安倍首相の「嵐」ライブ鑑賞、政治利用にファンが「嵐に寄生しないで」! 吉本の次はジャニーズ、天皇即位祭典も政権の意向か

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「桜を見る会」問題で揺れるなか、11月30日を丸一日休暇に当てた安倍首相だが、その夜Twitterに投稿した画像が波紋を広げている。

〈天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典で、素晴らしい歌を披露してくださった、嵐のメンバーの皆さんに、本日は、直接、感謝の気持ちを伝えることができました。〉

 安倍首相は東京ドームで行われた嵐のコンサートを鑑賞後、メンバー5人と面会。その模様を首相官邸公式Isntagramや自身のツイッターにアップしたのだ。写真には笑顔で並び立つ嵐の5人と、向かい合って微笑む安倍首相。嵐が11月9日の「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」で奉祝曲「Ray of Water」の第三楽章を歌い上げたことに「感謝の気持ちを伝えた」というのだが、天皇の即位祭典(しかも政府主催ですらない)での活動に、どうして安倍首相が「感謝」の意を伝えるのか。さっそく「完全に勘違いしている」「自分が天皇になったつもりか」というツッコミが殺到した。

 だが、安倍首相はまるで嵐の広報役にでもなったかのように、こんなツイートを続けた。

〈アジア4都市に続いて、来春には北京でのコンサートが予定されるなど、今や、嵐の皆さんの活躍の舞台は、日本にとどまらず、世界へと広がっています。〉
〈来年は、新しい国立競技場でのコンサート、東京オリンピック・パラリンピックなど、2020年という節目の年にあたり、世界中に嵐を巻き起こしていただきたい。一層のご活躍を心より期待しております。〉

 さらに首相官邸Instagramでは〈#天皇陛下即位 #国民祭典への御礼 #奉祝曲 #aRayofWater #JourneytoHarmony #嵐 #ARASHI #5×20 #櫻井翔 さん #二宮和也 さん #松本潤 さん #相葉雅紀 さん #大野智 さん #ありがとう #翔くん #ニノ #MJ #相葉ちゃん #リーダー #巻き起こせ嵐forDREAM #2020〉とタグの乱れ打ちまでしている。

 SNSでは〈国会出ないで何してるんですか〉〈嵐に寄生しないでください!〉〈嵐が活躍してることを総理が紹介するのは迷惑行為です〉と嵐ファンからも批判の声があがっているが、一国の首相が“国民的アイドル”との交流をアピールしながら、まるでジャニーズの広報のようなツイートまで連投した目的は、言うまでもなく、政治利用だ。

 実はいま、安倍政権はジャニーズ事務所の取り込みを図っている。政権の芸能プロ取り込みといえば吉本興業が有名だが、同じことをジャニーズでもやろうとしているのだ。

 その典型が、皇居前広場でおこなわれた「天皇陛下御即位をお祝いする国民祭典」での嵐起用だ。この行事は政府主催でなく「天皇陛下御即位奉祝委員会」だが、中心的役割を担ってきたのは極右団体・日本会議だ。日本会議と安倍首相の密接な関係はいまさら説明するまでもなく安倍首相の影響力は強い。一方でこれまでの「国民祭典」の人選と比べても、今回は安倍首相の強い意向がはたらいたとしか思えない。

 そもそも、天皇即位を祝う「国民祭典」はこれまで、ずっと“芸能界のドン”こと周防郁雄社長率いるバーニング系のタレントやアーティストが起用されてきた。

 たとえば1999年の天皇(現・上皇)即位10周年の「国民祭典」ではX JAPANのYOSHIKIが奉祝曲を担当。2009年の即位20周年の際はEXILEだ。今年2月の在位30周年記念式典でも、ライジングプロの三浦大知が記念演奏を行なっている。いずれも所属はバーニング傘下かバーニングと関係の深い事務所である。今回の新天皇即位の「国民祭典」にしても、祝辞を述べた芦田愛菜の後ろ盾が周防社長であることは周知の事実。これは、天皇即位関連式典におけるバーニングの多大な影響力を意味している。

●嵐が即位祭典で奉祝曲を歌うことになった理由! ジャニーズの政治利用目論む安倍首相

 その一方、これまでバーニングと芸能界の双璧をなすジャニーズ事務所のタレントに声がかかることは一切なかった。即位10周年の1999年や20周年の2009年当時といえば、ジャニーズのトップアイドルSMAPの全盛期だったにもかかわらずだ。のみならず、天皇即位関連式典の招待芸能人のなかにすらジャニーズは皆無だった。たとえば即位10周年の「国民祭典」では森繁久彌や北島三郎ら大御所をはじめ安室奈美恵、SPEED、GLAYのTAKUROとJIROらが芸能界から出席したが、ジャニーズはひとりもいなかった。

