ホテルで男と会っていたことがバレた妻。言い訳をする女に、夫がかけた意外な言葉

何不自由ない生活なのに、なぜか満たされない。

湾岸エリアのタワマンで、優しい夫とかわいらしい娘に囲まれ、専業主婦として生きる女。

―あのときキャリアを捨てたのは、間違いだった?

“ママ”として生きることを決意したはずの“元・バリキャリ女”は、迷い、何を選択する?

◆これまでのあらすじ

専業主婦として育児に専念する、元バリキャリ女子の未希。

前職の同期・梶谷に復職を懇願されるが、未希にはそれができない因縁があった。そんな中、未希と彼がホテルで会っていたことを、夫の前で暴露されてしまい…?

▶前回:「男とホテルにいたでしょ」夫の前で暴露してきたママ友。狼狽える女に、夫の反応は…?


「違うの、あれは…」

華子が夫の前で突然暴露した、ホテルでの目撃談。やましいことはなく内緒にもしていなかったが、このような形で夫の耳に入るとなると、やはり焦る。

家の玄関に入るなり、未希は慎吾に慌てて言い訳をし始めた。

「『違うの』から言い訳されると、僕、本当に誤解しちゃうよ」

慎吾はあっけらかんと笑った。

「梶谷君に表彰盾をもらいに行った時だろ。盾の入っていた袋の中に、彼の名前でお礼状が入ってたから知ってるよ」

過去に慎吾は、梶谷と面識があった。未希と3人で食事をしたことがあるのだ。疑いのないその笑顔には、慎吾の未希に対する信頼があふれ出ていた。

「お礼状、見てなかった…」

「復帰を待望しているって書いてあったけど」

その言葉に未希は苦笑いをする。

慎吾は、未希の退社の理由が梶谷であることも、確執のことも知らない。やましいことはないがその点は後ろめたかった。

「あのママさんも、悪気があって言ったわけじゃないと思うな。というより『仕事の打ち合わせ帰り』って言いたかっただけじゃない?」

未希はそれを聞いて、思い切り吹き出してしまう。自分も人のことを言えないが、彼の下衆の勘繰りぶりは、心なしか爽快感をおぼえるのだった。

華子が変な噂を流している…?戦慄のLINE

慎吾の言葉にホッとひと安心した未希だったが、その数日後、まりあから来たLINEに戦慄することになる。

『未希さん、華子さんからちょっと変な噂を聞いたんだけど、大丈夫?』

―まさか、あのことかしら…?

