前澤氏のZOZO売却は得策だったのか?富豪なのになぜ借金600億?素朴な疑問を解説

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 9月20日、ZOZO前社長の前澤友作氏がTwitterで、秘書と広報を緊急募集した。「僕の新しい活動(まだ具体的に決まってないけど)を手伝ってください」とのことだが、早くも何か始動するのだろうか。

 ヤフーによるZOZOの買収と、前澤氏の電撃解任が発表された9月12日以降、さまざまな報道がされている。前澤氏の“涙の会見”にグッと来た人もいるだろう。週刊文春・週刊新潮などによる「実は借金で火の車」報道で、「なぜ富豪なのに借金?」と思った人もいるだろう。

 今回の買収劇は結局、何のためで、誰が得したのだろうか?
 デジタルマーケティングに20年近く携わり、国内外のECにも詳しい熊村剛輔氏に話を聞きながら、誰にでもわかるように振り返ってみた。

◆前澤氏にとってZOZO売却は得策だったのか?
 
 まず、前澤氏がZOZOを売却したのは、ズバリ得策だったのだろうか?

「結果的に見れば、ZOZOという企業としても、そして前澤前社長としても、良い決断だったのではないかと思います。
 まず“企業として”は、今後 ZOZOが大企業として次のステージに進んでいくには、これまでの経営方針を変更しなくてはならない面もありました。今回の売却は、トップの交代、企業文化の変革を一気に行えるという点で意味があったでしょう。

 また、前澤前社長にとっても、良い判断だったと思います。既にZOZOは、社長一人ではコントロールできないほど大きな組織となっています。自分の事業をやりたいように進めることを優先するとすれば、一旦ZOZOから離れて区切りをつけ、新しいビジネスを始める方が得策だろうと思います」(熊村氏、以下同)

◆富豪なのになぜそんなに借金があった?

 また、前澤氏は所有するZOZO株をヤフーに売ることで、約2400億円(税引前)を手にすることになり、その点でも「得策」だっただろう。サラリーマンにはピンと来ないかもしれないが、前澤氏は富豪といっても持っているのはZOZO株であり、それを誰かに売るなどして現金化しなければ使えない。そしてZOZOの株価が下がるほど、当然、前澤氏の資産は目減りする。

 昨年5月に、前澤氏は所有する600万株を、ZOZOに約240億円で売って現金化している。そのためにZOZOは銀行から240億円を借り入れており、会社=社員たちが何年もかけて返していかねばならない。

 また、前澤氏個人もZOZO株を担保に銀行から借り入れをしている。これらは、ZOZOの財務諸表や、株の大量保有報告書で公表されていることだ。
(前澤氏個人の借金2000億円と報じた週刊新潮の取材に、前澤氏自身は「2000億円はおそらく担保価値の額で、借金はそんなにない」と答えている。が、担保額から見て相当額の借り入れだろう)。

※<【9月23日追記・タイトル変更】前澤氏は、9月23日、自身のTwitterに「僕の借金は約600億円です。株を担保に入れたローンを組んでいます」と投稿した。件の文春・新潮が出る前に取材された時に答えていれば、2000億円とは書かれなかったはずだが…。>

 数億円の株をちょこちょこ売るだけで贅沢はできるはずだが、前澤氏のような破格の金遣いで数百億円を現金化しようとすると、買い手はなかなかいない(そもそも、株を売るとは経営権の一部を売ることで、めったな相手には売れない)。

 借金しないと現金化できない現状ならば、「ヤフーが1株2620円で買ってくれる」のは"いい話”だったはず。かくして、前澤氏は「自由と現金」を得たということだ。

◆前澤氏は今後も輝き続けるか?

 前澤氏は、今後、宇宙旅行と新規事業をやりたいと述べている。
 有名起業家が事業を売却したあと、新たに起業して成功する例は、欧米では珍しくないらしい。だが日本では、「あの人どこに消えたの?」というパターンや、自己啓発書かオンラインサロンで見かける程度の人も…。

「たしかに日本は、海外に比べて、いわゆるシリアルアントレプレナー(連続起業家)が少ない印象があります。その大きな理由はいくつか考えられます。まず、海外と比較して、起業をする人がそもそも少ない。そして、起業して例えば IPO 等で大金を手にした後、(自身では起業をせず) 個人投資家として、新しい起業家のサポートに回るケースが多いこともあります。自分でやる、というよりは“後進を育てる”というマインドが強いのかもしれません」

 起業にせよ後進育成にせよ、前澤氏には"若者の希望の星”であり続けてほしいものだ。

◆孫正義氏にとって、ZOZOは“いい買い物”だったか?

 一方で、ヤフー、つまり孫正義氏にとって、ZOZOは“いい買い物”だったのだろうか? 3大ECモールのうち、アマゾンや楽天の後を追うヤフーショッピングだが、ZOZOを買ったことで巻き返せるだろうか。

「それは、ヤフーが今年10月に開始する予定の『PayPayモール』がカギを握ると思います。既にPayPayモールの目玉店舗として、ZOZOTOWNの出店が予定されていますし、(現在色々と問題を抱えてはいるものの) LOHACOの出店も発表されています。こういったオンライン通販や 、LOHACOなどに見られるオリジナル商品の開発、市場投入のノウハウに加え、さらに自分たちの決済サービスを上手く利用し、巻き返しをはかると思われます。

 ECのノウハウが非常に豊富なZOZOは、ヤフーの物販事業全般に対して良い影響を与えるでしょう」

前澤氏が去ったZOZOは、次々と新しいことをブチ上げるのでなく、地味に見えるがアパレル通販の地固めに立ち返るだろう、というのが熊村氏の見立てだ。

◆カリスマ性がプラスになる場合、マイナスになる場合

 それにしても、前澤氏のカリスマ性は、良くも悪くも日本人離れしていた。国内外の起業家を多数見てきた熊村氏は、「ゼロから新しい事業を興し、大きく成長させることができる方は、誰しも強烈な個性とカリスマ性を持っている」という。

 ただし、「その強烈な個性やカリスマ性を、うまくビジネス方面にコントロールすることができる周りの方々によって、プラスに働く場合とマイナスに働く場合があるのではないか」とも指摘する。
 
 創業時、前澤氏は自らアパレルを一社一社説得して、ZOZOを作り上げた。だが、この数年は、剛力彩芽との交際やハデな私生活ばかりが注目されてしまった。その才能を「ビジネス方面にコントロールする」ブレーンを得れば、新たな「人と社会の役にたつ事業」(by前澤氏)を実現してくれるかもしれない。

【熊村剛輔 氏】
1974年生まれ。プロサックス奏者からIT業界に転身し、エンジニアやオンライン媒体編集長などを経たのち、広告代理店やアパレル企業でデジタルマーケティングに携わる。講演、執筆多数


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  • 9/23 8:51
  • 日刊SPA!

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この記事のみんなのコメント

3
  • 雪兎

    9/24 10:35

    zozoの経営は保たないと思っていたから、社長がやめたのは別に意外ではないけどね。思いのほか早かったね。ワンマン会社っ社員が育たないからね。社長が一人で何でも判断する会社って、だいたいこんな感じ

  • 中山秀征さんの番組に出ていた『佰食屋』の女社長見習ってほしいものだ。ホワイト企業と云える程社員を大事にして時間帯も休みも自由に決めるからね。ただ、休みたい理由に「キンプリのライブ観に行きたい」と書いてあったのは私も固まりましたが。

  • 壁∥* ̄ー ̄) 借金あるのに 月旅行

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