人間とは何か?考えさせられるおすすめSF小説

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SF作品と聞けば、みなさんは何を想像しますか?宇宙人が出てくる物語?荒廃した未来の地球?そう、単にSFといっても、そのジャンルは多岐に渡ります。私たちの想像力を掻き立ててくれるSF作品。今回はその中から、人が人として生きるには何が必要なのか、考えさせられる作品を紹介します。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

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アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229)) (日本語) 文庫

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<フィリップ・K・ディック/早川書房>

あらすじ

放射能灰に汚染された地球。
そこでは、人間以外の生きた生物はほとんど絶滅し、アンドロイドとの共存が普通となっていました。

当然、生きている生物を飼うことは一つのステータス。主人公のリックは、飼っていた羊を不注意により死なせてしまい、本物の生物を所有することを渇望しています。

そんなリックの職業は、違法に逃げ出したアンドロイドを狩る賞金稼ぎです。
上司がアンドロイドに返り討ちにされたのをきっかけに、リックは手強いアンドロイド6体を追うことになります。

しかし、彼らを追っていく最中、あまりに人間に近いアンドロイド、あるいはアンドロイド識別のテストに引っかかってしまう人間を知り、リックは自分のしていることに迷いを持ち始めるのでした。

おすすめポイント

映画「ブレードランナー」の原作としてご存知の方もいるでしょう。
実際にあり得そうな近未来の中、何をもって人間とアンドロイドの違いを判断するのか、筆者なりの見解を述べた物語です。

現代でも、ロボット技術が進み見た目上は本物そっくりな動物型ロボットや人間型ロボットが開発されていますよね。
実際に本物と勘違いするレベルまでは到達していませんが、この作品のようなアンドロイドが出現する未来はあるかもしれません。

そうなった時、私たちは何を根拠に人を人だと判断するのでしょうか?じっくりと考えさせられる作品です。

映像化情報

映画『ブレードランナー ファイナル・カット』予告編【HD】2019年9月6日(金)IMAX2週間限定公開( ワーナー ブラザース 公式チャンネル)

この作品は『ブレードランナー』というタイトルで映画化されています。

何度も観たい名作だと評されており、リメイクもされているようです。
根強いファンも多い作品です。

ブレードランナー

ブレードランナー

1982年/アメリカ/116分

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ブレードランナー ファイナル・カット

ブレードランナー ファイナル・カット

2007年/アメリカ/117分

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ブレードランナー 2049

ブレードランナー 2049

2017年/アメリカ/163分

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第二人称現在形

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2000年代海外SF傑作選 (ハヤカワ文庫SF) (日本語) 文庫

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<ダリル グレゴリイ/早川書房>

あらすじ

クラス夫妻は2年前に娘のテレーゼを亡くしました。
それ以来、彼らはテリーを娘だと思い込み、連れ帰ろうとしています。テリーは17歳の少女。しかし実のところ、彼女は産まれてから2年しか経っていなかったのです。

自我を消し去ってしまうドラッグ“ゼン”。それを過剰摂取したことで、テレーゼという自我はなくなり、代わりにテリーが誕生しました。

テリーをテレーゼに戻すため、両親とセラピストが懸命に治療を施していく過程とテリーとしての思考を描いた短編作品です。

おすすめポイント

2000年代海外SF傑作選に収録されている作品です。

テリーには自分がテレーゼだという意識はありません。両親がいくら彼女を自分の娘テレーゼだと認識しても、テリーにとって自分はテリーであり、テレーゼにはなり得ないのです。

作品では、彼女をテレーゼにするための治療が行われますが、果たしてそれは正しいことなのでしょうか。別人格が発生した身体は、別人物として扱うべきなのか、そうでないのか…何がその人をその人たらしめるのかという問いかけを残す作品です。

