ニジマス・江嶋綾恵梨 アイドル活動10周年「オーディションに落ちたら引退だった」

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 女性アイドルグループ・26時のマスカレイド(通称:ニジマス)でリーダーを務める江嶋綾恵梨(25)が、2021年でデビュー10周年を迎えた。

 地元・福岡のローカルアイドルグループ・QunQun、ソロアーティスト・綾恵梨、そして東京進出とともに活動を開始した現グループと、新たな可能性を求めて懸命に走り続けた彼女は、何を思い、何を目指し、“表現者”としてのキャリアを積み上げてきたのか。10周年を記念したアニバーサリーブック『memorial.』も出版され、今まさに充実期を迎えた江嶋が、アイドルとして輝くまでの道のりを振り返った。

◆10周年を“カタチ”に残せたことの喜び

 2011年1月9日、アイドルとして活動を開始してから丸10年。「ちょうど福岡で5年、東京で5年、あっという間でしたね」と笑顔で語る江嶋。この記念すべき日を祝してアニバーサリーブックも制作され、デビューした日に発売するというスタッフの計らいが彼女を大いに感激させた。

 「自分なりに10周年企画を何かやりたいと思っていたのですが、コロナ禍の影響でライブもあまりできず、行動も制御されることが多くなったので、あきらめかけていたんです。そんな時にスタッフさんが、『本を出さない?』と声をかけてくださって。もちろん『ぜひ、やらせてください!』って飛びつきました。10周年という節目を“モノ”として残せることがとにかく嬉しかったですね」。

 思い入れたっぷりのアニバーサリーブック、江嶋自身も企画・編集に参加し、さまざまなアイデアを盛り込んだ。

 「地元・福岡の思い出の地を巡ったり、お世話になった元バイト先の“磯丸水産”で当時を再現したり、私にゆかりのあるいろんな場所で撮影させていただきました。そして、(35,000字に及ぶ)ロングインタビューやこれまでお世話になった方々からの愛に溢れたメッセージもたくさん載せていただいて…。私の半生がほぼ盛り込まれていて、これ一冊で私の親友レベルの情報をファンの方も知ることができるかも!そういった意味では出版することができて本当によかったです」。

◆スポーツ大好き少女にアイドルの神が微笑む

 さかのぼること10年前、中学2年生だった江嶋は、バレーボールに熱中し、髪はショート、普段着はジャージという典型的なスポーツ少女だった。そんな彼女がなぜ、アイドルに開眼したのか?

 「母が松田聖子さんの大ファンで、コンサートにも何度か連れて行ってもらったのですが、その影響からか、℃-uteさんやモーニング娘。さんなど、可愛い女の子のアイドルが大好きで、ライブへ行ったり、カラオケで歌ったり、あくまでも観る側で楽しんでいたんです。ところがある日、友だちからダンススクールの体験レッスンに誘われて、軽い気持ちでやってみたら、これがもうメチャクチャ楽しくて!『アイドルってこんな気持ちで踊っているのかな?』って想像したらやめられなくなってしまって、結局、バレーボールと並行してやることになったんです」。

 そして江嶋は、最終的にバレーボールを断念し、ダンスを選ぶことになる。

 「決定的な理由は、オーディションですね。福岡でアイドルグループ(QunQun)を立ち上げるということで、ダメ元で応募したら、これがたまたま受かってしまって。最初はバレーボールと両立しようとがんばっていたのですが、予想以上に忙しく、部活を早退してレッスンに行ったり、週末はライブ活動で埋め尽くされたり、そういう生活がずっと続いたので、これは難しいなと。苦渋の決断をせざるを得ませんでした」と葛藤を明かす。「ダンスをやめてバレーボールを続けるという選択肢もありましたが、オーディションに受かるなんて滅多にないこと。運命的というか、今から思えば、アイドルに導かれていたのかもしれませんね」

◆アイドル戦国時代の中で悩み苦しんだ日々

 中学3年生になった江嶋は、バレーボールに終止符を打ち、高校進学も推薦を受け、晴れてQunQunのメンバーとしてアイドル活動を本格化させた。だが、世はアイドル戦国時代。福岡では地産地消アイドルが全盛期を迎え、橋本環奈が所属していたRev. from DVL(レブ・フロム・ディーブイエル)も、このころしのぎを削ったグループの一つ。QunQun自体も約60人を抱える大所帯、半年に1回の総選挙で選抜メンバーが入れ替わるという厳しいものだった。

 「これだけ人数がいると、キャラが被る女の子が必ず出てくるので、生き残るために毎日ブログを書いたり、“あえりんご”というニックネームにすがって、りんごを持ちながら自撮りしたり、りんごのネックレスを付けたり…この時期はちょっと迷走していたかもしれません」と苦笑い。

