Hey!Say!JUMP、アリーナツアー中止は得策? 心理学博士がジャニーズの決断を「ファン心理」から考察

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 5月19日、ジャニーズ事務所が、今年のHey!Say!JUMPのアリーナツアーを中止することを発表し、ファンの間で大きな動揺が広がっている。かねてから、一部ファンの追っかけ行為が激化し、公共交通機関のマナー違反を繰り返されていることが問題視され、事務所やメンバーが直接ファンに対して注意を行っていたものの、「改善に至らなかった」という理由から、今回ついにツアーの中止が決定したという。

 ネット上には、ファンから「ツアー中止なんて悲しすぎる」「メンバーが何度も何度も注意してくれていたのに、一部の過激なファンのせいで……」など、怒りと悲しみの声が飛び交っている中、今回のジャニーズ事務所の措置には、懐疑的な意見も出ているようだ。というのも、再三注意をされているのにもかかわらず、マナー違反を続けていたファンが、「アリーナツアー中止で改心するかどうか疑わしい」と見るものが少なくない様子。果たして、この決断は正しかったのか、間違いだったのか。今回、経営コンサルタントで心理学博士の鈴木丈織(すずきじょうじ)氏に見解をお聞きした。

過激なファンにとって、アイドルは自己所有物

 まず鈴木氏は、メンバーだけでなく周囲の人々にも多大な迷惑をかける「過激なファン」の心理状態について解説をしてくれた。

「過激なファンは、常に頭の中で、自分とアイドルを『1対1』の関係であると思い描いているように思います。恋人や夫婦は、『1対1』のペアで行動をともにすることが多いですが、それと同じ発想で、自分とアイドルも一緒に行動して当然だと認識しているのです。新幹線のホームまでアイドルを追いかけていく過激なファンは、『彼が先に行ったので、置いてきぼりにならないよう、私もついていく』ぐらいの感覚なのでしょう」

 過激なファンの心理を不可解と感じる人は多いだろうが、彼女たちの中で「アイドル=自分のパートナー」であるならば、確かにその行動は「当たり前」のことなのかもしれない。

「アイドルを自己所有物であると認識し、『私の所有物なんだから、私には彼に会う権利も、追いかける権利もある』『私の所有物だから、逃げるのはおかしい』『私の所有物が、私を嫌いになるはずがない、私を愛している』といった価値観になるのです。つまり、『自分の所有物なのだから、正当性は私にある』と思い込んでしまっている状態で、いくらアイドルが『マナー違反はやめて』と注意しても、『建前上そう言っているだけ』としか受け止められないのでは」

 また、ファンが暴徒化する背景には、「集団」という要素が深く関係しているようだ。

「ファンの間でさまざまな情報が共有されることによって、個が集団となり、一つの大きな“個”と化すと、そこに一体感が生まれ、マナー違反の意識が欠如するというのもあります。もう少し噛み砕いて言うと、自分一人で抜け駆けするのではなく、大勢で追いかけることにより、その行為に違和感を覚えなくなって、暴徒化してしまう。自分が周囲にどういった危害を加え、どれほどの迷惑をかけているか、素直に見ることができなくなるんですね」

 こうした過激なファンには、きっかけさえあれば、誰しもがなり得る可能性があると、鈴木氏。アイドルは、コンサートなどで「1対多数」に向けて、目線を送ったり、手を振るのが基本だが、「ファンはよく『私を見てくれた』『私に手を振ってくれた』と言いますよね。そういった“たまたま”が連なったことがきっかけとなり、自分とアイドルを『1対1』の関係だとする“錯覚”が根付くことはあるでしょう。アイドル側も、ファンサービスとして『あなたを見ているよ』『あなたに手を振っているよ』と錯覚させることを狙っている部分はあると思いますが」と指摘する。

 応援グッズのうちわに「アイドルにしてほしいファンサービス」を書く文化は、ジャニーズファンの間で広く浸透しており、コンサートの楽しみの一つになっているが、「私にだけ特別にしてくれた」と思い込みすぎることは、過激なファンを生むきっかけになりそうだ。

 今回そんなマナー違反を繰り返す過激なファンに対し、ジャニーズ事務所が下したアリーナツアー中止という決断を、鈴木氏は「正しいと思っています」ときっぱり断言する。その理由は一体どこにあるのだろうか。

「Hey!Say!JUMPのファンは、連帯責任を負わされたことに対し、最初は、事務所に対して怒りを覚えたと思います。そもそもの原因を作ったのは過激なファンなのですが、彼女たちは特定できないので、まずは特定でき、クレームを入れやすい相手――つまり事務所を攻撃するといった心理が働くのではないでしょうか。しかし時間がたつと、自分がコンサートに行けないという損失を被った真の原因は、一部の過激なファンであると認識し、そちらに怒りの矛先が向くのです。すると、ファンたちの間に自制心が生まれるとともに、『私たちが過激なファンを制していこう』といった心理状況が生まれるようになります。つまり、ファンが過激なファンに対し、これまでの行動を見直さざるを得ないほどの“圧力”を掛け始めるのです。こうした状況は、やはり事務所が、ファン全体に平等に不利益を与えることによって生まれたので、アリーナツアー中止の決断は正しかったと感じますね」

 事務所が行ったのは、「ファン全体の空気を変えること」だと、鈴木氏は言う。しかしこの措置によって、過激なファンが少数にこそなれゼロにはならないのではないかと続ける。

「目を覚まして穏健化する過激なファンの方が多いとは思いますが、さらに過激化するファンもいるでしょう。集団になることで暴徒化が進むという話をしましたが、過激なファン仲間がいなくなっても『一人で追っかける』という人は絶対いるでしょうし、また、今後は人目につかないところで、隠れて違反行為を行うようになるかもしれません」

 鈴木氏は最後に、マナー違反をする過激なファンに対して、「これをきっかけに、自分を見つめてほしいです」と言葉をかける。

「善良なファンは、中止の発表にため息をついたと思います。この『あぁ、残念……』というため息を、過激なファンはどう感じるか。アイドルは自分の所有物ではなく、みんなのものであることを、あらためて考えてほしいですね」

  • 5/25 16:00
  • サイゾーウーマン

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