 ところが今回、奉祝曲の歌唱に抜擢されたのは嵐。ジャニーズ事務所のアイドルが天皇の前で歌唱を披露したのも初めてのことだ。つまり、隠然たる影響力を発揮するバーニングの“縛り”を解かざるを得ないほどの要望、そう、政権サイドの“リクエスト”がなければまるで説明がつかないのだ。

 そう考えてみると、安倍首相が11月30日にわざわざ嵐のコンサートへ行き、メンバー5人に直接、感謝の気持ちを伝えたのも、単に、奉祝曲を歌ったことではなく、「リクエストにこたえてくれて、ありがとう」という意味だったのかもしれない。

 安倍首相や政府サイドがここまで嵐をゴリ押しているのは、当然、ジャニーズを政権PRに取り込もうという腹づもりだからだろう。もちろん、人気アイドルグループとの交流をアピールするだけでも露骨な人気取りだが、狙いはそれだけではない。いま、多くのジャニーズタレントがワイドショーやニュース番組などでMCやコメンテーターを務めている。つまり、政治の動きや政界の不祥事なども扱う、れっきとした報道関係者でもあるのだ。

 近年のジャニーズの報道進出の例は、それこそ枚挙にいとまがない。嵐・櫻井翔の『news zero』(日本テレビ)を筆頭に、中居正広の『中居正広のニュースな会』(テレビ朝日)、東山紀之の『サンデーLIVE!!』(テレビ朝日)、TOKIO城島茂の『週刊ニュースリーダー』(テレビ朝日)、KAT-TUN ・中丸雄一の『シューイチ』(日本テレビ)。『ZIP!』(日テレ)では元TOKIO・山口達也の後釜曜日パーソナリティとしてジャニーズの風間俊介を起用、フジテレビの『めざましテレビ』にはHey! Say! JUMP・伊野尾慧が曜日レギュラーで出演している。ラジオだが、関ジャニ∞の村上信五の『村上信五くんと経済クン』(文化放送)でも政治や社会問題を扱っている。ほかにも今年9月で終了したが『ビビット』(TBS)ではTOIKO・国分太一がMC、NEWS・加藤シゲアキが金曜レギュラーだった(未成年女性との飲酒問題で降板)。また、V6の井ノ原快彦が『あさイチ』(NHK)のMC、NEWSの小山慶一郎も日テレ夕方ニュース番組『news every.』のキャスターを務めていた(未成年女性との飲酒問題で降板)。

●ジュリー体制になって政治との距離を縮めるようになったジャニーズ事務所の思惑

 政治を扱うワイドショー・ニュース番組に進出するタレントと、その取り込みを図る政治権力という構図は、まさに安倍政権と吉本興業の“癒着”めいた蜜月と酷似している。周知のように、吉本芸人も政治を扱う地上波のテレビでコメンテーターをしており、松本人志や小籔千豊などその多くが“安倍応援団”と化している。だが、吉本芸人とジャニーズタレントで異なるのは、メディア側の扱い方だ。芸能界の“ジャニーズタブー”に守られているジャニーズタレントたちは、癒着も失言も偏向も一切批判されることがない。さらにジャニーズアイドルの持つソフトイメージは、脂ぎった吉本オヤジ芸人たちとはまた別のターゲット層にも影響力を持つだろう。

 ようするに、安倍首相からすれば、ジャニーズ事務所は、メディア掌握による世論形成のための絶好の相手なのだ。実際、安倍首相はTOKIOの面々と昨年末官邸で対談したのに続き、今年5月には会食。さらにG20大阪サミット前日の首脳会談の合間をぬって関ジャニ∞・村上のインタビューを受けている。このように、すでに積極的なアプローチを仕掛けている。11月の「国民祭典」での嵐起用、そして今回、安倍首相が嵐のコンサートに直々に訪れ、SNSで盛大に「感謝」をアピールしたのも、まさにそうした欲望がダダ漏れになっているということだろう。

 また、ジャニーズ事務所にも変化がある。ジャニー・メリー体制時代は政界とは一線を引いてきたジャニーズだが、現在のジュリー副社長はむしろ政治権力との関係構築に積極的になっている。これは嵐世代以降、国民的グループを育てられていないジャニーズから見ても、政権との関係を背後にすれば、政府系のPR事業はもちろん、今後は若手や“格落ち”のタレントをどんどんニュースやバラエティに送り込むことができるようになる、という計算があるからだろう。安倍首相に取り込まれたジャニーズのアイドルたちが、国策の“大本営発表”をメディア中で垂れ流す。そんな悪夢のような未来は、もう目の前に迫っているのかもしれない。
(林グンマ)

  • 12/3 14:55
  • リテラ

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