんが習い事に行く土曜日が身軽になる。

既婚の彼に子どもはおらず、それも会いやすい理由だった。

 

「旦那さんは大丈夫なの?」

 

話のなかにまったく登場しない夫について気になりながら尋ねると、Mさんは首をかしげて答えた。

 

「え、あの人?

土曜日は仕事だし、日曜も勝手にどこか行ったりするし、大丈夫なんじゃない?」

 

こともなげに口にする様子は、自分の不倫に夫がまったく足かせになっていないことを伝えてきた。

 

「私が何をしているかも聞かれたことないし、娘になんてもっと無関心よ、あの人。

とりあえず働いて帰ってきて、お給料だけ渡していればいいって感じ」

 

夫婦としての会話はなく、家事も育児も妻に任せきり、休日も家族で揃って出かけることなどしない夫。

とうに見限られたそのあり方の裏で、妻が罪悪感を覚えることなく不倫していると知ったら、どうするのだろうか。

 

離婚も慰謝料も「どちらも怖くない」その絶望的な心理

「ばれたら本当に大変だから」

と、不倫を話してくれた人には必ず伝えている。

 

無関心に見えた夫が実は妻のスマートフォンをチェックしていたり、子に妻の様子を尋ねて口止めしていたり、そういう話は少なくない。

 

「大丈夫」が続くことなどないのが不倫なのだ。

 

だが、Mさんはこちらの言葉に予想外の返事をよこした。

「ばれても平気よ。

慰謝料払えっていうなら払うわよ」

 

そのとき、デザートのお皿が運ばれてきた。

ガトーショコラにフォークを刺し、添えられたホイップクリームをたっぷりつけてから口に運ぶMさんは、続けて言った。

 

「大恥よね、あの人。

どうでもいいと思っていた嫁に浮気されてさ」

 

「恥をかくのはあなたも同じになるけど」

すぐに返したのは、慰謝料という言葉があまりにも軽く飛び出したからだ。

 

「え?」

「不倫がばれて慰謝料を請求された、離婚されたって、言われるのはあなたなのよ」

 

それがどれほどつらい現実になるか、いくつも目の当たりにしている。

Mさんは、フォークを持つ手を止めてこちらを見た。

「別に、それでも構わないわよ、私は」

 

その不倫にたどり着くまでに、あなたにいったい何が起きたの

黙って瞳を見返したこちらに、Mさんは続けた。

 

「不倫って、そりゃ世間で見れば悪いことよね。

でも、不倫された側には何も問題はないわけ?

家のことはゴミ出しだけで掃除も洗濯もしない、娘の進路も、習い事も、全部『どうでもいい』で片付けて楽をしている自分はどうなのよ?」

 

低い声できっぱりと口にする言葉には、明らかに怒りが見えた。

 

「……」

「だから不倫しても許されるなんて、そんな都合のいいことはさすがに思わないけど。

でもね、既婚者でも不倫する理由があるのよ」

 

とがっていく声を聞きながら、Mさんの鬱屈はここにあったのかと思った。

 

不倫していることを話してどうするのか。それは、理不尽な扱いを受ける自分と不倫を「させる」夫への嫌悪感を知ってほしいからだ。

それでも、言わなければいけなかった。

 

「うん、旦那さんもいけないと思うよ。

でもね、そんなに嫌なら不倫する前に離婚すればいいのにって、そう言われるのが現実なんだよ……」

 

語尾が小さくなる。

こんな正論こそ、彼女の前では不毛なのだ。

 

そして出たひとこと。不倫に走った理由が「復讐」だなんて

「ああ、ごめんね、きつくなっちゃった」

こちらの言葉に、我に返ったようにMさんは声をあげ、フォークを置いた。

 

「……」

気まずい空気のなかで、コーヒーカップに手を伸ばす。

 

「そうよね、世間はそう言うわよね、きっと。

不倫なんて、何の復讐にもならないのよね」

 

取りつくろうようにそう言って、Mさんが同じくカップを持つのがわかった。

 

復讐。

不倫している既婚者でこの言葉を使う人はほかにも知っているが、その刃はいずれ自分に返ってくることを、想像しない。

 

その不倫は自傷行為と同じ。お願い、そこから逃げて

「ね、ここのご飯、美味しかったね」

Mさんの声はもとのトーンに戻っていた。

この話は終わり。

そう告げていた。

 

「お肉、好きになったの?」

顔を上げてそう尋ねると、Mさんは意表をつかれたように一瞬目を見開いた。

「え、うん、そうね。

最近は元気だからか、お肉を食べることが増えた気がする」

 

以前、Mさんの家にお邪魔したとき、出してくれたのは魚がメインの料理だった。

「お肉って、昔からあまり食べないのよね。

あっさりした魚料理が好き」

穏やかな笑顔でそう口にした姿を、忘れていない。

Mさんのように、不倫で活力を取り戻す人を確かに見てきた。

肉料理を好きなのは言うまでもない、不倫相手なのだろう。

食欲が増すのはいいことだ。

だが、世間から何を言われようと構わないと思うのは、夫がしたことと同様に、自分をないがしろにする行為だ。

向き合うべきはまず自分なのだと、いつかMさんが気がつけばいいなと思いながら、伝票をつかんだ。

 

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  • 5/11 13:01
  • OTONA SALONE

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