ヒラボクラターシュがタイレコードの接戦を制す/佐賀記念回顧(斎藤修)

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 グレイトパールが転入したことで、佐賀競馬にとっては1996年のリンデンニシキ以来23年ぶりの地元馬による佐賀記念制覇となるかに期待がかかった。しかし、ドラマは別のところにあった。それは土曜日の東京開催が雪のため(実際には予想されたほど降らなかったが)月曜日に延期となり、ヒラボクラターシュに騎乗予定だった福永祐一騎手は東京競馬場での騎乗を優先。空席となった鞍上には、岩手から期間限定騎乗中の山本聡哉騎手が指名された。

 代替開催によって中央馬の鞍上が地方の騎手に騎乗変更になることはこれまでにもあったが、それが地元の騎手ではなく、期間限定でたまたま佐賀に在籍していたがための指名ということでは、山本騎手にしてみればまったくの幸運だった。

 山本騎手といえば2016年から3年連続で岩手のリーディング1位となっていて、そういうレベルの騎手は南関東での期間限定騎乗ということはよくあるが、冬期休催中とはいえ、岩手とはレベル的にそれほど変わらない佐賀で期間限定騎乗していたということでは、まさに千載一遇の幸運を引き当てたと言ってもいい。そしてそのチャンスを見事にモノにし、ダートグレード初勝利となった。

 ヒラボクラターシュは抜群のスタートを切ったが、枠順的にもテーオーエナジーが逃げたのは予想されたとおりで、やはり内枠のリーゼントロックが2番手で、ヒラボクラターシュは3番手。向正面中間からは4番手以下との差が徐々に広がり、この3頭の勝負となった。そして4コーナー手前ではテーオーエナジーの手応えがあやしくなり、一方でヒラボクラターシュの山本騎手はほとんど持ったままで先頭に立った。そのまま突き放すかにも思えたが、食い下がったリーゼントロックをクビ差で振り切った。

 勝ちタイムの2分5秒7は、2012年ピイラニハイウェイ、2013年ホッコータルマエの勝ちタイムと同じタイレコード。逃げたテーオーエナジーは、行きたがるのを岩田康誠騎手がなんとか抑えているように見えた。しかし前半1000m通過1分2秒1は、この日の湿った馬場(重馬場)を考えてもかなり速い。さすがに直線では脚が上がってしまった。

 前半ハイペースだったにもかかわらず、レースのラップは最後まであまり落ちることはなく、後半1000m=1分3秒6というタイムを演出したのが1、2着馬。前半のかなり厳しいペースを2、3番手で追いかけ、2コーナーあたりから長く脚を使って上り3Fが両馬とも37秒9は圧巻だった。3着以下の上りは39秒以上かかっており、それが前2頭と3着テーオーエナジーの8馬身という着差となった。重賞別定による斤量差があったとはいえ、中央5頭のうち重賞未勝利の2頭が他馬を圧倒したということでは驚かされた。この2頭には佐賀の馬場がよほど合っていたのかもしれない。

 期待のグレイトパールは、1、2着馬を前に見る位置を進み、最後はバテたテーオーエナジーに2馬身差まで迫って4着。前走圧勝だった地元の2000m戦(2分8秒2)よりタイムは詰めており、上り39秒2も、1、2着馬に次ぐ3番目ということでは悲観する内容ではない。今後また中央馬が相手となると、地方の佐賀でどこまで仕上げられるかだが、さらなる良化を期待したい。

 テーオーエナジーは期待にこたえられなかったものの、勝ったヒラボクラターシュは、やはり世代レベルが高いとされる4歳馬。かつてホッコータルマエは、レパードSで重賞初制覇を果たした翌年、それ以来の勝利となったこの佐賀記念から快進撃が始まった。ヒラボクラターシュにもレパードS2着があり、この勝利が飛躍のきっかけとなるかもしれない。今回の走りはその可能性を十分に感じさせるものだった。

 そしてあわやという場面をつくったのが、8歳のリーゼントロック。松岡正海騎手は東京競馬場で騎乗予定だった7鞍を捨ててまで、この馬に賭けたということでは、それなりの期待があったのだろう。レース直後は相当に悔しそうだった。

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  • 2/12 18:00
  • netkeiba.com

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