「科捜研の女」刑事部長をこき使う上からマリコ「白い巨塔」であり「おっさんずラブ」だった19話

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11月7日に放送された『科捜研の女』(テレビ朝日系)19話は薬物が題材。同時期に著名人が立て続けに薬物で逮捕されており、ドラマのメッセージ性はより強まった感がある。

<第19話あらすじ>階級を超えたおじさんたちの友情


榊マリコ(沢口靖子)は、府警本部の刑事部長・藤倉甚一(金田明夫)に地域課巡査の平野頼通(菅原大吉)が親しげに声をかける光景を見る。小中高が一緒で親友だという2人。片や警察組織の頂へ昇りつめた藤倉と、対照的に地域課の仕事にこだわってきた平野の友情は階級や立場を越え、変わらず続いていた。
巡回中の平野巡査が資材置き場で若い男の遺体を発見。被害者は深田明良(永沼伊久也)で、死亡推定時刻は遺体発見の直前だった。死因は脳挫傷で致命傷は後頭部の傷。傷口の形状から凶器はモンキーレンチと推定されたが、現場に該当する物はなく犯人が持ち去ったらしい。深田は特殊詐欺で逮捕され、執行猶予中だったこともわかった。
現場で鑑識係が発見した血液の付着したガラス棒を鑑定する科捜研の面々。大麻などを吸引するパイプの一部とわかり、被害者の唾液と被害者以外の指紋が検出されるが、その指紋はなんと平野巡査のものだった。平野は被害者と面識はなく、パイプにも見覚えがないと言うのだが、その態度にマリコは不審を抱く。同じ交番に勤務する同僚巡査からは、平野が被害者を恫喝していたという証言も上がり、藤倉は自ら捜査を外れる。しかし、藤倉は捜査資料に疑問を抱き独断で現場へ向かい、マリコと鉢合わせした。
藤倉の違和感に着目したマリコは全ての証拠を元の現場に戻し、藤倉に再び鑑識を行ってもらうことに。結果、本来の採取表と藤倉の採取表で物的証拠を示す番号札の置き順に不一致が生じる。実際に鑑識作業を行った菅野芳樹(小澤亮太)は誤って証拠のパイプに汗を垂らし、「このミスが昇進に影響する」とパイプを隠していたのだ。
マリコはそのパイプを再鑑定。すると、残っていた唾液が出所後の深田が勤務した焼き鳥店店主・本原邦彦(坪田秀雄)のDNAと一致。同店は犯罪歴のある者を積極的に雇用しており、中には昔の仲間との繋がりで大麻を所持する店員もいたとのこと。本原は彼らから薬物を取り上げ、転売して稼ぎにしていたのだ。それを発見した深田は本原に自首を勧め、本原は犯行に及んだ。
パイプに平野の指紋がついていたのは、深田が相談に来たときに触れたから。恫喝に見えたのは、平野が愛情で深田を叱っていたから。自分が疑われているのに平野がいきさつを話さなかったのは、亡くなって弁明の機会がない深田を守るためであった。

本来なら8時15分頃に19話は終わっていた


このドラマの運、妙な引きの強さには驚くばかりだ。スノーボード元五輪代表の国母和宏と田代まさしが薬物で立て続けに逮捕されたタイミングで、薬物が題材の19話が放送されたのは奇跡的だったと思う。

今回のテーマはただ1つ。人間は誰だってミスをする。大事なのは過ちを犯した後にどうするか、だ。

振り込め詐欺事件に巻き込まれた深田は懸命に更生の道を歩み、平野との信頼関係を築きつつあった。自らの過去を受け止め、生まれ変わろうとしていたのだ。
一方、菅野は鑑識作業の途中でパイプに汗を垂らし、微細証拠を汚染させたミスを隠さんとパイプを持ち去った。「仕事でミスをしたら報告しろ」と、噛んで含めるようにこの男を教育したくなる。「昇進に影響するから……」と、バカ過ぎる言い訳をする菅野。
「甘えるな!」(藤倉)
本当だよ! こいつがパイプを隠さなければ、今回の事件は1日で解決。8時15分頃に19話はとっくに終わっていたはずだ。

藤倉 「お前が棄損したもう1つのガラスパイプはどこだ。まさか、遺棄したのか?」
菅野 「いえ。鑑識員として証拠を遺棄する事なんか(キリッ)」

事件をまどろっこしくしといて、何をドヤ顔で……。犯人でも何でもない者による証拠隠蔽。理由はアレだし、一体何なの!? 人間は誰だってミスをする。大事なのは過ちを犯した後にどうするかだ。

あなたはまだ、土門薫を知らない


今回は刑事部長・藤倉が鑑識員としての腕を見せたご褒美回でもあった。

オープニングで、取り巻きを引き連れ署内を歩く藤倉。まるで『白い巨塔』のようだ。
「警察は階級社会だから。刑事部長ともなれば雲の上の存在なのね」(マリコ)

そんな雲の上の存在をこき使おうとするマリコ。「鑑識や科捜研はあくまで捜査の道具にすぎん」と発言した藤倉に対し「今から道具になってもらいます」と、まさかの挑発発言である。まさに、上からマリコ! 鑑識作業を始める瞬間、キャップの向きをクルッと後ろ向きにした藤倉自身も道具になる気まんまんだった。あのときの藤倉はカッコ良すぎて、鳥肌が立つ。『オーバー・ザ・トップ』のシルベスター・スタローンじゃないんだから。

事件が解決した後、藤倉は平野とイチャイチャしながら河原を歩いた。その後姿を見るマリコと土門薫(内藤剛志)。おっさんずラブを見つめる「どもマリ」。このイチャイチャはマリコと土門にも波及し、2人のほのぼのとした会話で終わる19話だと思っていた。

土門 「立場は違えど、親友でライバルか」
マリコ 「土門さんにはいないの、そういう人?」
土門 「……悪いな、お前に話せるようなことはない」

急に冷めたことを言い出す土門。なんて顔してるんだ。てっきり「お前がライバルだよ」と、エモいことを言ってくれるとばかり思ってたから。

実は、9月20日に大阪南警察署で一日署長を務めた内藤剛志がこんな発言を残している。
「それぞれの登場人物をフィーチャーしたり、通年じゃないとやれないことができていると思います。ヤッバイですよ。『土門、マジか!』ってことが起こります」

土門にはマリコにさえ言えない過去があるらしい。『科捜研の女』のキャッチコピーは「あなたはまだ、榊マリコを知らない」だが「あなたはまだ、土門薫を知らない」とも言えるということ。

ちなみに、今夜放送20話のテーマは「空飛ぶ納豆菌」。またしても、このドラマのスタッフが笑いに走っている。あんなに匂わせておいて、土門の渋顔の伏線はひとまずほったらかしである。
(寺西ジャジューカ)

木曜ミステリー『科捜研の女』
ゼネラルプロデューサー:関拓也(テレビ朝日)
プロデューサー:藤崎絵三(テレビ朝日)、中尾亜由子(東映)、谷中寿成(東映)
監督:森本浩史、田崎竜太 ほか
脚本:戸田山雅司、櫻井武晴 ほか
制作:テレビ朝日、東映
主題歌:今井美樹「Hikari」(ユニバーサル ミュージック/Virgin Music)
※各話、放送後にテレ朝動画にて配信中

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