私も、身近な人物がこのような状況になった場合、その人を以前の人と同一人物として扱えば良いのかは分かりません。きっと、その時にならないと解けない問題なのでしょう。

ハーモニー

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ハーモニー (ハヤカワ文庫JA) (日本語) 文庫

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<伊藤 計劃/早川書房>

あらすじ

自殺しようとして失敗した霧慧トァン。
彼女は先に逝ってしまった自身のカリスマ“ミァハ”の影を辿るように成長しました。

完璧で健康的な『生府』の恩恵を適度に受けながら、上級監察官として戦場で禁じられた嗜好品を楽しむ日々。しかしそんな違法行為が見つかり、トァンは彼女にとっては監獄とでも言うべき日本で謹慎処分を受けることになります。

日本で再会したキアンは、トァンと同じく自殺に失敗した同志。
キアンはトァンとは違い、あれから“オトナ”の枠の中にきっちりと収まってしまっていました。

そんなキアンが、トァンとの食事中に自殺。
各地で同時多発的に起こった自殺騒動の当事者として、ただ一人「ごめんね、ミァハ」という言葉を残して。

死の真相を知るため、トァンはこの事件の調査に乗り出すのでした。

おすすめポイント

伊藤計劃先生の作品。

生府からのシステムに従っていれば誰でも健康に過ごすことができる世界(ユートピア)が舞台です。

主人公のトァンは、ミァハとの出会いによって自分が他人とは違うことに気づかされ、彼女に魅了されていくのですが、そのミァハ本人は先に死んでしまうのです。しかし、友人キアンの自殺をきっかけに、トァンは再びミァハの影を感じるようになります。

人が人らしく生きるとはどういうことなのか、を主人公のトァンの目線で追っていく物語です。
ミステリーの要素もあり、非常に奥深く楽しめる作品だと感じます。

映像化情報

「ハーモニー」劇場本予告(ノイタミナ YouTubeチャンネル)

2015年に映画化もされた、この作品。

アニメ作品ですが、世界観がしっかり説明されており、原作を読むきっかけになったという方も多いようです。

ハーモニー(2015)

ハーモニー(2015)

2015年/日本/120分

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一九八四年

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一九八四年〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫) (日本語) ペーパーバック

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<ジョージ オーウェル/早川書房>

あらすじ

ビッグ・ブラザーの支配する党による絶対的な監視社会の中で暮らす人々。そこではビッグ・ブラザーは常に尊敬すべき対象です。
彼らに反抗する者は「思考警察」によって取り締まられ、そして突然“いなかったこと”になってしまいます。

主人公のウィンストンは、真理省記録局に勤め、日々歴史の改竄に携わっていました。周囲に合わせてビッグ・ブラザーを崇めつつも、心の中では違和感と鬱屈とした感情を抱えていたウィンストン。彼は、まことしやかに囁かれる噂の「ブラザー同盟」に密かに憧れていました。ブラザー同盟は、ビッグ・ブラザーに反抗する地下組織と言われており、誰もその存在や入会方法を知りません。

ある日ウィンストンは、党に取り締まられない程度に奔放に生きる女性ジュリアと出会います。
この出会いをきっかけに、ウィンストンの生活は反ビッグ・ブラザーへと傾いていくことになるのですが…。

おすすめポイント

学生時代に読み、衝撃を受けた作品です。徹底的な監視社会というテーマはよく取り上げられるものではありますが、この作品が原点とも言えるのではないでしょうか。

主人公の行く末を見守りながら最後まで読んだ後に訪れる妙な緊張感。
もしかしたら、今、この小説と同じようなことがどこかで起こっているのかもしれない、と感じさせてしまうリアルさと緊迫感がこの作品にはあります。
ウィンストンとジュリアの出会いから別れまでの心理描写も必見です。

映像化情報

この作品は映画化されています。

難解だが、原作の空気感が見事に表現されていると評価も高いようです。

1984(1984)

1984(1984)

