宇垣美里、アカデミー賞を予想。43歳で急死した男優に「受賞してほしい!」

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 昨年、『パラサイト 半地下の家族』の作品賞を含む6部門での受賞が、大きな驚きと、話題を集めたアカデミー賞。

 例年2月~3月に開催されますが、今年はコロナ禍の影響により、遅れて4月26日午前8時半頃(日本時間)より開催されます。WOWOWでの生中継で、ジョン・カビラさんとともに案内役を務める宇垣美里さんにインタビュー。

 ノミネート作品の多くをすでに鑑賞済みの宇垣さんに、作品賞や主演男優賞・主演女優賞など、注目部門への予想をズバリ聞きました。

◆作品賞は、各映画賞で話題の『ノマドランド』を予想

 まずは作品賞から。ノミネート8作品の中から、宇垣さんが「受賞する!」と予想したのは6部門にノミネートのロードムービー『ノマドランド』。ノンフィクション小説を原作に、「ノマド(遊牧民)」と呼ばれる車上生活者の生きざまを描く作品です。

 オスカー女優フランシス・マクドーマンドが主人公を演じ、実際にノマドとして生活する人たちも出演。

宇垣美里さん(以下、宇垣)「彼らの人生の象徴でもある、アメリカ西部の自然の広大さや厳しさを、とても美しく切り取った作品です。そこに寄り添うような、心にしみる音楽も相まって、とても印象的なシーンがたくさんあります。

 そして主演のフランシス・マクドーマンドがすごい! 全く違和感なくノマドの方々に馴染んでいます。ひとりひとりにとって、家とは、ホームとは?と考えさせられる作品です」

『ノマドランド』は、監督賞にもノミネート。中国で生まれ、アメリカで活躍するクロエ・ジャオ監督が、アジア系女性監督の初ノミネートにして本命視されていることも、注目を集めています。

宇垣「彼女の前作『ザ・ライダー』も観ました。やはりドキュメンタリータッチで、対象に近いんだけど近すぎない、とても優しい目線で描いていく印象の監督です。

 アメリカンではなく、さらに女性である監督の作品が賞を取るというのは、今後の監督たちにとって心強い後押しになると思いますし、映画関係者ではない人たちにも、勇気を与えてくれると思います」

◆主演男優賞は、逝去したチャドウィック・ボーズマンに取ってほしい

 主演男優賞には5人がノミネート。アンソニー・ホプキンス、ゲイリー・オールドマンらベテランも並ぶ中、宇垣さんは昨年43歳の若さでこの世を去った、『ブラックパンサー』で知られるチャドウィック・ボーズマンに受賞して欲しいと力説します。

宇垣「アフリカンアメリカンの役が限られていたなか、ヒーローにもなって、色んな活躍をして、皆が彼のこれからの活躍を期待していたなか、病に倒れてしまった。

 ノミネート作の『マ・レイニーのブラックボトム』は、彼が亡くなる直前に撮られた遺作です。絶望感や目のぎらつき、断末魔の慟哭(どうこく)のような叫びと、そのあとに現れる虚無といった、ものすごく振り幅の広い、そして鳥肌が立つほどの演技を見せています。会話劇ですが、そこから目が離せなくなるのは、彼のパッションゆえだと感じましたし、主演男優賞を取るべきだと思います」

 主演女優賞に関しては「言葉ではない、眼差しや背中、体で見せる説得力が素晴らしいマクドーマンドかな」と、ここでもやはり『ノマドランド』が強いと予想。

◆「おばあちゃん役対決」の助演女優賞が熱い

 他部門でのノミネートからは、助演女優賞が見逃せないと語ります。

宇垣「実話が基の『ヒルビリー・エレジー -郷愁の哀歌-』のグレン・クローズと、韓国系移民の姿を描いた『ミナリ』(ブラッド・ピット率いるプランB製作)のユン・ヨジョンの、「おばあちゃん役対決」に注目です。

 私は普段から韓国映画もよく観ますが、ユン・ヨジョンは本当にいろんな作品に出ていて、町山智浩さんも日本でいうと樹木希林さんのような、有名な大女優だと言っていました。本作でもとても愛情深くて魅力的なおばあちゃんを演じています。韓国語の作品で俳優賞を受賞したら、それもまたひとつの扉が開くと思います。

 グレン・クローズは、エンドロールにモデルの方の写真が映った瞬間、本当にそっくりでビックリしました。経済発展の中でおいていかれてしまった家族のなかで、必死に力強く踏ん張る姿が魅力的ですし、8回目のノミネートですからね。今回こそは獲ってほしいという気持ちになります」

◆最初に映画館で観たのはジブリ作品

 ご自身の映画にまつわるお話も聞きました。

宇垣「最初に映画館で観たのは『もののけ姫』(97)だったと思います。母と妹と一緒に観に行きました。帰ってからしばらくは、祖父母の家のゴールデンレトリバーの上に乗っては『走れ~!』といって、祖父に止められていました(笑)。

 学生時代には『ロード・オブ・ザ・リング』(01)の1作目を観て感動して、そこから原作の『指輪物語』にハマりました。読んでから観る2作目、3作目はまた全く違った形で感動できて、原作を読むという行為にハマることを教えてくれた作品です」

◆今年は、これからの人の背中を押してくれる賞になる

 最後に、今年のアカデミー賞全般への印象、思いを語ってもらいました。

宇垣「ここ数年、Netflixなどの配信系作品の存在感が大きくなっていて、今年も最多ノミネートの『Mank/マンク』など、すでに中央に出てきています。

 配信系の作品のいいところはしがらみがないところ。ハリウッドでは作られなかったけれど、やることに絶対に意義があるものの土壌になるのは有難いことですし、資金力の面でも大きい。どんどん作って欲しいですが、映画館でも公開して欲しいです。

 そして今年のアカデミー賞は、監督賞に女性が2人、アジア系からも2人と、ノミネーション自体がとてもバラエティ豊かになっています。新しい前例になって、これからの人の背中を押してくれる賞になると思います。すごく楽しみです」

 WOWOWでは「生中継! 第93回アカデミー賞授賞式」を放送。日本スタジオの案内役に、ジョン・カビラと宇垣美里。スペシャルゲストとして中島健人(Sexy Zone)、スタジオゲストとして行定勲監督、河北麻友子、映画評論家の町山智浩(リモート出演)が登場する。

<文/望月ふみ インタビュー写真/山川修一>

【望月ふみ】
70年代生まれのライター。ケーブルテレビガイド誌の編集を経てフリーランスに。映画系を軸にエンタメネタを執筆。現在はインタビューを中心に活動中。@mochi_fumi

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