あまりに強すぎる阪神優勝の現実味は? 過去の栄光を知る新旧OBが解説

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 今年の阪神は尋常じゃないほど強すぎる――。

 4月24日のDeNA戦、打ってはドラ1の佐藤輝明がプロ初の猛打賞、投げてはドラ2の伊藤将司がプロ初完投で13対1の快勝。翌25日もDeNAに勝ち越し、貯金を11に積み重ね首位を走る。

 矢野燿大監督から新キャプテンに指名された大山悠輔を筆頭に破壊力のある打撃陣とチーム防御率2点台の投手陣。若手主体といえども、今の阪神は過去の優勝時のメンバーと比べても見劣りしないのではないか?

 栄光を知る新旧OBの2人が解説する。

◆あまりに強すぎる阪神優勝の現実味は?

 ペナントレースはまだ始まったばかりだが、気の早い阪神ファンたちの間では、16年ぶりのリーグ優勝は間違いなしとの声も(例年通り?)聞かれる。

 ’03年、星野仙一監督のもとで、阪神優勝に貢献した藪恵壹氏は開幕スタートダッシュに成功した理由に「先発投手陣の安定」をあげる。

「西勇輝、ガンケルをはじめとする先発投手陣がきちんと試合をつくっており、23試合を消化した時点で実に16試合がクオリティ・スタート(先発投手が6イニング以上を投げ、かつ自責点が3以内)と、驚異的な数字です。中継ぎ・抑えも岩貞祐太、岩崎優、スアレスの3人の投手リレーで勝ちパターンができている。岩崎と岩貞は左投げだが、これに右投げの小林慶祐が戦力に加わったのも大きい」

 さらに攻撃陣も充実している。

「4月20日の巨人戦で、クリーンナップが5本塁打を放ち圧勝したように、3番サンズと5番マルテ、そして4番大山と好調を維持している。マルテは明るい性格で、本塁打を打ったときに弓を引くポーズを選手全員と披露したり、ベンチのムードを盛り上げるのに一役買っており、チームはいい雰囲気ですね。’03年のリーグ優勝のときは、現監督の矢野が7番、藤本敦士が8番で、ともに3割超と下位打線が強力だった。今年も7番の梅野隆太郎は勝負強いし、8番中野拓夢も高打率を残している」(藪氏)

◆「優勝するには巨人との直接対決で勝つことが条件」?

 まさに「投打が嚙み合う」とは今の阪神を表す言葉だ。しかし、丸佳浩やウィーラーら主力が新型コロナに感染し、戦力が整わないまま戦ってきたライバル巨人は3ゲーム差の3位につける。

 3勝3敗で巨人とは五角の対戦成績だが、それでは優勝は難しいと藪氏は言う。

「阪神が優勝する年は、必ず巨人がコケる。阪神がリーグ優勝した’03年は巨人が3位、’05年は5位に終わっています。僕が阪神で優勝した’03年、対巨人戦は17勝10敗1分けと大きく勝ち越していたし、’05年も14勝8敗だった。つまり、優勝するには巨人との直接対決で勝つことが条件。実際、開幕からの先発ローテーションも、巨人戦を見越したものになっており、西をはじめいい投手をぶつけている。ファンも巨人に勝つことを求めているし、ある意味、ほかに負けても巨人にさえ勝てばいい(笑)。そうすれば今年のチームなら、自ずと優勝は近づいてくる」

◆「個人の成績なんかで一喜一憂しとったら優勝なんかできへん」

 巨人の「ミスター・パーフェクト」こと槙原寛己から放ったバース、掛布、岡田のバックスクリーン3連発など、数々の伝説を残して日本一に輝いた’85年の黄金時代を知るOBはどう見ているのか?

「代打の切り札」として優勝の立役者となった阪神OB会長の川藤幸三氏が話す。

「ホームラン王争いや新人王など騒がしいが、個人の成績なんかで一喜一憂しとったら優勝なんかできへん。確かに、野球は個々の勝負やし、強いチームは当然個人の数字もいい。でも優勝するチームはそれだけではない。文字通り、打線が“線”でつながっている。今の阪神がそう。開幕当初は調子があがらなかった1番近本、4番大山を2番糸原、3番マルテ、5番サンズが補っていた。マルテは選球眼の良さでフォアボールを選んでチャンスを広げることもでき、大山が打てなくても、サンズが走者をかえす」

 6番は怪物ルーキーの佐藤外野手。4月23日、DeNA戦の守備では、満塁の場面で打者走者まで生還するエラーを犯したが、24日はお返しとばかりに2打席連続満塁で適時打、25日は先制2ランを放った。

「あんなエラー、どうってことないわ。エラーの1つや2つ気にしとったら、野球なんかできるか。あれだけ注目されているなかで、結果を残すのは大したもの。相手ピッチャーも『ルーキーになんか打たれるか』と意気込むから、佐藤を抑えても、気が緩んだところに次は得点圏打率が6割超の7番梅野が待っている。そして8番にもルーキーの中野が出てきた」

◆立ちはだかるのは宿敵・巨人だけではない

 一方、心配もある。プロ9年目で初の開幕投手を任された藤浪晋太郎投手は4月23日のDeNA戦で、5回途中、7四死球4失点で降板。今季初黒星とはいえ、これまで登板した5試合で四死球を5つ以上と、コントロールが安定せず、2軍で再調整となった。

「ここ数年はもがいてもがいて苦しんでいる。昨年は中継ぎも経験し、直球で162㎞を出した。それで今年は磨きのかかったストレートで勝負ができていた。これまでの藤浪とはちょっと違う姿を見せている。調子は悪くない。長いシーズンで、うまくいかないときもあるのが野球や」(川藤氏)

 さらに今年は大きな壁も立ちはだかる。

「交流戦、東京五輪、そして新型コロナ。苦手な交流戦を勝ち抜いても、7月は東京五輪で試合中断や。どれだけ調子がよくても、潮目が変わるかもしれない。そしてもし選手がコロナに感染したら、一気に戦力ダウン。今年のペナントレースほどわからんものはない。それだけに一試合一試合を丁寧に腹決めて戦わんとあかん」(川藤氏)

 まだVロードへの歩みは始まったばかり――。

<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!4月27日発売号より


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