1984年/イギリス/113分

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新世界より

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新世界より (上) (日本語) 単行本

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<貴志 祐介/講談社/全3巻>

あらすじ

“呪力”という力を得た1000年後の世界。子どもたちは成長して呪力を得ることで和貴園から全人学級へと進学できる仕組みでした。

早季、真理亜、瞬、覚、守の5人は仲の良い友だちで、全人学級で楽しい日常を過ごしています。
そう、クラスメイトが次々と消えていくことに何の違和感も抱かずに…。

そんな中、不思議な生物『ミノシロ』に遭遇したことをきっかけに、早季たちは自分たちを取り巻く“真実”に少しずつ足を踏み入れていくことになります。

そして2年後、瞬が突然姿を消したことから物語は急展開を見せるのです。

おすすめポイント

ホラー、ミステリーでも有名な、貴志祐介先生の作品。
貴志先生の小説はどれも世界観がしっかりと固められていて“もしもこんな世界だったら〜”とすんなり小説の設定に入り込めます。

また、ほのかに漂う不穏な気配も読者を引き込み、飽きさせません。
始めから何か隠されているのは分かるのですが、その理由が分からず味わう不気味さもこの作品の醍醐味。

最後の秘密が明かされた時の衝撃をあなたも体感してみてください。

映像化情報

新世界よりPrelude#1(tvasahi)

『新世界より』はアニメ化されています。

昔の作品ではありますが、声優の熱演や映像表現がすごいと話題に。
一見の価値アリです。

なめらかな世界と、その敵

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なめらかな世界と、その敵 (日本語) 単行本

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<伴名 練/早川書房>

あらすじ

人々が“乗覚”によって様々な並行世界を移動するのが当たり前の社会。葉月は、嫌なことがあればすぐに他の世界に逃げ込めばいい、だって他の世界には無限の『わたし』が存在するから、なんて考えていました。

一方で、乗覚障害者と呼ばれる友人のマコトはみんなのように世界を渡り歩くことができません。
みんな、気に入らないことがあれば別の『わたし』に乗り換えていく、という孤独を感じながら過ごすマコト。
そんなマコトの姿を見たり、世界を旅したりする内に、葉月は重大な決断をすることになるのでした。

おすすめポイント

嫌なことから逃げ続けられる、独特な世界を描いた作品。

葉月は世界を渡り歩いていく中で、父親の死でさえも「ああ、そんなことあったっけ」と思えてしまうほど物事や人に関する感情が希薄になっていきます。
マコトはずっと自分を見てくれる人がいないことを嘆いていましたが、それは乗覚を持った人々も同じなのです。

嫌なことから永遠に逃げられる世界だけれど、それで本当に“人として”満足できるのか?を問いかけてくる作品。

収録されている他の話も小ネタが散りばめられたSF作品ですので、是非一緒にご覧ください。

彼女は一人で歩くのか?Does She Walk Alone?

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彼女は一人で歩くのか? Does She Walk Alone? (講談社タイガ) (日本語) 文庫

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<森 博嗣/講談社/完結/シリーズ全10巻>

あらすじ

人間と、人間そっくりなウォーカロンが共生している世界。見た目では人間とウォーカロンを識別することができないため、ハギリは2者を判別する研究を進めていました。

そんな中、突然何者かに襲撃されるハギリ。
ハギリに危機を知らせ、保護しにきたウグイは、ハギリが狙われた理由を「研究内容」だと推測します。

正体不明の敵から逃亡生活を続けながら、ハギリはウォーカロンの秘密に迫っていくことになるのです。

おすすめポイント

『Wシリーズ』第1作目で、人間とウォーカロンの違いについて描いた作品。
人間と非人間の違い、というと『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』が有名ですが、どうやらこの作品は前述の作品を参考にして作られたようです。

私は森先生の作品をここで初めて読みましたが、先生は他にもいくつかのシリーズを執筆しています。
この作品には『百年シリーズ』や『Gシリーズ』で出てきた登場人物などが出演するそう。また、世界観も繋がっているのだとか。そういった意味でもわくわくする作品ですね。

内容としては、自分を襲った者たちから逃げつつ正体を探り、途中で人間とウォーカロンの違いについて考えさせられるような内容となっており、この一冊だけでは全貌が明かされません。
しかし、私たちが想像する“ありそうな未来”が所々に散りばめられており、読後の想像力を膨らませられる作品となっています。

