「庶民はiDeCoをやった方がいい」老後2000万円問題に向けたサバイブ術

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 6月上旬に発表されてからというもの、いまだ大論争を巻き起こしている「老後資金2000万円問題」。遠い先の話と思わず、今から対策を講じないと、老後を乗り切れないことだけは確か。ならば、どのようなアプローチがあるのか。

 蓄財に一家言を持つ気鋭の論客2人はどう考えているのか? 作家で投資家としての顔も持つ藤沢数希氏、本業+副業で年収5000万円以上を稼ぎ出す次世代型サラリーマンのmoto氏(以下、モト)の2人に老後に向けたサバイブ術について語ってもらった。

◆気鋭の論客2人がSPA!世代へ送る処方箋とは

モト:自分は今、32歳ですけど、麻生さんの老後資金2000万円発言について同世代は「そうなんだ~」って程度の反応です。そもそも日本に期待してないっていうのもありますが、周りを見ても自己防衛している雰囲気もないですね。でも、正直言って国がいつ、どうなるかはわからない。自己防衛をしなくちゃ、っていうのは、僕は今後を生きるうえで鉄則だと思っていますけど。

藤沢:モトさんの場合、自己防衛は副業ですよね。アフィリエイトでしたっけ?

モト:転職情報のサイトです。恋愛なんかと同じで、転職って知見が共有されづらく、個人の体験談がすごく求められている分野じゃないですか。それで自分の転職経験がお金になると思ったんです。

藤沢:本業と副業をリンクさせてるわけだ。賢いやり方だよね。

モト:藤沢さんが一般のサラリーマンにオススメする自己防衛っていうと、やっぱり投資ですか?

藤沢:SPA!の読者が投資するといってもせいぜい300万円くらいでしょ。仮に利回り5%だったとしてもたった年間15万円にしかならない。これなら会社で残業したほうがいいって。

モト:けど、最近はどこの企業も残業は減っています。何もしないよりは、したほうがいい投資法ってないですか?

藤沢:余ったお金があるなら、まずiDeCo(個人型確定拠出年金)(※1)はやったほうがいいですね。最大のメリットは、掛け金を全部所得控除できること。それに、信託報酬(運用手数料)が0.2%前後と安いインデックスファンドも揃っているし。
 ただ、iDeCoは口座管理手数料が年間5000円くらいかかったり、老人になるまでお金を原則引き出せないって欠点はあるけど。

モト:例えば、iDeCoの中でどの運用商品がいいとかありますか?

藤沢:世界株式に連動するタイプのやつかな。ネット証券のETF(※2)でも似たような商品が買えます。まあ、あっちは頻繁に売買できるから結局損しちゃうってケースも多いですけどね。結局のところ、庶民はiDeCo一択かな。

◆お金があっても、なくても老後の心配はするだけムダ!

モト:ところで、藤沢さんは2045年の日本ってどうなってると思いますか? ちょうどSPA!の読者が年金生活に入る頃合いの日本社会って、なかなか想像がつかないんですが……。

藤沢:みんな東京五輪後の景気を心配しているけど、日本は先進国の中ではすでに下位。今後、さらに下がるかもしれない。けど、日本というブランドは簡単には死なない。’45年でもアジアではまだそれなりのポジションにいるはず。悲観はしていません。

モト:その頃、僕はひょっとしたら海外に移住しているかもしれません。恐らく、自分の今のスタイルであれば世界中どこに行っても稼ぐことは可能なので。

藤沢:税制や住みやすさなどを考えると、選択肢は香港とシンガポールのほぼ2つ。ただ、どちらも年収5000万円くらいないとキツいからハードルは高い。でも、モトさんなら大丈夫か(笑)。

モト:僕、物欲が結構強くて出費が多いんです。収入が増えたこともありますが、高い腕時計やスーパーカーが欲しくなったり。特に時計に目がなくて、今日つけているのはパテックフィリップ。これまで時計には約3000万円ほど注いできました。

藤沢:自分も若い頃はちょっとは物欲があったけど、最近はないんだよね。高いモノを買うのってエネルギーが要るじゃない。高い時計は、つけているだけでリスクと感じてしまうから僕は怖いな。僕は、物欲によってMP(マジックポイント)が削られると思っていて、今はそれを全部ビジネスで使いたいわけ。

モト:私はMPをムダ遣いしていたのか(笑)。ただ、時計って値上がりすることがあって、今持っている時計を全部売却しても1000万円くらいプラスになります。

藤沢:なら、かなりよい投資になってますね。けど、結論から言えばお金があろうとなかろうと、老後の心配ってするだけムダだと僕は思っています。例外はあるにせよ、日本で餓死する人なんてまれじゃない。生活保護というセーフティネット(※3)もある。文句を言ったり、批判する人は多くても、日本の社会保障制度って世界に誇れる優秀なものですから。

モト:さすがに最初からそこを頼るのはどうかと思いますが、セーフティネットがあることは、認識してもいいですよね。

藤沢:モトさんのように稼げる人はそれでいいけど、人生というゲームで悲惨なのは、アリがキリギリスに負けちゃう現実なんです。アリのようにあくせく働いて貯金してきた人が、若いうちから遊びまくって不健康になって生活保護受けてって人より劣る暮らしを余儀なくされてしまう。この現象をどう捉えるか。行儀よくアリでいる必要はないと僕は思いますよ。

(※1)iDeCo
個人型確定拠出年金の愛称。毎月一定額を積み立て、選んだ金融商品を運用。掛け金が全額所得控除、運用益が非課税、受取時に公的年金等控除か退職所得金控除が適用されるなど税制面でかなり優遇されている。ただし、原則60歳になるまで引き出すことはできない

(※2)ETF
上場投資信託。日経平均株価や東証株価指数などの各指標への連動を目指す投資信託で、金 融証券取引所で取引される

(※3)セーフティネット
弱者を救済する社会的な仕組み。日本の場合、生活保護の受給がセーフティネットとして機能しており、その金額は国民年金のみの場合より高水準となることから、批判・見直しの議論も高まっている

【藤沢数希】
理論物理学研究者、外資系金融機関を経て、現在は作家、投資家。有料メルマガ『週刊金融日記』は読者数1万人、ツイッターのフォロワーは16万人を超える。『損する結婚 儲かる離婚』(新潮社)など著書多数

【moto】
4度の転職を経て、年収250万円から1000万円に激増させたジョブホッパー。副業年収も4000万円超で、合わせた年収はなんと5000万円以上! 7月、自身初となる著書『転職と副業のかけ算』(扶桑社)を発売

― 老後資金の稼ぎ方 ―


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  • 7/12 8:50
  • 日刊SPA!

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