「黄身の色が濃いほうがおいしい卵」は根拠ナシ?“すこやかな卵”の選び方

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 本当に「おいしい卵」が、食べたい。

 みなさんはおいしい卵を食べていますか? スーパーに行くと種類や値段もさまざまですが、やみくもに特売の卵を選ぶ人も少なくないでしょう。前回は「卵の超基本知識」をお届けしましたが、今回は「卵のおいしさ」について考えてみたいと思います。

◆卵の味は、「飼料」で決まる

 専門家ではない一般人が確実に“おいしい卵”を選ぶには、どうすればいいのでしょうか? 黄身の色味が濃いと、栄養たっぷりでおいしそうに思えますが、この“おいしそう”を想起させる色の効果はさておき、黄身の色による栄養・味は、科学的分析データ上では関係がありません。

 卵の“味”自体は、飼料によってほぼ決まると言われています。それではまず、確実においしい卵を探すにはどうしたらいいのでしょうか? その答えとして、あくまでも一例ですが、わかりやすく提示してくれているのが、「ヨード卵・光」(希望小売価格:税込356円)です。2020年にパッケージがリニューアルされ「コク3.5倍」と書かれています。

 ヨード卵・光を生産・販売する日本農産工業が卵を味覚センサーによって計測したデータによれば、この卵は、一般の卵に比べてコクが3.5倍なんだとか。実際に、卵かけご飯、シンプルな卵焼き、オムレツなどプリンなどで実食してみましたが、明らかに濃厚さが口の中でわかるレベルでした。

◆卵自体が“健やかな状態”って?

 そして次に、卵のクオリティの話に移りましょう。目先のおいしさだけでなく、卵自体が本来の健やかな状態に近いこと、サステナビリティの視点で共感できることは、これからの時代を生きる上で欠かせない視点です。

 それらの観点から意外と理解されていない、「有精卵」、「平飼い」、「オーガニック」について整理をしてみました。

◆有精卵・平飼い卵・オーガニック卵の違い

1.有精卵

 店に並ぶ多くの卵は、「無精卵」。メス鶏は、受精しなくても卵を産むことができるため、それらを採取したものになります。

 一方「有精卵」は、オス鶏を同居させる環境で採取された卵で、受精されている可能性が高く、温めるとヒヨコになる可能性があります。つまり、精子があるかないかという違いのため、栄養価については、有精卵と無精卵で違いがありません。

2.平飼い卵

 鶏舎内または屋外において、鶏が床面または地面を自由に運動できるようにした飼育法。日本では、120日齢以降、1平方メートル当たり5羽以下であることが基準とされています。

 欧州やニュージーランドなど海外では平飼い卵が“健やかな卵”の指標とされ、動物愛護、動物福祉の観点からも、アメリカやEUなどの大手スーパー・ファストフード店においても、バタリーケージ(ワイヤーでできたケージを連ねて幾段にも重ね、その中に鶏を収容する近代式の集約飼育方式のこと。日本の9割以上はこれ!)を廃止する流れになっています。

3.オーガニック卵

 首都圏で購入できる代表的なオーガニック卵に「黒富士農場のリアルオーガニック卵」があります。この卵は、3年間無農薬・無化学肥料の「有機JAS認証」を受けた飼料や、おいしい天然水で鶏を育てること、平飼い飼育であることなど、環境面や食事において徹底したこだわりを実践しているそうです。この養鶏スタイルを継続させるのは、想像以上の努力とコストのかかるため、価格は1個100円以上する場合も。

 オーガニック卵は、サステナビリティの視点からも、もっともっと注目されるべき存在でしょう。また、このたまごはそのおいしさ以上の魅力があると、私は考えます。それは、作る人や食べる人に「丁寧さ」を与えてくれているということ。

 例えば、「こんなに特別なたまごなのだから、できるかぎりシンプルにおいしく調理をしよう!」という熱意を呼び起こしてくれるはずですし、食事を「ゆっくり味わって楽しもう」という精神的豊かさを与えてくれると思います。

<文・撮影/スギアカツキ>

【スギアカツキ】
食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12

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