女たちのマッドネス:“愛され”ブログで人気のセレブ妻。彼女の人生を狂わせた、1つの嘘とは

–妻たるもの、夫に愛されなくてはいけない−

そんな強迫観念のごとき価値観が今、巷に蔓延しているという。

#旦那様ありがとう
#優しい夫に感謝

SNSには自称・愛され妻の投稿が自慢げに並ぶ。さらには“愛され妻”になる方法をレクチャーする講座まで存在し、悩める妻たちが殺到しているというのだ。

「私も、“愛され妻”になりたい...!」

必死で愛を乞うあまり狂っていく女たち....。狂気が狂気を呼ぶ、その様を覗いてみよう。

ほんの少し、奥深いところまで–。

愛され妻・麗子の独白:「美しければ、人生は容易いのです」


◆はじめに◆

質問です。

女性はどう生きれば、より良い人生を送れるのでしょう?

時代はもう令和だというのに、一向に男女平等が進まないこの国で。

汗水垂らして男性と同じフィールドで働いて、体調が悪かろうが子どもがいようが構わず労働に人生を捧げ、そうしてわずかばかりのお金を得るために働くのが、果たして女性の本当の幸せなのでしょうか?

私はそうは思いません。

女性に生まれたからには自らの美しさを最大限に磨き、エレガントな愛され術を学んだ上で、経済力ある一流の優しい男性に愛され、結婚する。

それがやはり一番の幸せなのです。

まあでもそれは、私のやや恵まれすぎた人生が育んだ価値観。すべての方から共感を得られるとは思っていません。

裕福な両親の元に美しく生まれついたということで、私の人生は葛藤とは無縁でした。ですので、私の価値観に賛同できないという方は無視していただいて結構。

ただ、私と同じ価値観を持ち、私と同じような結婚をして、夫からいつまでも愛されたいと願う素直な方は...。

ぜひ、この続きをご覧になって。

私が今の幸せを手に入れた秘訣を、余すことなくお伝えしますからー。

美貌を武器に、愛され妻となった麗子。すべてを手に入れた彼女の“秘訣”とは

セレブ妻の座を手に入れた“秘訣”


私と夫の結婚が決まった時、当時よくつるんでいた婚活仲間たちは、それはそれは悔しそうな顔をしていましたよ。

なんせ私の夫は、東京でアッパー層を狙う女なら誰でも知っている男だから。

外資系投資銀行で成功を収めた、トップクラスのトレーダー。年収は億超え。

しかも稼ぎだけじゃないの。清潔感のあるルックスにスマートな振る舞いは、誰から見ても“最高レベルの男”。

私、彼と初めて出会い数秒話しただけでこう確信したんです。

この人こそ、私の運命の相手だって。


夫と出会ったのは、今の私の住まいとそう遠くない、六本木のタワーマンションで開かれたホームパーティでした。

一緒に参加していたメンバーはというと、テレビにも出ている文化人の女性や医者、それに若くして成功した女社長など。皆、自分でもお金を稼ぐことが出来る、強気の女性たちばかりでした。

そんな中で私だけが、IT系ベンチャー企業の広報。平凡な経歴です。

当時は会社の調子が良くて普通のOLよりは多い給料をもらっていましたが、一緒にいる彼女たちと比べたら雲泥の差。

それでも私が彼女らと行動を共にできたのは、一重にこの恵まれた美貌のおかげと言っていいでしょう。いい男は、美しい花に集まりますから。彼女たちにもメリットがあるわけです。

私たちはお互いの人脈を駆使し合い、東京でも上位0.1パーセントクラスの男を狙っていました。

お金があるだけじゃだめ。人としての完成度を見ています。豊富な経験が必要だし、それでいてスレていない男を求めます。

私の夫は、そういう意味でも最高の男でした。

え...?どうやって彼のハートを掴んだのか?

ふふ、気になりますわよね。私がどうやって、並み居るライバルを蹴散らし、妻の座を手に入れたのか。

何度もお話ししていますが、私、美貌には自信があります。けれど美貌だけではダメ。彼レベルの男なら、女優やモデルとの結婚も難しくないのだから。

私は必死で頭を使いました。そう、人生でこんなに頭を使った、という記憶はないほど…。

例えば?そうね、男性の本能について研究したり、心理学の勉強もしました。

そして何をしたかというと、種蒔きです。あなたに好意がありますよ、という種。

これらはいくら蒔いても蒔きすぎるということがないの。それに男性の「追いかけたい本能」を邪魔することがなく、自然に好意を持ってもらうことができる。

...もっと詳しく知りたい?

