コロナで解雇された23歳女性。生きていくために見つけた仕事は…

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 コロナ禍で過去最悪の状況となりつつある「女性の貧困問題」。従来からの当事者はもちろん、貧困とは無縁だったはずの女性たちも窮乏に陥っている。本企画ではコロナ禍で経済的危機に瀕している女性たちに密着取材を敢行。彼女たちの切実な胸の内に迫った――。

◆正社員からまさかの解雇…

「5月末で解雇。正直、そんなニュースは他人ごとだと思ってました」

 地方の国立大学を卒業し、広告代理店に入社した小泉唯さん(仮名・23歳)はそう語る。

 順風満帆な社会人生活が狂いだしたのは、今年の3月末に新型コロナの影響で会社が休業するというメールが届いた頃だった。

「コロナが落ち着けば、また元通りになるだろうし、『休業補償でお金をもらいながらニートできるなんてラッキー』ぐらいに思っていたんです。復帰したときに即戦力になれるようにと一人で勉強もしていました」

 ところが5月初旬。仲の良い先輩とのLINE中に「解雇の通知が来た」というメッセージが届く。慌ててパソコンのメールを開き、自分宛ての解雇通知を見た瞬間は頭が真っ白になったという。

「衝撃でした。メールだけで簡単に解雇されるんだなって……。そのあとに上司とリモート面談をして事情を聞きました。もちろん怒りはありましたが、業績悪化の場合による解雇は雇用契約書にも書いてあることなので、納得せざるを得ません。ただ、社長には人として、せめて直接会って言葉で謝罪してもらいたかったです」

◆5月中旬には転職活動を始めるが…

 現在は大学生の妹と2人暮らし。家賃や光熱費、日用品など毎月17万円ほどかかる固定費は小泉さんの給料から賄っているうえ、妹の学費も彼女が払っている。

 田舎に一人で住む母には、「余計な心配をかけたくない」と解雇されたことは言えなかった。

「5月中旬には転職活動に取りかかりました。なるべく節約するためスマホで証明写真を撮って、IT企業に絞り履歴書を100社以上は送りましたね。でも最終面接まで行けたのは3社のみ。うち1社に内定をもらえそうでしたが、コンプライアンスに不安が残る対応をされ、かなりのブラック企業だと判断して辞退しました。でも、その後は応募してもどこにも引っかからない。『どうにかなる』と、甘く見ていた自分にとっては厳しい現実を突きつけられました」

◆感染の不安の中でのガールズバー勤務

 4月は手取り27万円だった給与は、休業の影響で5月は13万円、6月は7万円まで減少。正社員としての再就職は一旦諦め、生活費のためバイト募集に片っ端から申し込んだ。

「秋葉原のメイドカフェ、事務職、引っ越しの肉体労働まで……働ければなんでもよかった。ただ、それでも受からない。ようやく受かったのは、通勤に1時間以上かかる下町のガールズバーでした」

 時給は1300円と夜職にしては安めだが、ドリンクバックも合わせれば一日1万~1万5000円は稼げる。何よりも居場所が見つかった喜びのほうが大きかった。

「そのお店はコロナ禍で2か月休業していた間に、女のコがほとんど辞めちゃって、再開のために急募していたんです。接客中にマスクもできず、感染対策もほぼしていないので恐怖はあります。今は18時から朝5時までの11時間を週6で入れていて、扱いも個人事業主で雇用形態はかなりグレー。それでも背に腹は代えられません」

◆空腹で耐えられなかったら、水道水をがぶ飲みして凌いでます

 日常の生活でも姉妹で節約を徹底するようになったという。

「基本的に外食はしません。スーパーで特売の肉と野菜を買ってカレーを大量に作り、小分けに冷凍してストックしています。外出してるときに空腹で耐えられなかったら、水道水をがぶ飲みして凌いでますよ。あと、お風呂もやめて、シャワーだけにしたらガス代が1000円も安くなったんです」

 今は完全に昼夜逆転の生活。昼間は疲れ果てほとんど寝ているという。また、7月から住居確保給付金が支給されることで、「とりあえず年内は今の生活で凌いで、来年から就活をすればいいかな」という余裕が少しは生まれた。

「もちろんフリーター生活に慣れすぎたら、再就職して社会復帰できるのかなっていう不安はあります。求人はあっても、今はコロナ解雇された人たちが押し寄せて倍率も上がっているし。私は刺激がないと続かない性格だから、好きだと思える仕事に出合いたい」

◆田舎には帰りたくない

 元同僚には東京での再就職を諦め地元に戻る人も多いそうだが、「今後、解雇が親にバレても絶対に帰りません」と、意思は固い。

「田舎に帰っても仕事の選択肢は狭いし、周りはつまらなそうに仕事をしている大人ばっかりなんです。妹もいるし、フリーターでも東京にいたほうがいいですね。今までも進路は自分で決めてきたし、苦しくても自立していたいんです」

 そう言って、ガールズバーの仕事へと向かっていく彼女。そんな些細なプライドによって、コロナが生んだ新たな貧困の餌食になっていくのかもしれない。

―「コロナ貧困女性」号泣ルポ―

<取材・文/週刊SPA!編集部>
※週刊SPA!7月14日発売号の特集より


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この記事のみんなのコメント

8
  • しよく

    7/17 22:48

    この時期の解雇は大変そうだな。正社員になってしまうと辞める時にコロナが言い訳にならないし、技術系でも無い限り求人も少ないだろう。ブラックに勤めたり無理に無い中から選ぶ位なら今はバイトで正解だと思うわ。

  • 観音寺六角

    7/17 19:03

    こっちは人手不足でただ忙しいけど😞

  • 解雇ならハローワークに行ったらいいのに。

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