AKB48時代の“おバカ”タレントからイメージを変えた川栄李奈の“女優の矜持”

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テレビの中の女たちvol.55 川栄李奈

 タレントから女優へ。そういった経歴を歩む女優は少なくない。わかりやすいところでは小池栄子がそうだけれど、仲間由紀恵とか菅野美穂とか、女優転身前に、あるいは女優活動と平行しながらアイドル的なタレントとしても活躍していたケースは結構ある。

 ただ、彼女ほどタレント時代のキャラクターから大きく変わったケースは少ないかもしれない。川栄李奈。1995年生まれの現在26歳。他のタレント出身の女優であれば、番宣としてバラエティ番組に出るときにも、タレント時代を彷彿とさせる立ち回りを見せる中、彼女はそういった感じをほとんど見せない。

 演技一本でやってきた人でも番宣では積極的に笑いを取りに行くケースが少なくない時代にあって、彼女のあまり目立たないバラエティでの振る舞いは、むしろひと昔前の女優の立ち位置を思わせる希少なものだ。

 AKB48のメンバーだった川栄がバラエティ番組で注目されたのは、その“おバカ”な側面だった。『めちゃ×2イケてるッ!』(フジテレビ系)の学力テスト企画で最下位となるなどした彼女は、同番組で“おバカ”タレントのような立ち位置で出演を重ねた。個人的には、スポーツテスト企画で選手宣誓を任せられた彼女が「我々選手一同は」を「我R選手一同は」と読んだのが印象に残っている(『めちゃ×2イケてるッ!』2013年11月16日)。

 そのようにアイドルやタレントとしてのキャラクターが周知され始めたのと同じ時期に、彼女は女優としての活動も積極的に開始した。2014年にはドラマ『ごめんね青春!』(TBS系)に出演。彼女いわく、同ドラマへの出演がひとつの契機になったという。

「『ごめんね青春!』っていうドラマに出させてもらって。そのときに同世代の役者さんと共演させていただいて。私も頑張りたいと思って、辞めようと思いました」(『A-Studio』TBS系、2018年3月23日)

 当時の自身のポジションを客観的に見れば、このまま進めばアイドルとしてもタレントとしても「いいところまで行けるっていうときだった」と彼女は振り返る。しかし、彼女が選んだのは、アイドルを卒業して女優に専念するという選択肢だった。

「いま頑張って、いいところに行っても、自分の夢はそこにはないかもと思って。だったらそれより下がってもいいから、自分の夢を追いかけようって思ったので。周りの反応っていうのは、『え、もったいない。なんでいま辞めちゃうの?』ってなるだろうなっていうのはわかってました」(『SWITCHインタビュー 達人達』NHK Eテレ、2021年3月20日)

 なぜ、女優だったのか。彼女はこう振り返る。

「心の底から楽しいな、みたいな。無理もしてないし、誰かに言われてやってるわけでもなく、楽しいってこういうことか、みたいな感覚を覚えたのが、お芝居のお仕事だったので」(同前)

 そんな現在の彼女に、かつての“おバカ”な側面を見ることは難しい。9日の『ニノさん』(日本テレビ系)に出演していた川栄は、「グループ時代とはまったくイメージが違うというか。どっちがホントなんだろう?みたいな。変えたの?変わったの?」という二宮和也の問いかけに、はっきりとこう答えた。

「変えさせてもらいました」
 
 変わったのではなく、変えた。そんな返答に、彼女の女優としての矜持、あるいは女優になることを選んだ者の矜持を改めて感じた。

(文・飲用てれび)

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  • 5/11 17:00
  • 日刊大衆

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