中田英寿に今だから聞きたい事「引退理由」「ヒデにとってのW杯」「キャプ翼の影響」

元日本代表の中田英寿が、4月17日放送のサッカー番組『FOOT×BRAIN』(テレビ東京系、毎週土曜24:20~)にゲスト出演。番組MC勝村政信との対談が実現した。

勝村が最初の話題として選んだのは「中田の好きなこと」。中田は「楽しく生きていくこと」と述べ、「好きなものを食べるし、好きなものを飲むし、生活の仕方も自分の好きなやり方を作る。自分がどうあれば幸せかが一番重要です」と意図を説明。すると勝村は「楽しいってどういうこと?」と問いかけ、中田は「ゴールではなくて過程が大切。そこで幸せを感じられるか。だけど、ゴールにたどり着くとつまらなくなってしまい、また次を探さなくてはいけない。だから、楽しいというのは好きなことをやれる環境だと思います」と話した。

そんな中田の今取り組んでいることは「日本文化を世界に発信すること」。サッカーとかけ離れた活動に見えるが、中田にしてみれば「同じことしかやっていない」と言い、「サッカーが上手くなるために問題解決してきたが、今はボールが会社になっただけ」と話した。それを聞いて勝村も「どうしてサッカーやらないのかなってみんなも僕も思っている。だけどお酒の記事を読んだときに、素晴らしいものを受け取り、それを違うところに送るという活動は、現役時代と同じ。変わらず球を配っているのだと思った」と納得の表情を見せた。

続いてのテーマは、ゆかりある人物たちの「今だから聞きたい事」。VTRで登場した日本サッカー協会の田嶋幸三会長は「どうして06年ワールドカップで引退したのか? あの時の気持ちをぜひ聞いてみたい」と質問。中田は「ワールドカップの半年以上前から考えて、どんな結果だろうと辞めることを決めていた。まだ動けるし、チームとの契約もあるし、決めておかないと絶対に心が揺らぐ。その答えを出すまでに悩んだ時間を一瞬の結果によって変えてはいけないという自分に対しての思いがありました」と答え、その思いには「サッカーが好き」という根幹があると語る。

中田は「プロサッカー選手でいることやワールドカップで勝つこと、何か賞をとることを目的にサッカーを始めたわけではない。しかし、環境として楽しめなくなっていた。そう考えた時にプロである必要はないのかなって。好きなものを好きであり続ける気持ちを大切にするには、ここはいったん離れた方が良いと思いました」と当時の思いを明かした。

すると勝村は「中田さんにとってのワールドカップとは?」と質問。日本代表が初出場した98年フランス大会については「世界一でかいお祭りみたいなものでした」と語り、続く02年の日韓大会は「自国開催で運営に入ったような気持ちで、大会を盛り上げるためには結果が残らないと全体が沈んでしまう。ワールドカップに出た2回目のチームに決勝トーナメント進出という命題を課されて、楽しむ以上にプレッシャーや責任感が強くなった。本当はもっとチャレンジしたくてもできないことがありました」という。そして引退を決めた06年のドイツ大会は「サッカーという環境もビジネスとして大きくなって、選手たちも良いプレーをチームとしてするのか、個人としてするのかバラバラになり始めていると感じていた」と話した。

また、勝村が「ワールドカップは楽しめるもの?」と聞くと、「98年は3敗しましたが楽しかったです。でも02年、06年は正直楽しくはなかったですね」と返答。98年の1点差での3連敗については「結果は1点ですが、大きなものでした。これだけワールドカップが行われているのに優勝国が数多くないのはそういうこと」と、1点が隔てる世界との距離を表した。

続いて、人気漫画『キャプテン翼』の著者・高橋陽一が「Jリーグを目指して南葛FCを運営しているのですが、何かアドバイスを」とお願いすると、中田は「『キャプテン翼』を読んで育った選手を集めて試合をやれば良いのに。自分でクラブ経営してJリーグに挑むってチャレンジングなことしますね。僕に聞くこと自体間違っていますよ」と笑った。

そんな中田だが『キャプテン翼』には大きな影響を受けたと言い、「野球漫画とサッカー漫画を見てどっちに行こうと小学校の頃に悩んでいた。翼君がいなかったら僕は野球をやっていました」と言い、「小学校の頃はスカイラブハリケーンや若島津君のゴールポストを蹴って飛ぶのとか全部試しました。オーバーヘッドも砂場で練習して、イタリアでもやりました。ドライブシュートも打てるようになったし。高橋先生はどこまでリアルを考えて描いていたのか気になります」とコメント。すると勝村が「サッカーを知らないからあんなことが描けたと言っていた」と伝え、それを聞いた中田は「その中のいくつかは実際にできるプレーで、当時なかったアイデアだけど、どんどんサッカーが進化する中で実際にできるようになったというのは、高橋先生のアイデアが、世界のサッカーのイマジネーションを引っ張ったのだと思う」と話した。

また、21歳で渡ったイタリアのペルージャの話題になると「強いチームじゃないけど良いキャラクターが揃っていた。ラパイッチはあんなぐうたらでタバコも吸っているのにすごいですよね。ああいうヤツが能力のあるヤツです。僕なんかは能力がないからまわりに見せないようにしながら、一生懸命に影練を繰り返すタイプなので」と話した。

次週4月24日も中田がゲスト出演。経営者・中田英寿の現在に密着し、対談の後半戦の模様も放送される。

2021/4/18 7:00

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