「スカーレット」11話。戸田恵梨香と大島優子と林遣都が15歳の中学生を演じる


(これまでの木俣冬の朝ドラレビューはこちらから)
連続テレビ小説「スカーレット」 
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

『連続テレビ小説 スカーレット Part1 (1)』 (NHKドラマ・ガイド)

第2週「意地と誇りの旅立ち」11回(10月11日・金 放送 演出・中島由貴)


愛おしい川島夕空演じる喜美子が退場。これまでクレイアニメのオープニングの最後に出てきてずっと微笑んでいた戸田恵梨香がみつあみで、セーラー服(上衣だけ、下はズボン)を着て自転車にまたがって坂道を滑り降りて来た。

喜美子、15歳


昭和28年、喜美子、15歳、中学卒業目前。

自転車を飛ばしてくる喜美子を待っていたのは信作。自転車は彼のものだった。
成長した新平を演じるのは滋賀県出身の林遣都。子供のときと変わらず気が弱そうに見える。そして高校に行かずに働きたいとぼやく。

ちょっと手練の大阪のおばちゃん感もある戸田恵梨香に比べ、林遣都は贔屓目ではないつもりだが妙に少年ぽい。
「おっさんずラブ」の牧のようなしっかり者も演じられるが、こういうおどおどした感じも巧みである。

照子は大島優子。髪型を同じにしてみごとに横溝美帆のかもしていたお嬢様感を踏襲している。おでこをきゅっとあげて聡明そうだ。大島優子は小柄だから少女ぽく見えるのが利点。ピンクがよく似合う。
もともと子役から芸能のキャリアをはじめた大島優子に、私は、よくできた子役が幼い頃に身に着けた方法論と精神性を崩すことなく持ち続けているような印象を抱いていた。なかには子役時代に栄光を手に入れすぎたためにおかしな方向に進んでしまう者もいるが、大島優子にはそれがなく、芯がしっかりしていて、着々とやるべきことに勤しんでいるように見える。王家の直系ではない従姉妹くらいの人の責任感みたいなものを感じ、いつも彼女がいると安心するのだ。喜美子を支えるいいパートナーになると思う。
なんだかんだとかまってちゃんの照子を低いどすの利いた声であしらう喜美子。でも照子は喜美子を気にかけてもいる。

妹役は、直子が安原琉那、百合子が稲垣来泉になった。稲垣は「とと姉ちゃん」の鞠子の子供役だった。映画「人魚の眠る家」で篠原涼子演じる主人公の娘を演じ、意識不明でただただ眠り続けるという難しい役をしっかり演じきった。寝ているだけじゃなくて、演技の見せ所もあって、泣かせてくれた。「スカーレット」では見せ場があるか。

戸田恵梨香、北村一輝、大島優子


中学卒業後、喜美子は丸熊陶業に就職する予定だったが、その話はなくなってしまった。男ばかりの職場に女性ひとりが入ることが問題になったのだ。喜美子はまた男女の差を目の当たりにしてしまう。
そんなとき、川原家に就職口に困った男子たちがやって来て、仕事がなかったら「一家でゴミ拾い」をやることになると聞いて喜美子はショック。近所のおばちゃんたちが就職祝いに服を仕立ててくれようとやって来たところ、おいおい泣いてしまう喜美子。

常治(北村一輝)はこの男子たちを雇う話をしているのだが、今はいったい何をして生活を営んでいるのか不明。
事態を知った常治はしばらく家を空け、戻って来たときに代わりの就職先を見つけて来た。やるな、お父ちゃん。でもそれは大阪だった。

変わらないのは、北村一輝、富田靖子、マギー、財前直見などの大人たち。
さて。ここからはちょっとマニアックな話になるので、「スカーレット」のことだけ読みたい人はここでさようなら。月曜日にまたお会いしましょう。