 人気を可視化する総選挙という魔物。だが、この仕組みが江嶋をさらに進化させる。

 「選抜に入れなかったら、絶対に観てもらえないし、顔も覚えてもらえないので、そこで私の中にあった“負けず嫌い”のスイッチが入りましたね。アイドルはただニコニコして、歌って踊っていればいいという考えが完全になくなりました」。

 アイドルと真摯に向き合うようになった江嶋は、歌とダンスはもとより、メイクやファッション、美容などにも気を遣うようになり、女子力もぐんぐんアップ。SNSなどにもいち早く取り組んで、選抜の常連となる。

 ところが、そこで大きな壁にぶち当たる。「選抜に入っても、マイクを持てるのは6人程度。しかもイベントによっては、歌える人数が制限され、4人しか歌えないとか、そういう場面が結構あったんです。そのころ私は、ダンスだけでなく、“歌う楽しさ”にどんどん目覚めていった時期で、それができないことがとにかく悔しくて。ライブで確実に歌うためにはもっと総選挙をがんばらなければいけない、という思いがさらに強まったのですが、その反面、票集めに時間を費やしているこの時間は何なのだろう?と考えるようにもなったんです」。

 最初の扉はダンスだったが、アイドル活動を続ける中で、歌の楽しさを知った江嶋。徐々にやりたいことが明確になった彼女は、ここでまた、新たな決断を下す。

◆ソロ活動を経てアイドルの理想形“ニジマス”へ

 QunQunを卒業した江嶋は、エイベックス・アーティストアカデミー福岡校のボーカル&ダンスコ―スに入学し、歌とダンスをもう一度、基礎から学ぶことに。

 「ここはヴィジュアルやキャラではなく、歌のうまさ、ダンスのうまさで評価され、実力でランクが付けられる世界。自分ができなければランクは下がるし、上のクラスへはなかなか行けないという、総選挙とはまた違った厳しさがありました。でも、確実にスキルは上がるし、授業も楽しかったし、同じ切磋琢磨でも、こちらの方が自分には合っていた気がしますね」と述懐する。

 票集めに気を取られることなく、歌やダンスをじっくり学べた江嶋。スクール生活は思いのほか順調だったが、ずっと生徒でいるわけにはいかない、という人生の分岐点が再び迫り来る。

 「スクール内のオーディションでユニット(LEGIT)のメンバーに選んでいただいて、久々にグループでやる楽しさを感じたり、ソロ歌手として好きな歌を好きなだけ歌ったり、そのころは、アーティスト感覚で、迷いながらも両方のいいとこ取りをして楽しんでいた時期ですね。でも、QunQunをやめたことにどこか心残りがあるのか、『最近、あの子見ないけど、何してるの?』って言われるのが凄く嫌で。年齢も20歳になり、これがラストチャンスということもあったので、ちゃんと歌える環境があるなら、もう一度アイドルグループとしてやってみたい、という思いが自然と湧いてきたんです」。

 そして巡ってきた最大のチャンス。舞台は憧れの東京、のちにニジマス結成の扉を開く“読モBOYS&GIRLS×Zipperアイドルオーディション”だ。

 「本当にこれが最後。ダメだったら、芸能をキッパリやめて、普通のお仕事をしようと決意して臨みました」と当時を振り返る江嶋。落ちたら終わり、まさに背水の陣で挑んだオーディションは、異色のトライだった。

 「特技が全くない私は、自己PRが鬼門でしたが、今回は、いろいろ悩んだ結果、筆で詩やイラストを色紙に描くという、ソロ活動の時にやっていた企画を持ち込んでアピールしました。今やれと言われたら、とてもじゃないですが恥ずかしくてできませんが、その時は『絶対に落ちたくない!』という思いが強すぎて(笑)。他にこんなことする子がいなかったせいか目に留めていただいてようで、なんとか合格することができました」。

 もちろん、特技だけでなく、歌やダンスなどパフォーマンスも評価されての合格だと思うが、それにしても、ここ一番のオーディションで江嶋は必ず結果を残す。勝負強さも彼女の才能の一つと言えるだろう。
 
 ニジマスの第一期生として立ち上げから参加し、今ではリーダーを務めるまでに成長した江嶋。後編のインタビューでは、メンバーへの思いとともに、これからのニジマスについて、そして江嶋自身について、たっぷりと語っていただいた。乞うご期待!

取材・文:坂田正樹
撮影:林紘輝

―[26時のマスカレイド]―

【坂田正樹】
広告制作会社、洋画ビデオ宣伝、CS放送広報誌の編集を経て、フリーライターに。国内外の映画、ドラマを中心に、インタビュー記事、コラム、レビューなどを各メディアに寄稿。ブラッド・ピットからアイドルグループまでインタビューした著名人は1,000人以上。 日本映画ペンクラブ、日本社会心理学会会員(Twitterアカウント:@Macky_2323)

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