未希は慌てて返信を打った。まりあは一体、何を聞いたんだろうか。墓穴を掘らぬよう、問いただしたい気持ちをグッとこらえる。

『何のこと?そうだ、今週いつか空いてる?キッズルームでお茶しない?』

実際に会って話を聞き、ちゃんと説明するのが一番だと思った。

だが、しかし。

数日待っても、まりあからの返信はこなかった。


既読はついているが、何も音沙汰がない状態のLINE。その間、未希の気持ちは宙ぶらりんだ。

礼儀正しく律儀なまりあから、今まで返信がないことはなかった。

返事がこない状況は、忙しいママなら普通にあり得ること。普段は納得してスルーできるが、今回ばかりは『華子が何を話していたか』という不安もある。

もはや、1日の感情が返信を待つことだけに支配されているような有様だ。

―なんで返事がないんだろう。催促しようかなあ。

するとタイミングよく、以前撮影に参加したママ雑誌の編集さんから『ベビーフードの座談会に協力してくださいませんか?』という依頼の連絡があった。

未希は2つ返事で承諾し、それを口実にまりあに再び連絡を入れることにした。

『まりあさん、例のママ雑誌で座談会があるんだって。一緒に行かない?』

スナップ撮影に乗り気だったまりあなら、すぐ返事をくれるはずだと思った。しかし、それでも返信は来ず、今回は既読にさえならない。

多くの不安を抱えながら、未希は咲月を連れて座談会に向かうのだった。

華子の仕事場での姿


神保町にある出版社内で行われた座談会は、つつがなく終了した。咲月も新製品のベビーフードをたらふく食べることができて満足気だ。

もちろん別の編集部だという華子は顔を出さなかったが、むしろそれでよかった。

座談会に来た他のママさんたちと気兼ねなくおしゃべりができ、まりあのLINEスルーで重かった未希の心もだいぶ和らいだのだ。

そうして謝礼を受け取り、帰宅しようとしていたときのこと。ママ雑誌とは別の編集部から、聞き覚えのある名前が未希の耳に入ってきたのだった。

「高田さん、読者プレゼントまた発送ミスったの?」

―高田さん、って言った?華子さんの編集部の同僚の人たちかな。

周囲を見渡すと、華子が所属しているというファッション誌編集部のプレートが掲げられていた。

未希はこっそりと耳をそばだてる。

「全く違うところに送っちゃったらしいですよ」

「え!前も同じような事あったよね。復帰して失敗続きじゃない」

「出産前からそんな感じですよ」

「カンタンな仕事しか回してないのに…。出す企画もトンチンカンだし、有名カメラマンの高田さんの奥さんは大変なのねえ」

皮肉交じりの“有名カメラマンの高田さんの奥さん”と言う呼称。…間違いなくあの華子のことだ。

―華子さん、もしかしたら仕事場では全然印象違う人なのかな。

なんだか聞いてはいけないことを聞いたような気がして、未希は慌ててその場を離れる。

そして座談会からの帰り道。華子に対して憐憫の気持ちが生まれ始めていることに、未希は気付いた。

華子に変な噂を流されているかもしれない。…もうそんなことは忘れ、むしろ彼女のことが心配になってきたのだった。

未希にとって、さらに気がかりな出来事が起きる…

咲月がベビーカーで眠ってしまったのをいいことに、未希はその帰り、以前から気になっていた老舗和菓子店のカフェ『大三萬年堂ハナレ』まで、足を延ばしてみることにした。

のんびりと、名物のスイーツ『どらぱん』を味わっていたとき、ふと近くの席から懐かしい声が聞こえてきた。

「松尾先輩ですよね!?」

結婚後も引き続き仕事で使用していた、未希の旧姓。その名字で呼ぶということは、前職の人間に決まっている。

未希はこの近くに、前の会社の支社ビルがあることを思い出した。

「お久しぶりです!わあ、赤ちゃんも一緒だ」

「かわいい♪おねんね中ですね」

幸いにもその声の主は、未希を慕っていた女子の後輩・那奈と恵理子だった。気まずさはありながらも、かわいい後輩たちに会えたことは嬉しい。

2人は遅めのランチ帰りで、まだ時間があるということなので、席を共にすることにした。


「もしかして、会社に復職の相談をしに来たんですか?」

那奈は目を輝かせながら、未希に尋ねてくる。

「そんなわけないでしょう。近くに用があっただけ」

「なんだあ…」

「もうこの子だっているし、昔みたいな仕事はできないわよ。仕事でミスして、子どものせいにされるのもイヤだからね」

華子の同僚たちの会話を思い出しながら未希が言うと、2人は同時にため息をつく。未希は不思議に思い、彼女たちの顔をのぞき見ると、恵理子は苦笑いをした。

「先輩なら、そんな会社の雰囲気を消してくれるって思っていたんですけどね」

その声はどこか力なさげだ。未希は元気づけるつもりで語りかけた。

「人任せじゃなくて、自分が変えようよ。私も私の人生があるんだから」

「はい…。でもなんか、目標というか、希望が無くなっちゃって」

那奈と恵理子は、力ない表情で顔を見合わせる。その様子を見て、会社の女性社員がどんな状況に置かれているのかが、詳しく聞かずとも理解できたような気がした。

「日比さんも、会社辞めるって言っているし…」

「日比さんって、広報部の?」

「彼女も色々大変みたいです」

未希は、梶谷から彼女と結婚することを聞いた。…もしかしたら、あの梶谷が未希を会社に戻そうとしているのは、このことが関係しているのかもしれない。

ランチを終え、那奈と恵理子の2人は会社へと戻っていく。

しかしその後も、彼女たちの暗い表情は、未希の心に焼き付いて離れないのだった。


▶前回:「男とホテルにいたでしょ」夫の前で暴露してきたママ友。狼狽える女に、夫の反応は…?

▶Next:10月26日 月曜更新予定
華子のワーママとしての苦労を知ってしまう未希。そしてまりあが既読無視をしていたワケとは…。

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