「週刊ダイヤモンド」の特集「K字決算」って何だ? 「東洋経済」は就活生に人気のあの業界に接近!【ビジネス誌 読み比べ】

「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」「週刊エコノミスト」、毎週月曜日発売のビジネス誌3誌の特集には、ビジネスマンがフォローしたい記事が詰まっている。そのエッセンスをまとめた「ビジネス誌読み比べ」をお届けする。

ゴールデンウイークの連休明けに、新型コロナウイルスの変異株の感染が各地で急拡大している。「週刊ダイヤモンド」(2021年5月15日号)は、多くの企業が大打撃を受け、戦慄の決算発表が近づく様子を特集している。題して「戦慄のK字決算」。コロナ禍からの回復は一律ではなく、回復できる企業と落ち込む企業へと二極化するK字を描くというのだ。

コロナショックで消費環境は激変 「勝ち組」はここだ!

コロナショックで消費環境は激変。旅行や外食が落ち込む一方でEコマースは絶好調と、業種によって格差が生じている。週刊ダイヤモンドの特集では、小売りや自動車など主要30業種の回復度合いを分析している。

国内のJCBカード会員のうち無作為に抽出した約100万人分の決済データを分析した「JCB消費NOW」のデータを利用。30業種の消費について、前年同月比でどれだけ変化したかの推移を調べた。

旅行・宿泊と外食は20年4~5月に大幅に落ち込んで以降、今も前年同月比で4割以上消費が縮小した状態が続いている。「Go Toトラベルキャンペーン」の効果で、旅行は2020年10月に一時的にV字回復したが、再び低迷している。

宿泊施設の中で特に苦しいのはビジネスホテルで、20年4月以降、マイナス50%のラインすら上回ることができていない。外食も「Go Toイートキャンペーン」が始まる20年10月にかけて回復傾向にあったものの、忘年会・新年会の中止や年明けの2度目の緊急事態宣言で苦戦が目立つ。とりわけ居酒屋が低迷しており、21年2月もマイナス62.7%と外食の中でも「負け組」状態にある、と指摘している。

娯楽では、アニメ映画「鬼滅の刃」効果で映画館は一時急回復したが、長続きはせず、消費は半減した状態だ。一方で、「勝ち組」はゴルフだ。屋外でプレーし、ソーシャルディスタンスも保てることもあって健闘している。ただし、ゴルフ場の食堂・売店の売上高は前年同月から3%減で、12か月連続で減少中だ。

小売りでは緊急時の生活インフラとして機能し続けたスーパーやコンビニが前年超えの結果を出したことで「勝ち組」とされていたが、最近では失速ぎみだ。コンビニは20年10月以降、前年割れが続いており、スーパーも同様だ。小売りで「勝ち組」なのは、酒屋だ。小売りで唯一、12か月にわたって前年超えをキープしている。

高額商品では、テレワーク需要で家電と家具は好調。自動車も復活の兆しがあるという。

パート2では12業界について、「勝ち組、負け組」を大解剖。パート3では、5つの指標で上場500社の明暗をランキング。トップには「医療ビジネスのGAFA」とも呼ばれるエムスリーを取り上げている。

水素バブルの脇役に転落したトヨタ自動車

「週刊ダイヤモンド」の第2特集は「1100兆円の水素バブル」。これまで水素社会の実現に向けて政財界を巻き込んで先頭に立ってきたのはトヨタ自動車だが、今回の水素バブルでは主役になれそうにないというのだ。

政府が20年12月に発表したグリーン成長戦略で、水素の主役がFCV(燃料電池車)から発電に交代した意味を解説している。

「水素ガスタービンを使って発電する水素発電の1基(出力100万キロワット)当たりの水素消費量は、なんとFCV400万台に相当する。日本で大量に水素を導入し、脱炭素社会に向かうのならば、FCVではなく発電に振り切った方が手っ取り早いのである」

海外から大量に水素を輸入するプロジェクトに取り掛かる総合商社がメインターゲットにする需要家は電力業界であり、トヨタは脇役に成り下がった、と厳しく見ている。

この水素ビジネスでしのぎを削るのが、三菱商事、三井物産、丸紅だ。企業集団の総力戦になりそうだという。

しかし、水素発電のコストは原発の9倍で、エネルギー効率は最悪だ。水素バブルは本物なのか、しぼんでしまうのか。「グリーン成長戦略」という美辞麗句にとらわれない本誌のような分析記事は貴重だ。

