「なつぞら」119話。働くなつ、妊娠に悩む

連続テレビ小説「なつぞら」 
◯NHK総合 月~土 朝8時~、再放送 午後0時45分~
◯BSプレミアム 月~土 あさ7時30分~ 再放送 午後11時30分~
◯1週間まとめ放送 土曜9時30分~

第20週「なつよ、笑って母になれ」119話(8月16日・金 放送 演出・田中正)視聴記録


茜、出産、会社を辞める
茜(渡辺麻友)が、会社の上層部から、子供を生んだら契約にと言われ、下山(川島明)も神地(染谷将太)も憤慨。仕事ができる人なら契約のほうが収入アップの可能性もあると言われるも、実質クビ。だったら辞めると決意する。
この時代、出産、育児をしながら働くことに理解のない会社もあった。東洋動画の参考になっている東映動画も……。

そして、茜は会社を辞めて出産。明子(メイコ)が生まれる。赤ちゃんが可愛すぎて、ひとときも離れたくないから会社を辞めてよかったと言う茜。
赤ちゃんを見ているときの、なつ(広瀬すず)はじつに柔らかい笑顔だった。
ところが、その後、なつは仕事中に気分が悪くなって病院へ。なつの様子と病院をものすごく暗く撮っているため、サブタイトル「なつ、笑って母になれ」を見ていないと、なつ、重い病気? と思った人もいるのではないか。うっと口もとに手をやる、いかにもな妊娠演技ではなく、貧血描写だったので余計に。

朝ドラでは「ちゅらさん」(01年)で後半、ヒロインが重い病気にかかる。話はややずれるが、岡田惠和は映画「8年越しの花嫁 奇跡の実話」が大ヒットして以来、余命ものを量産している。映画「雪の華」は正統派な余命もので、現在放送中のドラマ「セミオトコ」は7日間しか生きられない蝉を主人公にしてひねりが効いている。映画「いちごの唄」は余命ものではないが、亡くなった友人を忘れられない男女の再会譚。でもこれはいまにはじまったことではなく、すでに朝ドラで、ヒロインが入院して生死の境を彷徨うエピソードを後半の重要な流れに据えていたのだ。そして視聴率も良かった。ということからも岡田惠和はドラマと死が密接であることを知り尽くしている作家だなあと思う。
「なつぞら」の大森寿美男も? ……と思いきや、なつは妊娠、つまり「生」のほうだった。生命の誕生を知らせられる、本来、おめでたいはずの妊娠だが、なつはひたすら暗い。仕事を辞めたくないし、辞められないし、産めるのか不安なのだ。
対して坂場(中川大志)は前向きで、出産育児に協力的な態度を示す。なつもようやくホッとしたところで、ウッチャンが「おめでとう」と声をかけるナレーション。しっとりやさしい終わり方だが、品が良すぎる気もしないでない。勝手な想像だが、現在放送中の「おしん」だったら、なつが妊娠を知って、その瞬間、とても明るい顔になるも、ふっと暗い顔になり、奈良岡朋子の聡明なナレーションで心情を説明して、つづく……になりそう。

明子ちゃんが出てきてホッとする瞬間があったが、15分のほとんどが、出産に対するネガティブな話で埋め尽くされて、出産と仕事にまつわる社会派ドラマのよう。「透明なゆりかご」か。
作家も媚びないが、広瀬すずもほんとうに媚びない俳優なので、愛想笑いをまったくしない。みんなが喝采した「無理に笑うことはない」(4回)という泰樹(草刈正雄)の名言がずっと効いているのである。媚びない「なつぞら」すばらしい。

なっちゃんと違って良妻賢母
この回、なつの愛想のなさの被害者が堀内(田村健太郎)だ。仕上げ課にいた女性と結婚し、彼女は辞めていることに関して、なつと違って良妻賢母と言ったときの「じゃどういう意味ですか」となつのブリザードをくらう。「アナと雪の女王」のエルサのようななつ。ドラマで客観的に見ているから、なつは戦争で大きな喪失を味わっているので、なかなか幸福感が得られないのだと思えるが、実際彼女みたいな子がそばにいたらへこむかも……。美しいだけによけいに冷たさも際立ってしまうのだ。良し悪しである。

広瀬すずが醸し出す果てしない虚無感は、映画などのスケールの大きな世界でどんどん外圧を加えていくことで映えるもので、描写を手加減せざるを得ないドラマだと難しそう。「なつぞら」は「なつぞら」で制約のなかでチャレンジしているドラマだが、いつか、容赦ない描写のできる朝ドラではない作品で大森寿美男×広瀬すずも見てみたい。

【第21週あらすじ】「なつよ、新しい命を迎えよ」8月19日・月〜8月24日・土】 


なつは妊娠を咲太郎や、富士子ら十勝の家族に報告し、盛大な祝福を受ける。そんな中、麻子(貫地谷しほり)が日本に帰ってくる。なつたちの新居を訪れた麻子は、アニメの制作会社を設立したことを伝え、もう一度、現場に復帰しないかと坂場に話を持ちかける。坂場にとっては願ってもないチャンスだが、なつたち共稼ぎ夫婦には子育て問題が大きく立ちふさがる。そんな不安を抱えつつも、臨月を迎えたなつは仲(井浦新)や神地(染谷将太)らに見送られ、産休に入る。予定日が迫る中、なつは突然の腹痛に襲われる。一大事というタイミングで現れたのは、富士子や泰樹たちだった。

