綿引勝彦さん死去　膵臓がんで極秘闘病３年、治療打ち切り自宅で「最期は眠るように」

　ドラマ「天までとどけ」シリーズなどに出演した俳優・綿引勝彦さん＝本名同じ＝が昨年１２月３０日午後０時５４分、膵臓がんのため亡くなった。７５歳。所属事務所が１３日、報道各社に書面で発表した。葬儀は近親者のみで執り行い、喪主は妻で女優・樫山文枝（７９）が務めた。

　綿引さんは１８年８月に膵臓内の嚢（のう）胞を取り除く手術を受けたが、その際に進行性のがん細胞が見つかり、化学療法など治療を続けてきた。書面でコメントを寄せた樫山によると「どなたにも病気のことは言わないでほしい」と本人の強い意志で、３年にわたるがんとの闘いについては伏せていたという。

　１９年１２月、肺への転移が見つかり、昨年２月から本格的な化学療法を開始。厳しい副作用に耐えながら治療を続けていた。しかし、寛解には至らず、昨年１１月に積極的な治療を打ち切り、自宅で「比較的穏やかな療養」（所属事務所）を続けてきた。

　樫山は書面で「家と信州の山小屋で息抜きしながら花を植えたり好きな将棋をしながら過ごしてまいりました」と緩和ケアでの療養の日々を振り返った。綿引さんは自身で身の回りの整理もしていたという。

　クリスマスの１２月２５日未明、容体が急変し、再入院。樫山は「夢うつつの中で、将棋を指していたのでしょうか、『投了すると伝えてくれ』とつぶやいたのですが、これで人生を投了するということでもあったのでしょうか。最期は眠るように逝きました」と伝えた。

　そして「この一年はふたりで寄り添えたのが幸せでした」と記した。

　綿引さんは映画「極道の妻たち」などでも円熟味のある演技を見せていた。

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