Twitterの投稿漫画が大人気『でんぢゃらすじーさん』作者に聞いた毎日続けるコツ

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 近年ではSNSが大きな影響力を持ち、クリエイターの活動の場として定着しつつある。たとえば、アマチュアの漫画家がSNSで人気を博し、雑誌でプロデビューを掴むなんて話は今や珍しくない。一方、すでにプロとして活動している人が、SNSで再び注目を集めるケースもある。

 2001年から続く『でんぢゃらすじーさん』シリーズで知られる漫画家・曽山一寿さんも、昨年からSNSに活動の場を広げたひとりだ。曽山さんは現在、『なんと!でんぢゃらすじーさん』、『でんぢゃらすリーマン』、『神たま』などの連載作品を抱える傍ら、毎日Twitterで描き下ろしの漫画を公開している(Twitter:@soyamanga)。

 自身の体験や気づきをユーモラスに描いた投稿漫画は大きな反響を呼んでおり、リツイート数が4桁に達することも。投稿を始めてまだ1年ほどなのだが、フォロワー数は約25.1万人(2021年4月23日現在)と順調に増えており、多くのTwitterユーザーに注目されていることが伺える。

 現在連載中の3作品を手元に抱えて多忙なはずだが、なぜ毎日描き下ろし漫画の投稿を続けられるのだろうか。曽山さんご本人にお話を伺った。

◆20年間溜まったボツネタをTwitterで消化

 まず、Twitterを始めたきっかけは何だったのだろうか。

「最初は単純にコミックスを宣伝するためにTwitterを始めました。ただ、それだけだと面白くないので、次第にTwitter用の描きおろし漫画を描くようになったんです。

 僕は20年ぐらい前から漫画に使うためのネタ帳を作ってるんですが、そこに『コロコロコミック』(小学館)では使えないようなネタがめちゃくちゃ溜まっていたんです。他の漫画のパロディだったり、レトロゲームあるあるだったり……子ども達に伝わらないようなネタですね。

 この溜まったネタを消化できないかと考えた結果、『Twitterやブログで描いちゃえばいいのか!』という結論になりまして、好き勝手に描くようになりました」(曽山さん、以下同)

◆ウケなくても「大してダメージがない」好き勝手に描ける漫画は“ご褒美”

 曽山さんは、Twitter用の漫画と商業誌に連載中の漫画を描くときの感覚の違いについて、こう続ける。

「雑誌だと読者アンケートというものがあり、そこで結果を出したいと思って描く漫画家さんがほとんどですし、僕もモチロンそのひとりです。結果を出せなければ、次のチャンスが巡ってくるまでに1年……下手をすればそれ以上、影で誰にも読まれず、お金にもならない漫画を描き続けなくてはいけなくなります。

 ですが、SNSなら結果が出せなくても、大してダメージがないんです。ダメだったらまた明日違う漫画描いて乗せればいいだけなんですから。なので、SNSではドンドン作品を発表できます。自分で言うのもなんですが、駄作でもいいから数でゴリ押しする感じです(笑)」

 とはいえ、3本の連載を抱えながらTwitter向けの漫画を毎日描き下ろすのは大変そうだ。

「Twitter用の漫画を描くのは大変ではなく、むしろ“ご褒美”です。朝から夜6時くらいまでは雑誌で連載している原稿を描き、それらの仕事が全て終わった一日の最後に『ここからは好き勝手に漫画を描いてもいいんだ!!』って、Twitter用の漫画を描いています。

 Twitter用の漫画では何でも描けますから、僕がホントに自由に漫画を描いていた子供の頃に一番近い感覚で描いているかもしれません」

 こうして漫画を描くことを純粋に楽しみ、ひたすら投稿を重ねていったことがTwitterで人気に火が付いた理由かもしれない。

◆毎日漫画を投稿するのは“筋トレ”みたいなもの

 毎日欠かさず投稿するのに何か理由はあるのだろうか。

「筋トレみたいなものです。継続に勝る力無し! と思っているので、ヘタクソでもつまんなくてもいいんです。とにかく描き続ける! そして発表する! 完成度は二の次です。

 とにかく僕が『めんどくさい! もう描きたくない!』って思わないようにするのが重要なので、手を抜けるところは抜いて、とにかくラクに描くことを心がけてます。

 過去に似たようなポーズのコマがあったらコピーしまくってますし、背景なんてほとんど描きません。描いても地平線の1本で十分です。フリー素材もガンガン使います。読んでくれている人からお金をもらってるわけではないので、手を抜いても罪悪感とかは全然ないです。すいません……」

◆「一生のうちでどれだけ多くの人に読んでもらえるか」

 最後に、今後の展望について伺った。

「Twitterの漫画については、いつか一冊にまとめて書籍化できたら嬉しいです。でも大事なのは僕自身が楽しく描くこと。そして、変な話ですが、自分の漫画を一生のうちでどれだけ多くの人に読んでもらえるかが僕のなかで勝負になっているので、その勝負の場として今後もSNSを利用させてもらおうと思っています。

 ……こんなこと言っといて、ある日急に『飽きたからやーめた!』とか言い出すかもしれません。その時はごめんなさい。でも、やめるまではやめません! 描ける間は描きます! 頑張れるうちは頑張ります!」

——気負わず、マイペースながらも毎日欠かさずTwitterに投稿する漫画を描き続ける曽山さん。クリエイターにかぎらず、一般企業でもSNSの活用が求められている昨今。その姿勢には、見習うべき部分が多いのではないだろうか。<取材・文/福永全体(A4studio)>


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