借金500万円男、カード会社と和解。ギリギリの交渉の中身とは…

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―[負け犬の遠吠え]―

ギャンブル狂で無職。なのに、借金総額は500万円以上。
それでも働きたくない。働かずに得たカネで、借金を全部返したい……。

「マニラのカジノで破滅」したnoteが人気を博したTwitter上の有名人「犬」が、夢が終わった後も続いてしまう人生のなかで、力なく吠え続ける当連載は49回。

 今回は、裁判を目前に控えカード会社と和解したお話です。


◆インターホンが鳴りましたね

 皆さんはNintendo Switchで発売されたモンスターハンターライズのアップデート情報を見ましたか?

 いや、僕は驚きましたね。もう今までがベータ版で、これからが本編なんじゃないかって思っちゃいましたよ。ちなみにスマッシュブラザーズの新キャラは誰がくると思いますか?

 個人的にはやっぱりキングダムハーツのソラだったらいいな〜って思います。僕は1993年生まれで今年28歳になるんですが、やっぱり一番ゲームに熱中していた時のキャラクターが一番燃えるって言うか、アツいな〜!って、そう思うんですよね。だから最近はもっぱらスマブラの練習しちゃってます(笑)。

 そういえば数日前にTwitterのフォロワーさんが

「和菓子を送ったので届いたらゲーム配信してください!」

 なんて言ってくれちゃったりして。嬉しいな〜。コロナで家から出られない時代ですけど、インターネットにはみんながいるし、ゲームは面白いし、ナンクルナイサー!って感じで乗り切っていきましょうよ!

 お、インターホンが鳴りましたね。和菓子かな? 牛乳買っておけば良かったです(笑) 和菓子には牛乳が一番合うんですよ。

「特別送達です。2通ともサインをお願いします」

 2通のどちらも東京簡易裁判所からの手紙だ。

「訴状 立替金請求事件」

 被告の欄に、僕の名前が書いてあった。ゲームを消し、とりあえず写真を撮ってインターネットに公開した。目的は無い。SNSでの反応を見てなんとなく心が軽くなった気がする。「借金をしているのに元気に生きてるヤベー俺」は、他者の反応なしには成り立たない。

◆「被告」とは惰性が生んだ肩書き

 届いたのはレイクとセブンカードプラスだった。両名共に去年の5月くらいから、一括での請求しか認めないと言われていたので、ずっと電話を無視していた。レイクの方は1月に裁判所を通して支払督促を送っていて、その際に

「分割で支払いたいです」

 と返事を書いている。それに対し、今後は通常の裁判手続で審理をすることになったそうだ。

 裁判が継続することについて「闘っている」という感覚はない。おそらく法テラスで債務整理か自己破産をすれば解決してしまうような問題なのだろう。「被告」とは惰性が生んだ肩書きだ。

 さて、裁判所の呼び出し期日が決まってしまっている。平日はもうアルバイトで埋まってしまっているから、ここからいつもの手順で話を進めなければならない。被告になるのはこれで3回目だ。みずほ銀行カードローンの時に経験している。ちなみにみずほ銀行とは月に9000円を支払う形で和解になった。

◆裁判が行われるまでが勝負

 まず、裁判所に日程の変更を申し出ても意味はない。相手との合意があったとしても、裁判所は動かない。当日までに進んだ話で裁判がされるだけだ。当人がいなければ電話で出廷することも可能だが、高卒で信用情報が真っ黒な人間が働けるような職場にそんな電話を許してくれるような甘いところはない。

「休まない・遅刻しない」

 たったこれだけが我々最後の底辺労働者に残された僅かな信用情報で、それは自宅の住所や口座情報よりも重い。働かされているのではない。働かせていただいているのだ。

 実は、こうして支払督促や訴状が届いてから裁判が行われる当日までの期間が一番話が進むと思っている。なぜならこうした立替金請求事件の答弁書には必ず

「分割払いを希望します」

 という欄があるからだ。それまで何度電話をしても分割払いに応じなかったカード会社が、ここにきて多額の遅延損害金の請求をセットにすることを条件に分割払いを考えてくれる。