戸田恵梨香、北村一輝、大島優子と並ぶと(まだ三人並んだ場面はないが)、TBSで植田博樹プロデュース、堤幸彦演出の「SPEC」シリーズ(戸田恵梨香主演 10年〜13年)と「ヤメゴク〜ヤクザやめていただきます〜」(大島優子主演 15年)を思い出してしまう人もいるのではないだろうか。私もそのひとり。二作とも風変わりなヒロインの刑事もので、この二作のどちらも出ているのが北村一輝で、どちらも刑事。SPECでは関西弁のがらっぱちな刑事でフリーズドライされてしまう。「ヤメゴク」でも関西弁の刑事で、髪型がリーゼント。
戸田恵梨香はノーメイクでギブス、大島優子は髪の毛で半分顔を隠した黒尽くめというエキセントリックな役を演じきったが、そんな三人が国民的番組朝ドラにそろって出演していることに、これらのドラマを長らく取材してきた私は感慨無量である。
なぜなら、拙著「みんなの朝ドラ」で、朝ドラが一時期低迷していた時期、時代は堤幸彦ドラマが牽引していたと書いているからだ。逆に朝ドラ低迷から復活したきっかけになった「ゲゲゲの女房」でブレイクした向井理を風変わりな探偵に仕立てた「神の舌を持つ男」(16年)というあまりにもあまりにもキテレツなドラマを後につくったのも、堤と植田なのである。だからどうというわけでもないが。時代はうつろうものである。と、ここまで書いて気づいた。「人魚の眠る家」も堤監督作であった。堤幸彦ファンで「スカーレット」を見てない人がいたら、お誘いあわせて見ることをおすすめする。
(木俣冬 タイトルデザイン/まつもとりえこ)

登場人物のまとめ


川原喜美子…戸田恵梨香 幼少期 川島夕空  主人公。空襲のとき妹の手を離してトラウマにしてしまったことを引きずっている。 漢字が読めなかったが、勉強してすぐ読めるようになった。絵がうまい。
川原常治…北村一輝 戦争や商売の失敗で何もかも失い、大阪から信楽にやってきた。気のいい家長だが、酒好きで、借金もある。にもかかわらず人助けをしてしまうお人好し。丸熊陶業で働く。
川原マツ…富田靖子 地主の娘だったがなぜか常治と結婚。体が弱いらしく家事を喜美子の手伝いに頼っている。あまり子供の教育に熱心には見えない。
川原直子…桜庭ななみ 幼少期 やくわなつみ→安原琉那 川原家次女 空襲でこわい目にあってPTSDに苦しんでいる。それを理由にわがまま放題。
川原百合子…福田麻由子 幼少期 稲垣来泉 
熊谷照子…大島優子 幼少期 横溝菜帆 信楽の大きな窯元の娘。「友達になってあげてもいい」が口癖で喜美子にやたら構う。兄が学徒動員で戦死している。
熊谷秀男…阪田マサノブ  信楽で最も大きな「丸熊陶業」の社長。
熊谷和歌子… 未知やすえ 照子の母
大野信作…林遣都 幼少期 中村謙心 喜美子の同級生 体が弱い。
大野忠信…マギー 大野雑貨店の店主。信作の父。戦争時、常治に助けられてその恩返しに、信楽に川原一家を呼んでなにかと世話する。
大野陽子…財前直見 信作の母。川原一家に目をかける。
慶乃川善…村上ショージ 丸熊陶業の陶工。陶芸家を目指していたが諦めて引退する。喜美子に作品を
「ゴミ」扱いされる。
草間宗一郎…佐藤隆太 大阪の闇市で常治に拾われる謎の旅人。医者の見立てでは「心に栄養が足りない」。戦時中は満州にいてそこで何かあったらしい。喜美子の良いところと悪いところを指摘して影響を与えながら、ふらりと信楽を出ていってしまう。

工藤…福田転球  大阪から来た借金取り。  幼い子どもがいる。
本木…武蔵 大阪から来た借金取り。


脚本:水橋文美江
演出:中島由貴、佐藤譲、鈴木航ほか
音楽:冬野ユミ
キャスト: 戸田恵梨香、北村一輝、富田靖子、桜庭ななみ、福田麻由子、佐藤隆太、大島優子、林 遣都、財前直見、水野美紀、溝端淳平ほか
語り:中條誠子アナウンサー
主題歌:Superfly「フレア」
制作統括:内田ゆき

(木俣冬 タイトルデザイン/まつもとりえこ)

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