癒やしを求めてペットを飼ったけれど…。飼いきれなくなる人の特徴

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 こんにちは、コラムニストのおおしまりえです。

 長く続くペットブームの影で、ペットの多頭飼育崩壊が社会問題として取り上げられることが多くなりました。合わせて、コロナ禍で在宅時間の増加により、ペット需要が増えています。しかし、飼ったはいいけれど手に負えず、無責任に手放す問題もあるそうです。

 多頭飼育崩壊と飼いきれない2つの問題。状況は異なりますが、それぞれ無責任に迎え入れる点では同じです。
 そして、犬や猫など「愛護動物」の世話をせずに衰弱させるのも、捨てる(遺棄する)のも、ズバリ犯罪。どちらも動物愛護法違反で、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が課せられるのです。

 しかしなぜ、ダメだと分かっていても最悪のケースを迎えてしまうのか。今回はペットシッター会社「HONEY PETS」代表の北本友紀枝さんに話を聞きました。

◆それぞれ異なる「限界」のケース

 多頭飼育崩壊と飼いきれず手放すケース。一緒くたに語られることもありますが、両者の状況や飼い主の性格・傾向は明確に異なるといいます。

「コロナに限らず飼いきれなくなるケースは、比較的安易にペットを飼い始め、しばらくは可愛がるものの、思ったのと違うとギャップを感じ手放すといったものが挙げられます。

 一方の多頭飼育崩壊は、酷いと50平米に50~60頭を飼育しており、近隣からの通報により行政が突入するケースが多いです。そこまでいかずもう少し軽い場合だと、3~4匹飼っていたけれど、住宅事情や家族の状況変化から飼育できなくなり、1頭だけ残したり全頭手放すといった対応もあります」(北本さん。以下同)

 両者は“飼えない”という意味では同じですが、その内情は大きく異なります。

◆“飼えなくなる人”の特徴

 また問題を起こす当人の性格にも違いがあるといいます。

「共通する部分としては、多頭飼育も飼いきれない飼い主さんも、どちらもそこそこお金を持っている傾向があります。お金がないと、そもそもペットを飼えませんからね。また多頭飼育崩壊を起こす方は、持ち家に住まわれていることが圧倒的に多いです。賃貸だと悪臭や鳴き声が近隣に発覚しやすく、管理会社の介入も早いというのが理由です。

 性格については、多頭飼育崩壊を起こす方は、計画性がないのはもちろん、優しすぎる性格と人の話を聞かず、誤った正義感をふくらませる傾向にあります。外部からの情報より自分の信じた道を進み続け、結果として周りに迷惑をかける状況まで陥ってしまうわけです」

 多頭飼育崩壊を起こす人にとっては、生活や飼育環境がおかしくなっても「自分は正しい」といったロジックの中にいるのでしょう。だからこそ、周りの強制介入がないと気づけないし、介入に対しても抵抗する方がいます。

「一方、飼いきれなくて無責任に手放す飼い主さんですが、まず性格的には短絡的で、あまり物事を多角的に調べない気質があります。合わせて、機能性よりも見た目重視といった傾向もあるように思います。

 また、これは私も不思議なのですが、ペットを手放したい飼い主さんのお宅に伺うと、お部屋に特定の高級ブランド品が雑然と置かれているケースがとても多いんです。データがあるわけではないのですが、なぜか某ハイブランドの空箱ばかりがいっぱいある自宅が多いです。可愛い!欲しい!だから飼う!といった欲求に忠実な性格が、飼いきれない飼い主さんの傾向としてはあります」

◆ペットの見た目や臭いで「飼いきれない」のサインが

 また、飼いきれないケースの予兆として、ペットの見た目や臭いに変化があると話します。

「犬の場合は、トリミングの際にいつもより明らかに毛並みが荒れていたり、毛玉がいつも以上に増えていると前兆だと感じます。連続して毛玉がたくさんつくようになったら危険だと感じ、積極的に飼い主さんの相談にのるトリマーもいます。これは金銭的な余裕のなさがメンタルの余裕のなさに繋がり、ケアできなくなる仕組みが考えられます。

 また猫の場合は、ご自宅に定期的に伺うペットシッターの立場だと変化に気づきやすいです。お部屋の臭いが以前よりするようになったとか、部屋自体の掃除が行き届いていない、猫のご飯や水の皿が洗われていない(継ぎ足しされている)状態に変化していると、危険だと判断します」

 生活の余裕がなくなっていくことと、飼育の限界を迎えるケースは比例しているのでしょう。ご自身で限界を感じている方や、もし周りで心配に感じる方がいるようであれば、これらポイントを確認し、事前に取れる対処を検討していくことをおすすめします。

◆手放す罪悪感が…どうしたら?

