最も勢いのあるYouTuberコムドットは“芸能人”か? 芸能人YouTuberが到達できない極みと若干の違和感

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 コムドットというYouTuberをご存じだろうか?

 ”地元ノリを全国に””放課後の延長”というスローガンを掲げ、リーダーのやまとを筆頭に、ゆうた・ひゅうが・ゆうま・あむぎりという小中学校の幼馴染で結成された5人組だ。僕が彼らを知ったときすでに、登録者数は10万人を超えていた。その勢いは止まらず2020年5月には20万人と倍増、現在はなんと180万人もがチャンネル登録している。今最も勢いのあるYouTuberといっても過言ではない。

 ここ数年、ヒカキンやヴァンゆんなど、普段YouTubeをあまり観ない人でも知っているような有名YouTuberともコラボ配信し、コムドットも彼らのような知名度の高いTop YouTuberの仲間入りを果たしたと言えるだろう。

 僕が初めてコムドットを観たときは、若者がただ勢いに任せて企画を練りドッキリや配信をしている印象だったが、何度も観ているうちにどんどん彼らの魅力に憑りつかれていってしまった。

 5名の性格が良い具合に異なっており、少年マンガから飛び出してきたようなキャラクター設定がとても良いバランスを保っている。全員に愛嬌があるのも、好感が持てる理由だ。中身だけではない。やまと、ひゅうが、ゆうまの3名は180センチを越える高身長でモデルさながらのスタイルの良さ。さらにゆうたは若者からコーディネートを真似されたり、彼が購入した服が売り切れるなどファッションリーダーとしても人気絶大だ。

 リーダーのやまとは上智大学(休学中)に通い、大学生の中でもトップレベルの偏差値を誇る。YouTubeではその頭脳を活かし、どのようにすれば再生数が伸びるのか、どの層をターゲットに動画を作るのか、それぞれのキャラクターの需要と供給はどこにあるのかなどを冷静に分析し、緻密な計算をした結果が今のコムドットの人気に繋がった。

 22~23歳といったら新卒の社会人だ。自身の分析結果を基に作品を作り上げて世の中に出すなどなかなか出来る事ではない。

 更に特徴的なのは、コムドットは無所属だということだ。正確にいうとUUUMなど既存の、YouTuber系の事務所に所属していないのだ。

 地元の同級生で結成したコムドットは、他者が介入するのを極端に拒んだ。やまとはコムドットをひとつの会社として設立し、自身が社長を務めメンバーを従業員として雇った。そして自分の同級生と後輩にマネージャーを任せるという徹底ぶりだ。

 どこか征夷大将軍を成し遂げた徳川家康のようだ。年齢関係なく尊敬すら覚える。

 さらに尊敬できる所は、誰も成しえなかった1カ月毎日2本ずつ動画投稿という偉業を達成し、Top YouTuberの仲間入りを果たした今も毎日動画を投稿し続けている点だ。

 本当に頭が下がる思いだ。

 コムドットの定番のひとつに、テーマを決めてドライブをしながら話したり、ゲームをするという企画が何本か動画になっている。僕がコムドットに惹かれたのはこういった5人が自然に生み出す日常の会話からでも明確に分かる圧倒的なトーク力だ。

 例えば人気のあるアイドルが同じような企画をしたり、知らない演者でも興味を引く話題だったならば“見る価値”があるとも思うが、なんせコムドットのスローガンは”地元ノリを全国に”だ。当然、視聴者が知らない単語や知らない人間、知らないたとえ話が山ほど出てくる。だが不思議とそれでも笑えてしまうほど、ボケのタイミングもツッコミのワードセンスも一般の人を遥かに越え、芸人ですら勉強になるような間だったり、テンションの高さを見せつける。視聴者の想像を掻き立て、まるで自分も地元のメンバーの一人になったような感覚に陥る。

 皆さんも経験ないだろうか? 練習後の部室でふざけていたときのような、ファミレスでテスト勉強しながら話していたような、休み時間にくだらない話で盛り上がったときのような。そんなノスタルジックな雰囲気もあり、気が付いたら顔がニヤニヤしてしまう、彼らの仲間に入りたいと思うほどに。

 もしコムドットを知らず、僕のコラムをきっかけに動画を観たいと思ったならぜひ、昔の動画を見てほしい。

 最近の動画は、(この言葉が正しいかは分からないが)”売れてから撮った動画”なので、ある程度整理整頓され、ある意味素人しか持っていない破天荒さや、チョケた感じが薄まっている。コムドットの真骨頂を観たいのであれば1年以上遡ることをオススメする。

 と、ここまでコムドットを褒め続けてきたが、ひとつだけ引っかかった動画があった。

 先述した様に今でも毎日投稿をしているので、どの動画だったかは定かではないのだが、リーダーのやまとが、何気なくこう言った

「僕たち芸能人は……」と。

 僕はそこに違和感を感じたのだ。

 今や多くの芸能人も主戦場としているYoutube。人気が低迷している芸能人やテレビに出られなくなった人に限らず、テレビの第一線で活躍している芸能人ですら、参入している。

 もはや誰がYouTuberで誰が芸能人なのかわからない状況になっているが、いくら芸能人が多く入ってきたとしても芸能人とYouTuberは違う職業なのだ。

 皆さんは覚えているだろうか? YouTubeでは知らない人はいないという大物ユーチューバーが歌を作り、それが人気になり、テレビの歌番組に出たことがあった。

 結果は散々で、ネットでは「しょせん素人」「カラオケじゃね~か」などの誹謗中傷が飛び交った。

 これは当然でYouTuber は歌手ではない。なので素人と言われてもその通りだし、最初から期待してはいけないのだ。歌手としてYouTubeを利用している人もいるが、それは歌手がYouTubeというツールを使っているだけでYouTuberでは無いのだ。

 では逆に、現在もテレビで活躍している芸能人YouTuberはどうだろうか?

