「新しいカギ」すでに売れてるチョコプラ霜降りハナコが起用された狙いを芸人が分析! 正統派「テレビコント」の系譜を継げるか?

 お笑いコンビ「チョコレートプラネット」「霜降り明星」、お笑いトリオ「ハナコ」がメインキャストとして出演する総合お笑いバラエティー番組「新しいカギ」(フジテレビ系、金曜20時~)が4月23日にスタートし、お笑いファンや中年以上のテレビっ子たちの間で話題になっている。

 そもそも同番組は、今年1月3日に特別番組として放送。この特番の放送前から「4月からのレギュラーになれるような結果を残してほしい」と局内で話があって、放送後の結果を受け、正式に4月のレギュラー化が決定されたようだ。

 この「フジテレビのコント番組の歴史」は、もはや「国民的なコント番組の歴史」と言っても良い。

 当時から人気絶頂のとんねるずが、俳優やミュージシャンらとコントを繰り広げた『とんねるずのみなさんのおかげです。』(88年)や、お笑い界を牽引する存在となったダウンタウン、ウッチャンナンチャンが出演した伝説の番組『夢で逢えたら(88年)』に始まり、『ウッチャンナンチャンのやるならやらねば!』(90年)『ダウンタウンのごっつええ感じ(91年)』、『めちゃ2モテたいッ!』『めちゃ2イケてるッ!』などの元になった番組『とぶくすり(93年)』、ウッチャンナンチャン・ネプチューンがさまざまなコントに挑戦した『笑う犬の生活(98年)』、キングコングを排出した『はねるのとびら(01年)』と、同局ではその自体を象徴するようなコント番組を数多く手掛けてきた。

 しかし『はねとび』が12年に終了して以降、お笑い番組は氷河期に入り「国民的番組」となるコント番組も出てきていないのが現状だ。

 その現状を打破すべく、昨今の“お笑い第7世代ブーム”の波に乗って、今回フジテレビが満を辞して排出したのが『新しいカギ』、ということだろう。

舞台コントと、テレビコントの違いとは?

『新しいカギ』は、コーナー企画はあるものの、何といってもコントが魅力的だ。たしか、お笑い氷河期中もコント番組は放映されていた。しかしそれはキングオブコントやネタ番組に代表される「舞台コント」がほとんどだった。基本的にコント中の ミスは許されず、一定の緊張感の中で繰り広げられるクオリティ重視の、「作品」として評価されるコントである。

 一方で『新しいカギ』は「テレビコント」。この魅力は、良質な台本に裏打ちされた笑いに加え、アドリブ性やその場の空気感・ノリから作られる柔軟な笑いにある。

「誰かがボケた時におもしろくて、演者が笑ってしまった」なども、そのまま放送される。

 そこには「作品としてのコント」では排除されがちなメンバー同士の仲間内感や、1人ひとりの人間としての個性がより発揮され、時には「うまく笑いにできなくてスベった」なんていうネガティブな部分ですら、笑いになる魅力がある。

 このお笑い氷河期の間に、ほとんど「テレビコント」に触れてこなかった視聴者には、新鮮に映ったのではないだろうか?

 本来フジテレビのこの枠では、“ニュースターを排出する”という役割も担っていた。上記にあげている数々の伝説的番組のレギュラーメンバーは、今でこそお笑い界の重鎮ばかりだが、当時はいち若手の枠にいた芸人も少なくない。

 しかし今回は、既にお茶の間の人気者となったメンバーで構成されているところもポイントといえそうだ。ここにもフジテレビの本気が感じられる。

 それというのも、今回の路線では「番組でニュースターを生み出す」のではなく、「今いるスターたちの、代表作を作る」という路線に近い。既に人気のある若手芸人たちを起用して番組の人気を堅いものにし、番組を継続しながら芸人と番組を大きく育てて、『新しいカギ』をそのスター達の看板番組にしていくという狙いを感じた。

 現在、テレビ製作費の削減が続いていると言われる中、最良の一手で、“実際そうなるんじゃないか”というくらい、番組のクオリティは高かった。

 そしてその期待に十二分に応える仕事をしているのが、個性豊かな番組レギュラーメンバーだ。お笑いファンならずとも、次世代を担う芸人として十分認知されている、超実力派若手芸人たちである。

 ここでは番組内での、彼らの魅力に一言ずつ触れてみよう。

【チョコレートプラネット】

レギュラーメンバーの中で芸歴が一番長く、演技力やどの状況からでも笑いに持っていく能力がズバ抜けている。その演技力・笑いの嗅覚の高さから彼らが現場をリードする場面も多く、とにかくやりたい放題で笑いを取っていた。随所にアドリブを入れたり、仕切りから裏回しまで、とにかく何でもこなす『新しいカギ』のリーダー格的存在と見えた。

【霜降り明星】

せいやはチョコレートプラネット松尾と2人で、ものまね一本のコントを成立させる程、芸のクオリティが高い。また粗品のツッコミをベースとしたコーナー企画もあり、各々のポテンシャルに起因したネタ・コーナーで、魅力を発揮した。また、コーナー企画では粗品がMCをする場合が多く、仕切り進行も担当している。

【ハナコ】

「キングオブコント2018」は伊達じゃない。コント番組では、自分達にあった台本でないと魅力が発揮できず、ともすれば笑いの量すら半減する芸人も多い中、彼らはオールマイティにどんな台本・役柄でもこなせている。粗品が少しクセのあるツッコミをする分、その対比で正統派のツッコミが欲しいコントでは、秋山がその実力を発揮していた。

 現在、テレビ各局では単発でテレビコントの番組が放送されており、『新しいカギ』の評判次第では、ブームが巻き起こりそれらがレギュラー化される可能性も多いにある。

 ここ数年は、テレビ製作費減少のため製作費があまりかからないトーク番組が乱立。結果、ネタで関係性やキャラ紹介が既にされていてトーク番組に使いやすい漫才師たちが偏重されてきた。

 そのような時勢に対し、他番組でオードリーの若林正恭がこう、本音を語っていた。

「自分が若手時代、好きではない番組をやる時、『こういう仕事を経れば、いつかコント番組が持てる』と言われて我慢してやってきた。しかし、自分の時代にはこなかった……『時代』がある。」

 どんなにやりたくても、時代がそぐわなければ芸人が番組でコントを行う事はできない。「時代」を作れるか。『新しいカギ』は、新しいコント時代の先駆けになって欲しい。

※文中、敬称略。

  • 5/9 20:00
  • サイゾー

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