120回あらすじ  8月17日・土 放送


なつ(広瀬すず)の妊娠がわかる。夫の坂場(中川大志)と喜んだのもつかの間、これからの生活のことや、産後も仕事を続けていけるのか不安になるなつ。生活は自分が支えていくと言う坂場に背中を押され、なつは働き続けたいというアニメーターとしての仕事への想いを再確認する。下山(川島明)と神地(染谷将太)に妊娠のことを知らせるなつ。たとえ契約社員になっても働くつもりだと伝えると、二人は…。


121回あらすじ  8月19日・月 放送


なつ(広瀬すず)は、妊娠したことを報告するため風車プロダクションを訪れる。咲太郎(岡田将生)や光子(比嘉愛未)、蘭子(鈴木杏樹)達はなつの妊娠を喜ぶ。そして、なつは電話で十勝の柴田家にも報告し、富士子(松嶋菜々子)に嬉しさの反面、初めて母となる不安を漏らす。数ヶ月後、テレビ漫画づくりの激務の中、なつのお腹はどんどん大きくなっていた。そんななつの所へあの人が帰ってきて…。
(木俣冬)

登場人物とキャスト 登場順


奥原なつ 広瀬すず 幼少期 粟野咲莉…主人公。戦争で父母を亡くし、兄と妹と別れ、剛男に連れられて北海道に引き取られてきた。生活を保障してもらう代わりに酪農の手伝いをする。父の描いた家族の絵を大切にもっている。生きるために感情を押し殺してきたが、柴田家、とりわけ泰樹と触れ合うことで、素直に感情を出せるようになっていく。これからは酪農の時代だと考え、十勝農業高校で学んでいる。演劇部に入る。
高校卒業後、アニメーターを目指して東京に出てくる。
佐々岡信哉 工藤阿須加 幼少期 三谷麟太郎…空襲のとき、なつを助ける。孤児院で働きながら勉強している。
柴田剛男 藤木直人…柴田家の婿養子。なつの父の戦友で、戦災孤児となったなつを十勝に連れて来た。妻を「ふじこちゃん」と呼ぶときがある。1955年時点では音問別農協組合で働いている。
柴田富士子 松嶋菜々子…剛男の妻。開拓で苦労してきたので、ひとに優しい。
柴田照男 清原翔(13 回から) 幼少期 岡島遼太郎…柴田家長男。搾乳をさせてもらえない代わりに薪割りを頑張っていたが、なつが来たことを機にようやく搾乳させてもらえた。
柴田夕見子 福地桃子(13回から)幼少期 荒川梨杏…柴田家長女。牛乳嫌い。同い年のなつに嫉妬を覚えたが、剛男に説得されてなつを受け入れる。勉強ばかりして家の手伝いを全然しない。
柴田明美 平尾菜々花(13回から) 幼少期 吉田萌果…柴田家次女。
柴田泰樹 草刈正雄…柴田家当主。頑固者で幼いなつにも容赦なく厳しく接するが、意地悪ではなく、彼の人生哲学に基づいたもの。他人に頼らず己の力で人生を切り拓くことを心情としている。甘いものが好き。
なつをほんとうの家族にしたいと願い、照男と結婚させようとする。
奥原咲太郎 幼少期 渡邉蒼…なつの兄。タップダンスが得意で、米兵にかわいがられていた。孤児院を出て新宿で亜矢美に助けられ、ムーラン・ルージュを経て、浅草の劇場で働いていたが、盗み濡れ衣を着せられ捕まってしまう。
奥原千遥 幼少期 田中乃愛…なつの妹。親戚に引き取られている。

2回
焼け跡にいたおばあさん北林早苗…情にほだされなつたちに食べ物を分ける。演じている北林は朝ドラ第1作め「娘と私」の娘・麻里の少女時代役を演じた。
戸村悠吉小林隆…柴田牧場で働いている。貧しい開拓団の八男に生まれ、幼い頃に奉公に出され、泰樹に世話になった恩を感じて尽している。
戸村菊介音尾琢真…悠吉の息子。嫁募集中。

4回
小畑とよ 高畑淳子…帯広在住。泰樹の昔なじみ。口の減らない元気な人。
小畑雪之助 安田顕…とよの息子。菓子店・雪月の店主。菓子作りに情熱を注ぐ。
小畑妙子 仙道敦子…雪之助の妻。
小畑雪次郎 山田裕貴(13回から登場) 幼少期 吉成翔太郎…雪之助、妙子の長男。十勝農業高校に通っている。演劇部。高校卒業後、川村屋に修業に出る。