 はっきり言って、YouTuberの真似事ばかりしている気がする。テレビほどテンションも上げず、テレビほど頭を使わずにダラダラと企画をこなす。

 なぜそうするのか? それはそもそも一般の人がテレビに出ている芸能人のように真似をしながら企画やトークをしたのがYouTuberで、トークや企画を一般の人のレベルに合わせるからそのようになるのだ。

 こう書くと芸能人の方が格上という風見えるかもしれないが、それは違う。あくまで別の職業であり、戦うフィールドが違う、と思うのだ。

 YouTubeを観る年齢層はテレビに比べると低い。それなのでその年齢に合わせた物言いや、近しいテンションが求められる。それに対してテレビ、特にバラエティに関しては、年齢層はさほど変わりはしない。

 では何が違うのか?

 それはテレビに出る為には、その番組を見ている若者ではなく、その番組を作っている大人達に認めてもらわなければならないからなのだ。

 YouTubeは自分たちで企画を考え動画を撮り、編集してそのまま投稿して観てもらえるが、テレビは番組を立ち上げる為に会議を重ね、番組が決定したらオーディションをして星の数程いる演者の中から出演者を決める。多くのプロとして働く大人が動いて構成さて、初めて視聴者の目に映る。

 どちらが上というわけではなく、在り方、作られ方そのものが違うという感じだ。

 僕はYouTuberを羨ましいと思ったことがあった。それはバラエティ番組に出て芸能人と絡んで笑いを取りにいったがあまり受けなかった時に「僕ら素人なんで」と言えるからだ。

 これはかの前田慶次が、豊臣秀吉にもらった歌舞伎御免状に匹敵する“免罪符”だ。

 芸能人が「素人なんで……」なんて発言をするなどもっての外、「初心者なんで」とすら言えない。番組に出ている以上、大御所だろうが若手だろうが同じ芸能人なのだ。言い訳なんて通用しない。

 一般人だがオリジナリティを武器に動画を作って有名になり、お金も手に入るのが、YouTuberの強みであり素晴らしさなのだ。

 そしてたまにYouTubeで成功する芸能人がいるが、今も第一線で活躍している人では無いと思う。後輩なので、あえて名前を出させてもらうが芸人YouTuberの第一人者の”カジサック”。

 多くのYouTuberに認められ、今やYouTuberとして稼ぎ、メディアに取り上げられているが、もし彼が現在テレビに出たとして、笑いが取れるだろうか?

 僕は正直取れないと思っている。それは梶原がカジサックになり、脳みそのほとんどをYouTubeで成功する為に使っているからだ。

 YouTubeの進化のスピードを考えると、そうせざるを得ないが、同時にテレビほうも変化している。テレビの為に脳みそを使ったら、どちらもうまくはいかないだろう。まさに“二兎を追う者は一兎をも得ず”といった状態になってしまうだろう。

 それなのでYouTubeを選び、ひとつに専念するのは正解なのだ。むしろそうしなければ今の地位は保っていられない。

 僕の大好きなコムドットは最近、自分たちが芸能人になったかのような企画が多くなってきている。そしてたまに見せる地元企画は、昔より地元地元している。

 願わくば、お金がないけど、いろんな人に地元ノリを知ってもらう事に一生懸命になっていたあの頃のような企画が見てみたい。地元ノリは保ちつつも誰もわからないネタに走りすぎない、見てるやつ全員笑わせてやるぜ! という勢いがある企画を。

 ここからは僕の個人的なことなのだが、関西で活躍する”ジャックポット”という男女4人組のYouTuberがいる。

 スタート時の勢いは凄まじく、あっという間に登録者数30万人に到達したのだが、そこからの伸びがイマイチ悪い。最近の企画はジャックポットの需要とは違う企画が多く、本人たちも迷走している気がする。

 もしブレーンがおらず、煮詰まってしまっているのなら、ぜひ力になりたいと思っている……が、なんの力にもなれない可能性があるので、ひっそりと応援するだけにしている。

 それよりも、コムドットもジャックポットも、YouTuberとしての自分たちに誇りを持って、テレビで戦う芸能人を横目にもっともっと羽ばたいてほしい。

 YouTuberは芸能人を目指す必要はないし、芸能人もYoutubeで無理に成功する必要はない。それぞれに合ったフィールドを選び芸を磨く。そして視聴者は両コンテンツを好きなように楽しめる。

『最近はテレビよりYouTubeのほうが面白い』という声を聞くことがあるが、それは間違っている。

 テレビはテレビに関わるたくさんのプロ達で作りあげる醍醐味があり、YouTubeはYouTuberにしか出せない発想の自由さや制限の無さがある。つまりまったく別物だということだ。

 いうなれば映画に飽きて読書する人もいるという事。テレビとYouTubeはそういう共存関係が望ましい。

 さて今日はどっちを見ようかな?

  • 5/11 13:00
  • サイゾー

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