続刊と合わせて読んで欲しい一冊です。

すばらしい新世界

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すばらしい新世界 (光文社古典新訳文庫) (日本語) 文庫

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<オルダス ハクスリー/光文社>

あらすじ

人間が徹底的に管理されている“すばらしい新世界”。
そこでは、人間は人工胚により誕生を管理され、予め決められた階級によってこの世に“出瓶”されるのです。

ただ、そこに暮らす人間たちは紛れもなく幸福でした。
最低階級であるイプシロンでさえも、自分の産まれた納得しています。それは、誕生時に自分の境遇に疑問を抱かないような知能にされているから。
もし気分が悪くなっても、ソーマ(副作用のない、幸福感を高める薬のようなもの)を飲めば万事解決。

そんな中、アルファにもかかわらずある理由でコンプレックスがあるバーナードと、今の私たちと同じような視点のジョンの2人で物語は展開さていくのですが…。

おすすめポイント

『1984年』と並び称される作品。
この世界で暮らす人々は幸福なのですが、何かが欠けています。いや、欠けているように感じる、と言った方が正しいのかもしれません。
当たり前ですが、私たちは不幸なことがあるから幸せをより一層強く感じるわけです。幸福な状態が続くのであれば、同じくらい幸せな出来事に出会ったとしても喜びは半減してしまうことでしょう。

また、もう一つ注目して欲しいのが、この物語に描かれている社会構造です。
有名な研究で、アリの巣にいる“働いていないアリ”を取り除いても、“働いていないアリ”だけにしても、働きアリと働いていないアリの割合は一定に戻るというものがあります。
私は、この本を読んで人間社会でも同じようなものを感じました。

外側から見ていると違和感に気づけるのですが、もし自分がこの社会の一員だったとしたらどうでしょうか?そんな、ありそうな未来を予感させてくれる作品です。

映像化情報

【予告】 「BRAVE NEW WORLD/ブレイブ・ニュー・ワールド」Huluにて12/16から独占配信(Hulu Japan公式)

この作品は原題の『BRAVE NEW WORLD』というタイトルでドラマ化されています。

原作とはまた違ったストーリー展開で楽しめたという評価が多く寄せられていますね。

アルジャーノンに花束を

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アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV) (日本語) 文庫

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<ダニエル・キイス/早川書房>

あらすじ

32歳のチャーリーは、知的障害により6歳の知能しか持ち合わせていませんでした。

ちょうどその頃、ビークマン大学ではストラウス博士らが人工的に知能を上げる手術を成功させます。成功した実験体の名前はアルジャーノン。アルジャーノンは、なんとハツカネズミだったのです。

博士らの勧めにより、チャーリーはその外科手術を受けることに。
手術は無事成功し、“人工的な天才”となったチャーリーですが、天才には天才なりの苦悩が待ち受けていたのです。

おすすめポイント

こちらも有名作品ですので、目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。
手術によって賢くなった主人公を通じて、人の心や人の在り方を描いた不朽の名作です。

今とは違い、障害者=非人間のような認識が広く浸透していた時代。
チャーリーは賢くなることが良いことだと信じ切っていたことでしょう。

しかし、賢くなると同時に以前は気づかなかったことに気づき、次第に孤独になっていくチャーリーを見ると、「賢さが全てではない」と感じますね。

また、ラストに近づくにつれ、人の温かさや、人間らしくあるということの意味を考えさせられる作品にもなっています。

映像化情報

何度も映画化・ドラマ化されているこの作品。

原作とは違った展開になっている映画もあり、それぞれの作品の違いを比較するのも楽しみの一つかもしれません。
日本では、ユースケ・サンタマリア、山下智久主演で2度ドラマ化されました。

まとめ

今回はおすすめのSF小説を紹介しました。
SF作品は、作者の思いや何かしらの示唆を含んでいるものが多く、じっくり腰を据えて読んで欲しいジャンルでもあります。気になる作品があれば、是非手に取ってみてくださいね。

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  • 5/3 20:00
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