「スシロー」GW後の一斉休業に見る"ひとり勝ち"の余裕

 4月12日、大手回転寿司チェーンの「スシロー」を展開するスシローグローバルホールディングス(HD)は5月11と12日の2日間、国内にある全586店舗を一斉休業させると発表した。社員や従業員が働きやすい環境づくりを推進するためで、ネット上では称賛の声が相次いでいる。

「同チェーンの一斉休業は今年で3年連続となります。19年におよそ500店舗の休業をおこなったところ社員や従業員から好意的な反響が多く見られたことから、昨年には全店舗に拡大して実施されました。ここ数年、店舗の一斉休業は飲食チェーンのあいだで広まりつつありますが、昨年から今年に掛けては新型コロナウイルスの感染拡大による営業の自粛や時短営業をせざるを得なかったところも多く、そんな中で今年も一斉休業の実施に踏み切ったというのは素晴らしい決断だといえるでしょう」(経済ジャーナリスト)

 今年も一斉休業を実施する背景には、好調な業績がある。スシローグローバルHDが昨年発表した20年9月期(19年10月1日~20年9月30日)の連結業績では、コロナ禍であるにも関わらず売上高2049億5700万円と過去最高を記録しているのだ。

「『スシロー』が好調な要因のひとつには、立地の良さがあると考えられます。実は同チェーンの9割以上は郊外やロードサイドにあるのです。百貨店やショッピングモールに出店していた場合、施設の判断によって強制的に営業の自粛や時短営業をしなければならないケースも多くありましたが、『スシロー』はほとんどその影響を受けなかったのです。今年1月に緊急事態宣言が発令された際にも影響は非常に限定的で、今年に入ってからの全店売上高はどれも前年を上回っており、3月に至っては127.2%と大幅に増加しているのです。もちろん、同チェーンは他にもコロナに対する様々な取り組みをおこなっており、それが受け入れられたという部分もあります」(前出・経済ジャーナリスト)

 今年も一斉休業に踏み切ったのには、コロナ禍にひとり勝ち状態だった「スシロー」の余裕すら感じさせる。

(小林洋三)

2021/4/19 6:00

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