借金500億円の“姫路のトランプ”、銀行取引停止処分でさらなる窮地に

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◆大川氏が語る銀行取引停止処分の実情

 先月、“姫路のトランプ”こと大川護郎氏が、管理会社とのトラブルで窮地に立たされたことをお伝えした。

 それに追い討ちをかけるように、大川氏の会社が銀行取引停止処分を受けたと9月11日に報じられた。大川氏は中卒、新聞配達員から一代で莫大な資産を築き上げた人物。最盛期には家賃収入を含めた総年間収入が50億円、借入総額508億円、所有物件は296棟5008世帯あった。

 なお銀行取引停止とは、不渡処分・取引停止処分とも呼ばれ、法令ではなく手形交換所の規則に基づくもの。半年間に2回、小切手・手形の支払いができず不渡りを出した場合、銀行取引停止処分となり、金融機関との借入や当座取引が2年間停止される。この処分によって、中小・零細規模の企業は倒産に至ることが多い。

◆管理会社と和解が進んだ矢先…

「不渡りを出してしまったことについては、確かに私の会社のミスであり、銀行取引停止処分を受けることは致し方ないと感じています。金融取引停止は事実上の倒産と言われていますが、それは業種によるもの。不動産賃貸事業では、不動産という現物がありますから家賃が入ってくるのです。それなのに一部の金融機関は手のひら返しをしてきました。それに対して一言いいたいのです」

 と大川氏。ことの発端は今年の春、管理会社とのトラブルによる家賃の入金ストップ。これにより金融機関への借入返済が止まっていたという。

「管理会社と揉めていることを理由に家賃を払わず、コロナ禍で助かったテナントや住民もたくさんいたようです。私は取引のある金融機関に対して事情を説明して待っていただいていました。管理会社のR社とも8月末には和解が進み、返済が通常に戻るのも時間の問題でした。ところが9月に入って、3つの金融機関が強硬手段に出たのです。具体的に説明すれば、担保に入れている物件を強引に売らせたのです」

 なんでも金融機関自らが顧客をつれてきて大川氏にとって不利な条件の売却を迫ったという。さらには所有物件が次々と競売にかけられる状況に陥っている。競売とは、民事執行法に基づいて、強制的に債権回収をはかる手続きで、債権者が裁判所に対して申立てを行うと、その不動産を裁判所が売却することができる。いってみれば所有者の意思に関わらず、物件を売ってその代金を債権者が回収できる。

◆金融機関20行から500億超の借り入れ

「債権を回収するのは金融機関にとって当然の権利ではあります。しかし、競売での売却はいわば叩き売り。安く売らせるよりは事業再建の手助けをしてくれてもいいのではないかと私は訴えたいのです。金融機関……とくに信用金庫・信用組合はその地域の経済発展や組合員に対して相互扶助のための役割をもっているはずなのに、この仕打ちはあまりにもひどいです」

 大川氏はそう訴える。氏の会社の取引金融機関は20行にものぼるが、うち、手のひら返しをしているのは、ごく一部。その金融機関は、大阪府大阪市中央区本町に本店を置く大阪商工信用金庫。大阪府大阪市中央区淡路町に本店を置く近畿産業信用組合。大阪府大阪市北区に本店を置くミレ信用組合。

【大川氏借入一覧】2019年12月現在

兵庫信用金庫 最大/約7億2400万円 残高/約4億5700万円
大阪信用金庫 最大/約40億円 残高/約26億9700万円
兵庫県信用組合 最大/約8000万円 残高/約6200万円
但馬信用金庫 最大/約4億円 残高/約3億1500万円
兵庫ひまわり信用組合 最大/約7億7000万円 残高/約6億6500万円
JFC 最大/約13億7600万円 残高/約13億4200万円
大阪厚生信用金庫 最大/約170億円 残高/約128億6200万円
淡陽信用組合 最大/約2億8000万円 残高/約1億3300万円
みなと銀行 最大/約5億5900万円 残高/約4億7300万円
大阪協栄信用組合 最大/約2億50000万円 残高/約1億42400万円
近畿産業信用組合 最大/約60億円 残高/約32億7400万円
播州信用金庫 最大/約6億1200万円 残高/約5億2000万円
西兵庫信用金庫 最大/約3億2500万円 残高/約2億1000万円
関西みらい銀行 最大/約24億7000万円 残高/約21億7600万円
三井トラスト 最大/約3900万円 残高/約3400万円
三井住友銀行 最大/約13億5100万円 残高/約12億1700万円
ミレ信用組合 最大/約14億2500万円 残高/約13億円
オリックス銀行 最大/約2億9000万円 残高/約2億6700万円
大阪商工信用金庫 最大/約12億8500万円 残高/約12億1500万円
京滋信用組合 最大/約3億円 残高/約2億7400万円
大同信用組合 最大/約9億8000万円 残高/0
大阪シティ信用金庫 最大/約6500万円 残高/約4590万円
その他
グループ最大/借入額 計508億円


◆金融期間は雨の日に傘を取りあげる

「物件があれば家賃が入ってきますし、家賃が入れば支払いができます。しかし、物件を取り上げられてしまえばお金を返すことができません。近畿産業信用組合は4月末、ミレ信用組合は8月に自分のお客さんに好条件の融資を付けて私の物件を売らせました。さらに同じ8月に大阪商工が競売の執行を言い渡してきました」

 よく「金融機関は晴れの日に傘を貸し、雨の日に傘をとりあげる」と言われるが、まさにその通りの仕打ちを受けているという大川氏。このような強硬手段に出る金融機関がある一方で、そのほかの金融機関は事態を静観している。

「私の事業が思わしくないのは事実です。しかし、そんなときほど手を差し伸べてくれても良いのではないでしょうか。そもそも貸した側には貸付責任はあります。このようなやり方をされては、立ち直れる事業も潰されてしまいます。どうか、私から物件を奪うようなことをせず、リスケなど条件変更といった形で対応いただきたいです。また内閣総理大臣は企業を潰すことはないといいながら、実際には金融機関が引き金になり市税、府税、県税が追随しています。それは違うのではないでしょうか!」

 金融機関ばかりか税金の支払いにも追われる大川氏。この悲痛な思いは金融機関・行政に届くのだろうか。

大川護郎氏
実業家。1972年兵庫県生まれ。姫路市に育ち、小学生のときに親の会社が経営破綻、貧困生活を送る。16歳で新聞販売店に就職。23歳のときにコツコツ貯めたお金で不動産投資を始める。以降、24年で所有不動産を増やし続け最盛期の2018年には296棟5008世帯、家賃収入を含めた総年間収入が50億円までになる。当時はスーパーカーを22台所有。近年、全国のセミナーなどで「ゼロ家賃」構想を発表し、大反響を浴びる。著書に『新聞少年が一代で4903世帯の大家になった秘密の話』『「家賃ゼロ賃貸」構想が日本の常識を変える“姫路のトランプ”と呼ばれる不動産王の発想力』がある。


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