夫婦生活3年で、溜まりに溜まった男の不満。夫が妻に要求した3つのこととは

—女は、愛されて結婚するほうが幸せ。

その言葉を信じて、愛することよりも愛されることに価値を見出し、結婚を決める女性は数多くいるだろう。

めぐみも、夫からの熱烈なアプローチを受けて結婚を決めた女のひとりだ。

だけど、男女の愛に「絶対」なんて存在しないのだ。

好き放題やってきた美人妻・めぐみ(30)は、夫の様子がおかしいことに気づく。夫を大切にすることを完全に忘れてしまった妻の行く末は…?

◆これまでのあらすじ

夫・弘樹が家を出てから数日が経過した。特に大きな動きはなかったように見えたが、二人にはそれぞれの思惑があり…?


「めぐみさんって、そんなに賢くないよね?」

『TRIPLE ONE Singapore & Chinese Cuisine』で、ビール片手に愚痴をこぼしていた弘樹に向かって、実咲が言い放った。

「お前…、さすがに人の嫁に対して失礼じゃないか?」

弘樹は、昼と同じく不躾な物言いに、思わずムッとする。自分がめぐみの愚痴を言うことはあっても、他人から否定的なことを言われると、それはそれで頭にくるのだ。

「じゃあ、めぐみさんの話しないでよ。ここでグダグダ言ってても何も変わらないと思うけど」

−可愛げのない女だな…。

弘樹がふて腐れたようにそっぽを向くと、実咲は容赦無く続けた。

「他人の夫婦関係について、とやかく言う立場にないけど。私の目から見れば、弘樹もかなりの“察してちゃん”よ。

“俺の気持ちに気づいてくれない”とか、“俺はこんなに考えてるのに”とか言うけど、めぐみさんに何も伝えてないじゃない。

めぐみさん、自分の何が悪いのか分かってないと思うわよ。失礼を承知で言うけど、自分のことを客観的に見たり、反省する賢さは彼女にはないんじゃない?」

厳しいが的確な指摘に、言い返す言葉も見つからず、ばつが悪そうにモジモジすることしか出来ない。すると実咲は、「もう帰る」と席を立った。

一人取り残された弘樹は、ぬるくなったビールを一気に飲み干し、決心したようにスマホを取り出した。

実咲に厳しく指摘された弘樹は、あることを思いつくが…?

最後になるかもしれないメッセージ


−ああ、全然進まない。

ホテルの部屋に戻った弘樹は、パソコンを開いてメッセージのたたき台を作成する。

実咲に言われて気づいたが、これまで自分は、めぐみに自分の思っていることをきちんと言葉にして伝えたことはなく、めぐみに気づいて欲しい、察して欲しいと思っていた。

しかし、実咲の指摘通り、残念ながらめぐみには、優れた洞察力や自分を内省する力は備わっていない。

さらに言えば、「話すと疲れる」とか「めぐみが感情的になるから話し合いにならない」というのも、昔から分かりきっていたこと。

恋人同士の時は良かったものも、結婚生活の中で話し合いを必要とする場面が増えて苛立つようになっただけ。いい意味でも悪い意味でも、めぐみは変わっていないのだ。

だから今こそ、自分の考えや、めぐみに変わって欲しいと思っている気持ちを伝える必要があると思った。それも、ハッキリと。

だが、話し合いをするだけではこれまでの繰り返しになってしまう。そこで、今回は自分の思っていることをメッセージで送ろうと考えたのである。

初めはスマホでメッセージを打っていたが、文章を何度も書き直しているうちに、小さな画面で処理するのが難しくなってきた。

ここは腰を据えてメッセージを書こうと、ホテルに戻ってきてPCを立ち上げたのだ。

ところが、いざ書き始めてみると「この表現はまずいな」とか「うまく伝わるかな」と不安になり、消したり変更したりを繰り返している。

−やべ、もうこんな時間か。

ふと時計に目をやると、時刻は4時をさしている。一心不乱に書き続けて一応形にはなったものの、まだ完璧とは言えない。

−今日、仕事から帰ってきたらもう一度見直そう。

そんなことをしているうちに、結局、メッセージを送信するまでに2日もかかってしまった。


−ふぅ。

弘樹は、送信ボタンを見つめながら大きく深呼吸した。

このメッセージを送る前に、めぐみには明日の夜に帰るということを伝えておいた。自分の気持ちをめぐみに知ってもらった上で、彼女の意見を聞くためだ。

もしかしたら、明日を境に、夫婦は別々の道を歩むことになるかもしれない。だが、それも仕方のないことだと思っている。

10秒ほど目を瞑った後、心を決めた弘樹は送信ボタンを押した。

ついに書き上げた、めぐみに伝えたいこと。それを見ためぐみは…?

フェアじゃない関係


“めぐみへ

結婚してから3年間、きちんとした話し合いをせずにここまできてしまったこと、反省しています。僕の考えを送るので、めぐみの意見も聞かせてほしい。

その上で、今後について話し合いましょう。

まず、子どもについてどう考えているか。僕としては、やっぱり子どもを持ちたいと考えています。結婚して1年くらい経った時に一度話したきり、何も話さずきてしまったけど、めぐみはどう思っているのか聞きたい。

次に、仕事について。子どもをどうするかでも変わってくると思うけど、働けるうちに働いて、貯金してほしい。今って、アルバイト代もすべて自分の美容や買い物に使ってるよね。一応、お小遣いも渡しているのに全く貯金していないと聞いて驚きました。

最後に、これは僕の考えが保守的なのかもしれないけど、もう少し夜の外出を控えて欲しい。僕も会食で遅くなることは多いけど、それ以上に遅いことが何度もあって、正直、快くは思っていません。

僕の不満ばかり書いてしまって申し訳ない。その都度きちんと伝えてこなかったことは、僕も悪いと思っています。

めぐみにも言いたいことはあるだろうし、僕も至らぬ点だらけということは分かっています。これ以上、なあなあにすることはお互いのためにならないと思う。だから、めぐみも本音を話して欲しい。”


−こんなの、フェアじゃない。

弘樹からのメッセージを読み終えためぐみが、最初に抱いた感想だ。

夫の言い分は分かるし、自分にも反省すべき点は大いにあると思う。

しかし、この聞き方はあまりにもずるい。

なぜならメッセージからは、これらの要望に反対ならば、「価値観が違うから離婚も致し方ない」というニュアンスが感じ取れる。離婚を避けようと思ったら、弘樹の言う通りにする以外ないのだ。

おそらく弘樹は、「経済力のないめぐみは、離婚したくない一心で、すべて自分の言う通りにするだろう」と思っているのだろう。

−そうはさせないんだから…。

めぐみは、すぐに弘樹への返信を打ち始めた。

めぐみにだって夫に伝えるべきことがある。例えば、子どもを産む場合は、めぐみの実家の近くに住むことや、土日のどちらかは弘樹が子どもの面倒を見ること。

それから、弘樹にも家事を手伝ってほしいこと、手伝えないなら家事代行サービスを頼んで欲しいこと。

要望には、要望で返してやる。この強気な姿勢の裏には、ある秘策があった。

実は、めぐみもめぐみで、いざという時のために準備していたのだ。

−私のこと、何も考えてないバカな女だなんて思ってるんでしょ。ギャフンと言わせてやる!

明日の話し合いでは、弘樹にカウンターパンチを食らわせる覚悟で臨むことにしたのだ。


▶︎Next:11月26日 火曜更新予定
めぐみのカウンターパンチ攻撃の真相とは?

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