5回
山田天陽 吉沢亮 幼少期 荒井雄斗…音問別小学校でなつと同級生になる。東京からやって来た。馬が好き。農業をしながら絵を描いている。
大作 増田怜雄…音問別小学校の生徒。
実幸 鈴木翼…音問別小学校の生徒。
さち 伍藤はのん…音問別小学校の生徒。
山田正治 戸次重幸…天陽の父。東京から北海道にやって来たが土地が悪く、農業ができず、郵便局で働いている。泰樹の協力を得て、土地を蘇らせる。

8回
山田陽平 (31話から)犬飼貴丈 幼少期 市村涼風…天陽の兄。絵がうまい。東京で芸大に通いながらアニメの美術の仕事をしている。なつに絵画の道具を贈った。東洋動画に就職。

9回
なつの父 内村光良…日本橋で料理人をしていた。絵が上手。家族のことを思いながら戦死した。

10回
花村和子 岩崎ひろみ…音問別小学校の教師。 
校長先生 大塚洋…音問別小学校の校長先生。
山田タミ 小林綾子…天陽の母。

13回
居村良子 富田望生…十勝農業高校の生徒。演劇部に入り衣裳を担当する。「白蛇伝説」のラスト、白蛇として登場し喝采を浴びる。
村松 近江谷太朗…柴田牧場と長い付き合いのあるメーカーの人物。奥様封筒をもってくる。

倉田隆一 柄本佑…十勝農業高校の国語の先生。演劇部の顧問。「魂」が口癖。なつの問題、十勝の伝承を交えて「白蛇伝説」の台本を書く。

14回
田辺政人 宇梶剛士…音問別農協組合組合長。農協で一手に酪農事業をとりまとめ十勝を酪農王国にしたいと考えている。 

19回
門倉努 板橋駿谷 …十勝農業高校の番長。クマとサケを争った逸話をもつ。演劇部に入り、村長役を略奪する。
高木勇二 重岡漠 …十勝農業高校演劇部。メガネ。門倉に役をとられてしまう。
石川和男 長友郁真…十勝農業高校演劇部。
橋上孝三 山下真人…十勝農業高校演劇部。

21回
太田繁吉 ノブ(千鳥)…十勝農業高校の教師。ヤギのチーズは牛より「クセがすごい」と言う。

27回
前島光子 比嘉愛未… 川村屋のマダム
野上健也 近藤芳正… 川村屋のギャルソン
茂木一貞 リリー・フランキー… 角筈屋社長
煙カスミ 戸田恵子… 歌手。クラブメランコリーの看板。ムーラン・ルージュにいた。
三橋佐知子 水谷果穂…川村屋の店員。川村屋社員寮でなつと同室に。咲太郎を「同志」と思っている。
土間レミ子 藤本沙紀…カスミのいるクラブの店員。咲太郎のことが好き。「真心を一晩貸したままだから」返してほしいと思っている。

28回
島貫健太  岩谷健司
ローズマリー  エリザベス・マリー…浅草の踊り子

30回
藤田正士 辻萬長  親分
松井新平 有薗芳記 …浅草の芸人
岸川亜矢美 山口智子 …元ムーランルージュの踊り子。咲太郎を助けた。

31回
下山克己 川島明 …新人アニメーター
仲努 井浦新 … 実力派アニメーター

37回
阿川弥市郎 中原丈雄 … 東京から北海道に移住。彫刻で生計を立てている。
阿川砂良 北乃きい… 弥市郎の娘。

44回
杉本平助 陰山泰… 川村屋の料理長

45回
蘭子 鈴木杏樹… 劇団の女優
虻田登志夫栗原英雄… 劇団の俳優

49回
井戸原昇 小手伸也… 東洋動画アニメーター

55回

森田桃代 伊原六花…仕上げ課の先輩、といっても年齢はなつと同じで19歳。あだ名は「モモッチ」
山根孝雄 ドロンズ石本…仕上げ課のえらい人。
石井富子 梅舟惟永…仕上げ課のベテラン。といってもまだ30歳。
大沢麻子 貫地谷しほり…原画スタッフセカンド。周囲に一目置かれている才能あるアニメーター。
おしゃれしているなつを敵視している。
堀内幸正田村健太郎…動画スタッフ 芸大出身で、線画のきれいさには定評がある。

58回
露木重彦木下ほうか…演出家、第一製作課長
山川周三郎古屋隆太…東洋動画スタジオ所長

66回
泉千恵
岡部たかし
池間夏海


脚本:大森寿美男
演出:木村隆文 田中正ほか
音楽:橋本由香利
キャスト:広瀬すず 松嶋菜々子 藤木直人 岡田将生 比嘉愛未 工藤阿須加 吉沢亮 安田顕 仙道敦子 音尾琢真 戸次重幸 山口智子 柄本佑 小林綾子 高畑淳子 草刈正雄ほか
語り:内村光良
主題歌:スピッツ「優しいあの子」
題字:刈谷仁美
タイトルバック:刈谷仁美  舘野仁美 藤野真里 秋山健太郎 今泉ひろみ 泉津井陽一
アニメーション時代考証:小田部羊一 
アニメーション監修:舘野仁美
アニメーション制作:ササユリ 東映アニメーション

制作統括:磯智明 福岡利武

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