「週刊東洋経済」就活生に人気のコンサル業界にスポット

「週刊東洋経済」(2021年5月15日号)の第1特集は「コンサル全解明 人材戦略から儲けのからくりまで」。今、大学生の人気の就職先として注目されているコンサルティング業界にスポットを当てている。

2022年卒の大学別就職注目企業ランキングで、東京大学では1位に野村総合研究所、2位にアクセンチュア、8位にPwCコンサルティングが入るなど、コンサル会社が就活生の人気を集めている。これまで上位だった商社、銀行などにコンサル会社が取って代わる勢いだ。だが、コンサル会社の仕事は見えづらく、実態はベールに包まれている。特集では、近年のコンサル業界の動向やビジネスモデルを詳しく解説している。

今、コンサル業界はIT人材を集めるため、異業種からのスカウトが過熱しているという。その背景にはデジタルトランスフォーメーション(DX)需要の高まりがある。単なるITの知識と技能だけではダメなので、企業はこぞってコンサル会社への依存を強めている。

2020年はコロナ禍でプロジェクトが止まり、コンサルティング市場はやや縮小したが、7月以降は急速に回復。サプライチェーンの見直しやリモートワークへの対応で、クライアントのDXへのニーズは増えている。1兆円規模に市場は伸びそうだ。

コンサル業界は、戦略から実行まで一気通貫モデルを掲げるアクセンチュアを軸に、バトルが過熱しているという。ひと口にコンサル会社と言っても、マッキンゼー・アンド・カンパニーなどの戦略系、IT系、会計系などがあり、「仁義なき陣取り合戦」が繰り広げられている。

コンサル業界は企業の経営戦略立案を担う「上流」と、それを実行するためのシステム構築などを担う「下流」に分かれ、近年はその両方を行う「総合系」のアクセンチュアが台風の目になっているというのだ。

「日本の大企業の3~4割は顧客になった」とアクセンチュア日本法人の江川昌史社長は語り、その中にはファーストリテイリング、ソニーグループ、楽天グループなどが並び、そうした大口顧客には100人を超える規模のアクセンチュア社員が常駐している。

社員数も1万6000人と過去6年間で3倍に膨れ上がった。真っ向からぶつかるのは、4大監査法人グループが抱え「ビッグ4」と呼ばれるコンサル会社だ。

引き抜き合戦やコンサル報酬のからくり、給料は高いのに辞める人が続出する「出世」と「給料」の実態など、コンサル会社への入社を志望する就活生にとって必読の内容だ。

第2特集は「サイバーセキュリティーの大問題」。サイバー攻撃されたときに企業が陥りやすい失敗、自動運転システムのためサイバーセキュリティー対策で自動車業界に突き付けられた2つのハードルなどの記事が興味深い。

「週刊エコノミスト」は固定資産税を特集

「週刊エコノミスト」(2021年5月18日号)の特集は、「固定資産税に気を付けろ!」。3年に1度の評価替えの年なので、課税ミスのチェックを呼びかけている。課税明細書を理解するチェックポイント、固定資産税にもコロナ対策など、たくさん固定資産税を負担している人には有用な記事が多い。

課税明細書を理解するチェックポイントは3つある。1つは評価額と課税標準だ。2つ目は住宅用地の特例。200平方メートルまでの小規模住宅用地の課税標準は評価額の6分の1に、200平方メートル超の一般住宅用地は3分の1へと大幅に軽減されている。市町村による固定資産税の課税誤りでは、住宅用地の特例措置を適用し忘れているケースが多いそうだ。

3つ目は負担調整措置。バブル期の地下上昇に評価額の上昇が追いつかなかったため、国は1994年度の評価替えで地価公示価格の7割まで固定資産税評価額を引き上げることにした。しかし、それでは急激に固定資産税額が増えてしまう。そのため負担調整措置が導入された。

2021年度は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、負担水準が100%未満の住宅用地などについては、前年度の課税標準額に据え置く措置が取られた。この措置が今年度限りで打ち切られた場合、来年度以降は税額が増える可能性があるという。

誤って固定資産税を多く課税された場合、地方税法の時効は5年でも自治体によっては20年ということがあることが紹介されている。

ふだんあまり関心を持つことのない固定資産税にもさまざまな特例や措置があるようだ。知識を蓄えて自己防衛に努めたいものだ。(渡辺淳悦)

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