Netflix『“新型コロナウイルス”をダイジェスト』で知る人類の愚かさと希望 制作急ぐ必要があった

世界で起こる様々な社会問題を簡潔に、しかし多角的に捉えるNetflixのオリジナルシリーズ『世界の“今”をダイジェスト』。リミテッドシリーズとして4月26日より配信されているのは『“新型コロナウイルス”をダイジェスト』だ。


もちろん、まだダイジェストにするほど事態は収束していない。番組内では今年3月に起こった事象も当然紹介されており、制作陣のスピード感は普通じゃないように思う。

でも、急ぐ必要があった。「コロナよりインフルエンザのほうが死者は多いから騒ぐ必要はない」「ナーバスに外出自粛する必要はあるのか?」という声をいまだに聞く。そういう人たちにこそ観てもらいたいのだ。今、なぜ外出を自粛しなければならないか。それはこのドキュメンタリーを観ればわかる。

預言者ビル・ゲイツ


オープニングで流れるのは、2019年春に行われた有識者のインタビューだ。ある医学者は「野生動物が持つ推定150万種のウイルス全てが今にも人に感染する恐れがある」と発言。あるジャーナリストは「現時点の状況が悪くなくても悪化に備えて資金を投入すべき」と警鐘を鳴らした。この流れで、あのビル・ゲイツも登場する。

「何百万人も死ぬ可能性があると考えると、パンデミックの死者数は大戦での死者数に匹敵するかもしれない。経済は停滞し、人類が払う代償は甚大で、影響を受けずに済む国などないはずだ」

まるで、預言者のよう。1年後、彼が言ったそのままのことが世界中で起こっている。

そういえば、致死率の高い感染症の脅威を描いた映画『コンテイジョン』が2015年に話題になった。「怖い映画だな」と思いつつ、我々はそれで済ましていた。さらに新型コロナウイルスが確認され始めても、その存在を我々は軽視した。以下は、当時の各国首脳の反応だ。

「確実に制御している」(イタリア首相 ジュゼッペ・コンテが2020年1月30日に発言)
「これは国境を封鎖させるための敵の策略である」(イラン大統領 ハッサン・ローハニが2020年2月25日に発言)
「通常どおり経済活動をすべきだ」(イギリス首相 ボリス・ジョンソンが2020年3月3日に発言)
「多くが妄想に過ぎない」(ブラジル大統領 ジャイル・ボルソナロが2020年3月10日に発言)

エコヘルス・アライアンス会長のP・ダスザック博士は言っている。

「パンデミックが起きると人は対岸の火事だと思ってしまう。でも、COVID-19(新型コロナウイルスのこと)ではそれが誤りだとわかる」

以前から唱えられている危険性を無視、さらにウイルス発生後の対応の甘さで被害はみるみる広がっていった。つい1〜2カ月前が遠い昔のようである。

致死率が低いほうが感染は拡大する


興味深かったのは、過去の感染症と新型コロナウイルスの比較だ。1918〜1919年に大流行したインフルエンザは世界人口の3分の1が感染し、その3〜20%が死亡したとされる。はっきり言って、エボラの致死率と比べると遥かに低い。しかし、エボラは致死率が高過ぎて感染率が低いため、死者数は少ない。患者は重症で家を出られず、ほとんどがそのまま亡くなったからだ。

つまり、ウイルスが致死率の高い症状を起こすと、パンデミックが起きないことがある。その証拠にエボラより致死性が低い麻疹などは年に数百万人が死亡した。

専門家によると新型コロナウイルスは麻疹より致死率が高く、感染率は低いそうだ。そして、エボラより致死率はずっと低い。1918年のインフルエンザの大流行の致死率に近い、もしくはさらに悪い可能性もあるという。

1918年のインフルエンザ流行時、セントルイスでは学校や公共の場を速やかに閉鎖し、死亡率を横ばいに抑えた。一方、パレードを行うなど無策だったフィラデルフィアの死亡率は一瞬で上昇した。外出を自粛する必要性が、おわかりいただけただろうか?

中国が都市封鎖をした2月、イタリアは封鎖をせずに次の感染の中心地になった。イタリアが封鎖をした3月、アメリカは封鎖をせずに次の感染の中心地になった。人への感染が予期されるウイルス発生地の世界地図が番組中に紹介されており、それを見ると予想エリアに日本がはっきりと含まれている。最終的に新型コロナウイルスが人類にどの程度の被害を及ぼすかは不明である。


人類はウイルスとの闘いに負けたことはない


このドキュメンタリーは決して不安を無闇に煽る内容ではない。その視線が見据えているのは未来だ。

「各国は戦争に備えて巨額を投じる。軍事予算は膨大で新たな武器が作られる。パンデミックは戦争と同じで備えるべきことだ」(ビル・ゲイツ)

まずは、感染を発生させない努力が必要ということ。

自業自得とも言える人類の愚かさを再認識した『世界の“今”をダイジェスト』。しかし一方で、人類の強さを再確認させてもくれる。このドキュメンタリーは希望を感じさせるこんな言葉で締めくくられた。

「人は確かに準備不足だった。だがテクノロジーや化学、連携体制の面では過去最高の準備がある。勝利は見える。なぜなら、人類はウイルスとの闘いに負けたことはないのだから」

データを元に客観視して語られると「過酷な瞬間に立ち会ってるのだな」と傍観者になったような錯覚を起こしそうになるが、違う。我々はこの時代を現在進行形で生きている。自分が置かれている場所をしっかり認識することができた。

ちなみに、このドキュメンタリーは合計で約26分。視聴後、「コロナってこういうことなんだよ」と受け売りで友人知人に話しても、正しい知識が広まるだけなので全然ありだと思う。
(寺西ジャジューカ)

画像をもっと見る

関連リンク

  • 5/14 20:35
  • エキレビ!

スポンサーリンク

記事の無断転載を禁じます