 理由はどうあれ、「飼えない」という選択をするのは良心の呵責と向き合わなくてはいけません。この心と向き合うのが辛いため、無理をしつつ限界まで飼い続けてしまい、人も動物も不幸になるケースがあるようです。

 気持ちの整理をつけ、そして正しい対応を取るにはどうしていくべきなのでしょうか。

「良心の呵責や罪悪感は当然あるとは思いますが、とにかく『動物のために何が最善か』を考えて欲しいです。今後飼えないとしても、出来る限り幸せにしてあげることが飼い主としての務めです。『可哀想だから』といって退路を断ち、劣悪な環境で飼育し続けることは人間のエゴです。最善を尽くした結果、飼えないからこそ次をきちんと考え探してあげることが大事ですし、こういった行動で罪悪感が少なくなるのではないでしょうか」

 北本さんは、「次の飼い主を探すなど、次の検討をするために他者の力を借りることは悪いことではない」と言います。

◆最悪の事態を避けるための準備

 また放棄など最悪の事態を避けるための準備についても教えてくれました。

「ペットを飼いきれないと思ったら、以下の順番で対応してみてください。本来これは飼い始めと同時に、万が一のために知っておいて欲しいことです。こういう情報があると知るだけでも、皆さんのペットライフはまた違ってくるのではないでしょうか」

【万が一ペットを飼えなくなった際の検討手順】

①お金と生活を見直す
まずは自分の生活スタイルと生活費の見直しをし、引き続きペットを飼えないかを検討する。

②友人や知人、親族を頼る
友人知人や親族など、代わりに引き取って貰えないか頼む。また、万が一の際にペットの引き取りを相談しておくだけでも良い。

③保護団体に相談したり、里親サイトを利用する
里親サイトは個人での投稿も可能。病歴などの情報を丁寧に書くことで、誠実さが伝わり貰い手が見つかりやすい。
ただし、知識もなくいきなり投稿サイトに載せるのは危険。保護団体は手一杯で預けられないところが多いが、里親に出す場合の注意などを相談だけでもしたほうがいい。また、譲渡会に自宅から連れていくことをOKしてくれる団体もある(相談など協力してもらった時は、寄付などでお返しすることも忘れずに)。

※虐待目的の里親詐欺や、安易に引き取って飼いきれなくなる里親も増えています。譲渡契約書の締結、身分証明書の提示、先方の自宅まで届けて飼える状態かチェックするなど、十分注意してください。

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◆ペットを飼う前に考えてほしいこと

 なお、保護団体を頼る方もいるそうですが、近年そういったボランティア団体はキャパオーバーを起こしている場合が多く、自分で里親サイトを頼った方が早いケースもあるそうです。

「ペットを飼う際、『最後まで飼う心構えで』と良く聞きますがこれは大前提であり、合わせて適切な知識を持っているとより安心です。私たちペット業界もこうした情報を今後積極的に発信していきたいと思っています」

 コロナ禍でペットを飼いたいと考える方も多いかもしれません。安易に飼っても良いし、衝動的に飼っても良い。ただし、飼った後10年20年と責任をもって飼育出来るのか。きちんと正しい知識を持って、幸せなペットライフを送りたいところです。

【取材協力】HONEY PETS/代表・北本友紀枝
動物福祉先進国のドイツで学んだ動物行動学・心理学を活かし、動物と動物を愛する人々の暮らしのサポートを目的にHoneyPetsを設立。ペットシッター、ペット介護士、グリーフケアアドバイザーとして活動する他、NPO法人日本ペットシッター協会にて養成講座の講師も務めている。

<取材・イラスト・文/おおしまりえ>

【おおしまりえ】
水商売やプロ雀士、素人モデルなどで、のべ1万人以上の男性を接客。現在は雑食系恋愛ジャーナリストとして年間100本以上恋愛コラムを執筆中。Twitter:@utena0518

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