それなら、近々もっと突っ込んだことをお話できる場を設けますから、そこにぜひいらして。またご案内しますね。

そうそう、それで、私はとうとう彼にプロポーズされ、優雅な専業主婦としての暮らしを手に入れたわけです。

親切心から始めた、愛され妻ブログ


〜愛され妻・麗子 秘密のサロン〜

カタカタカタ…。

「凄いわ…今日もこんなにたくさんの人が見てくれている」

文章を書くのがあまり得意でなかった私が始めたこのブログ。

それなのに今じゃ、毎日約1万人近くの人が訪れてくれています。

夫との幸せな生活の秘訣を、ほんのすこし、愛に恵まれない女性たちに教えてあげようー。

ブログを始めたきっかけはそう、そんな小さな親切心でした。

それがまさか...自分で自分の首を絞めることになるなんて...。

すべてを手に入れたはずだった。ところが麗子の人生は、新婚3ヶ月で狂い始める。

狂い始めた、愛され妻の人生


最初は本当に、冗談かと思いました。

まさか結婚してわずか3ヶ月で、夫の浮気が発覚するなんて。

その痕跡は、いとも簡単に見つかりました。

どうして男ってやつはあんなにも無用心に、スマホをテーブルの上に置きっぱなしにしたり、ズボンのポケットに領収書を丸めて入れたりするのでしょう。

新婚当初の情熱が薄れてきたな、とは思っていたけれど、まさかこんなに堂々と浮気をするなんて…。

たったの3ヶ月で、私は“愛され妻”のポジションを脅かされることになったのです。

しかし既に私のブログ“愛され妻・麗子 秘密のサロン”は、常にランキング入りするほどの人気ブログに成長しています。

私の裕福な暮らしぶりに憧れた読者の方々から、ひっきりなしにセミナーや講演の依頼メールが届きます。

恵まれた美貌を活かし愛され妻として生きていく究極の幸せを書き綴った私のブログには、毎日更新を心待ちにしてくれている、熱狂的なファンがついているのです。

それなのに…たった3ヶ月でその幸せが破綻してしまっただなんて、悟られるわけにいかないじゃないですか。

私は真実をひた隠し、ブログを更新し続けました。

「麗子さん、ぜひお茶会を開いてください!直接麗子さんの教えが聞きたいです」

「出版社の○○と申します。突然のお願いで恐縮ですが、ぜひ麗子さんのブログを書籍化したく、ご連絡を差し上げました。つきましては…」

毎日のように、そんなメールが届きます。

…おおっぴらに浮気を繰り返す夫は日増しに私に冷たくなってゆくのに、私のブログに対する読者たちの熱狂ぶりは留まることを知りませんでした。

ブログの中の私...愛され妻・麗子は、今日も夫から愛され、優雅な生活を享受し、世の女性たちから羨望の眼差しを向けられています。

そう、愛され妻・麗子は存在しているんです。ブログの中で。ブログを読んでいる読者の皆さんの、頭の中で。

「...そろそろ、読者の皆さんとお会いする機会を作ってみてもいいかもしれない」

私は意を決し、お茶会開催のお知らせを書き上げました。

麗子が開いたお茶会に参加した女・理英子の感想


...麗子さんのお茶会、参加してきました。

カフェレストランの個室で、軽めのランチ+スイーツ付とはいえ参加費1万円は法外かなと思いましたが、それで夫と上手くいく秘訣が分かるのなら惜しくないと思っていました。

それに、私は麗子さんの大ファンでしたから。

エレガントで美しい麗子さんの姿を生で見る為に参加したといっても過言ではないかもしれません。

...でも私、本当にビックリしたんです。

麗子さんが…こういっては失礼ですが、まったく美人じゃなかったことに。

ええ、そうなんです。むしろその容姿は、平凡よりもやや劣っている様に見えました。

もちろんお召しのものやバッグなどは一目で上質とわかるものでしたし、髪の毛もとても丁寧にケアされていましたよ。

左手薬指に光る大きなハリーウィンストンの指輪も、それはまあご立派でした。

それにしても麗子さん、なぜブログでご自分のことをあんなに「美人」だとか、「美貌に恵まれてきた」なんてお書きになるのでしょう。

そんな風に書かれなくても、あの愛され妻のブログは十分に面白いし、その人柄で十分な人気を得ることができたはず。

あれだけ面白いブログを書けるのだから、麗子さんは頭の良い方だと思うんですよ。随分と戦略的に高収入の男性とご結婚し、優雅で幸せな結婚を掴み取ったわけですしね。

でもだからこそ、頭の良い方がどうして。なぜあんな風に「美人だ」なんて嘘をつかなくてはならなかったのかしら?

しかもお茶会なんて開催したら、すぐに嘘だってバレてしまうのに。

それだけが、本当に謎です。

NEXT:7月19日 金曜更新予定
愛され妻・麗子のお茶会に参加した、理英子の狂った日常

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