 一応「私の言い分は次の通りです」という欄があり、そもそも借金をしていないと大騒ぎすることもできるのだが、今回は僕が金を借りた時に書いた契約書の写しまでセットで届いてしまった。

 まず、この答弁書を作成して裁判所に送付する。そしてその後に原告に電話をして、出廷できない事と、分割の話をする必要がある。出廷できない場合の被告の立場は限りなく弱い。口座の差し押さえはまず間違いなくされてしまうだろう。

「支払督促が届いたのですが」

 安心して欲しい。もう裁判を目前にした場合の電話で大きな声を出されたりはしない。

「事件番号を教えてください。」

 カード会社も対応には慣れている。

「当日出廷できないので電話で和解を進めたいのですが」

 通常の督促電話とは違う担当者が対応するためか、ここのやりとりはかなりスムーズに進む。僕は現在他のカード会社にも返済をしている旨と、分割での希望金額を伝える。

◆自分の債務情報が霧が晴れたように……

 決まった職場がなく、月収が20万円から40万円くらいの間を行き来している生活の中で、確実に毎月払える金額は10万円が限界だった。和解は「もう二度と支払いを遅延しない」が条件になるので、金額に関しては慎重にならなければならない。返済の意思があるならば、ここがおそらくラストチャンスだ。

「大体どこも同じだと思うのですが、分割の限界は60回払いです」

 まだ3社しか経験していないので絶対とは言い切れないが、和解のスタートラインはこの分割60回払いから始まる。30万円なら月に5,000円。リボ払いよりも安い。ここがカード会社が提示する最終防衛ラインだ。僕の現在の借金総額は約420万円なので、全てのカード会社と和解を結べば月の支払い総額は約7万円となる。これは東京でなら日雇いを常に探し続ける生活でもギリギリ払える。

 そして、毎月の支払いが約束されている状態なので総額も出る。訴状や督促が来る前は会員情報が削除されていて自分の支払う総額がわからなかったが、ここへ来て霧が晴れたように自分の債務情報が明らかになっていく。

◆60回分割を摑み取る

「わかりました、60回分割でお願いします」

 今回は言い返す事なく和解になった。ちなみに100万円借りていたUFJニコスは、まず半額を60回払いにして、それが達成されたら再び残りの金額を組み直す、という優しい対応をしてくれている。たまにこういう会社もあるので現状を正しく説明して返済の意志を「熱く」伝えるのは効果的かもしれない。

 僕は運がよかった。

「和解のスタートラインは60回分割」
「違法ではない日雇い仕事だけでなんとかなる返済は東京に住む高卒資格なしの男性で月に約10万円」


 この二つを覚えたのはごく最近のことだったが、たまたま範囲内に収まりそうだ。借金が600万円を超えていたらかなり厳しかったかもしれない。

◆踏み倒す勇気と人生回り道

 時に、僕の記事を読んで

「借金があるのですが電話を無視しても大丈夫でしょうか」

 とメッセージをくれる人がいるが、間違ってはならない認識として、僕は決して成功例ではない。

 この先クレジットカードを作ることは無いだろうし、家を借りる時も携帯を契約する時も審査に落ちてしまう。もう知り合いや友達に寄生する「離れ技」を使わなければまともに生活はできない。

 水際の防衛も失敗し、背水の中に飛び込み、もう正直何のために返しているのかわからない。ここまで信用情報が汚れてしまってはもう返しても返さなくても何も変わらないだろう。

 ただ、次にカジノに行った時に踏み倒した金があると、勝っても後ろめたい気持ちになるからかもしれない。

 踏み倒す勇気もないのに博打に狂うと、かなり回り道をすることになる。

〈文/犬〉

―[負け犬の遠吠え]―

【犬】
フィリピンのカジノで1万円が700万円になった経験からカジノにドはまり。その後仕事を辞めて、全財産をかけてカジノに乗り込んだが、そこで大負け。全財産を失い借金まみれに。その後は職を転々としつつ、総額500万円にもなる借金を返す日々。Twitter、noteでカジノですべてを失った経験や、日々のギャンブル遊びについて情報を発信している。 Twitter→@slave_of_girls note→ギャンブル依存症 Youtube→賭博狂の詩

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