「シティーハンター」冴羽リョウが愛される理由。神谷明、リョウとの出会いは「事件にして奇跡」

無類の女好きにして伝説の始末屋(スイーパー)・冴羽リョウと、そのパートナー・槇村香の活躍を描く「シティーハンター」が、20年ぶりに復活。『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』(公開中)となって、スクリーンに登場した。映画化決定のニュースが報じられるとネット上にも歓喜の声が相次ぐなど、「シティーハンター」、そしてリョウがファンの心に生き続けていたことが証明されたが、リョウを演じている声優の神谷明にとっても「僕の集大成ともいうべき存在。ナンバーワンのキャラクターです。まさかもう一度会えるなんて…本当に感激しています」と彼は特別な存在だという。神谷が「リョウとの出会いは、事件にして奇跡」と力を込める理由。そして、時代を経ても愛されるリョウの魅力について、語ってもらった。

原作は、1985年に北条司が「週刊少年ジャンプ」にて連載を開始した漫画「シティーハンター」。87年にはテレビアニメの放送がスタートし、大ヒットシリーズとなった。20年ぶりの新作となる本作では、裏社会ナンバーワンの腕を持つ“シティーハンター”リョウと相棒の香のもとに、モデルの亜衣がボディーガードを依頼にやって来る。美女の依頼を快諾したリョウだが、やがて巨大な陰謀に巻き込まれていく。

■ 20年ぶりにリョウ役オファー!「うれしさと不安が襲ってきた」

99年放送のテレビスペシャル以来、久々にリョウを演じることとなった神谷。オファーを受けた率直な感想はどんなものだったろうか。「読売テレビの諏訪道彦プロデューサーとは、『シティーハンター』の後にも『YAWARA!』や『名探偵コナン』など、ずっとご一緒させていただいていて。諏訪プロデューサーが『シティーハンター』の新作についての企画書を作っているのは、お伺いしていたんです。『実現するといいな』と思っていたんですが、2年前に僕も70歳になりまして。『もう無理だろうなあ』と思っていたんです。そんな時に本作のお話をいただきまして。驚きとうれしさが同時にやってきました」と喜びをあふれさせたが、次には「大きな不安がやってきた」と打ち明ける。

「放送当時は、僕も40代で脂の乗り切った状態です。もちろん表現力は向上していると思いますが、テンポ、緩急など当時のように演じられるのか。ファンの皆さんの期待するリョウが演じられるのか、という不安が襲ってきたんです。返事をするまでに一週間かかりました」。しかしながら「うれしさが勝った」と笑顔を浮かべ、そこからは収録までの1年間、みっちりと鍛錬に励んだという。「役に入る準備として、テレビシリーズを観なおして。当時の自分がどのようにリョウに向き合っていたのか。もちろん感覚は残っているんですが、それを客観的に見て、もう一度イメージを固めようと考えました。滑舌や発声の練習も注意深く行って収録に臨み、いま持っている力をすべて注ぎました」と並々ならぬプロ意識を見せる。

神谷だけでなく、香役の伊倉一恵、冴子役の一龍斎春水、海坊主役の玄田哲章、美樹役の小山茉美ら、テレビアニメ放送当時のオリジナルの声優陣が顔を揃えたが、神谷の不安をもっとも吹き飛ばしてくれたのが、彼らの存在だ。「収録初日、現場に行ってみんなの声を聞いたら、あっという間に時間が20年前に戻りました。僕から見た伊倉さんはまさに香そのもの。実際、2人でマイクの前に立って第一声を発したら、ちゃんと“リョウと香”になる」。

■ キャリアの集大成「リョウとの出会いは、事件にして奇跡」

「キン肉マン」のキン肉スグル、「北斗の拳」のケンシロウなど、数々のヒーロー役を射止めてきた神谷だが、リョウは「僕の集大成ともいうべき存在。リョウとの出会いは事件にして、奇跡のようなもの」と力を込める。リョウはギャグとシリアスの両面がコロコロと表れるようなキャラクターだ。それだけに「僕は本当に幸運な人間だと思うけれど、最大の幸運は40代というタイミングでリョウに出会えたことなんです。もしこれより早いタイミングだったら、表面的なものは取り繕うことはできても、納得がいく芝居はできなかったと思います」と告白。「あの時期、あの年齢でなけば演じられなかった。すべての歯車がいい具合に噛み合って、出会えたキャラクターです」。

先輩たちから学んだことすべてが、リョウに注がれているという。「僕はもともと舞台役者になりたくて、劇団テアトル・エコーに入りました。そこには山田康雄さん、納谷悟朗さん、熊倉一雄さんもいらして、皆さんのバリバリのお芝居を間近で見させていただきました。そのすべてが、リョウの演技につながっています。山田さんは、普段もルパンのように粋でかっこよくてね。再放送を観ていたら、リョウが『~だは!』と語尾が上がるように話している時があって(笑)。『うわ、山田さんが帰ってきている』と感じました。先輩が自分のなかに戻ってきてくれて、出来上がっているのがリョウ」としみじみと語る。

■ 世代を超えて愛されるリョウの魅力を分析「いつもは“もっこり”なんて言っているけれど…」

「映画化に対する、ファンの方の反応がすごくて。僕のツイッターにも、たくさん質問がくるんです(笑)。音楽についての質問も多いですね。『この曲は使われているんですか?』って」と、公開を心待ちにしているファンの存在を身近に感じているという神谷。

「完成作は皆さんのご期待に添えるような選曲になっていますし、シナリオを初めて読ませていただいた時点で、脚本の加藤陽一さんは『シティーハンター』の大ファンだということがわかりました。好きな人でなければ、書けないようなストーリー展開」と太鼓判を押す。劇中で香が「時代の空気を読まんかい!」と絶叫するように、リョウの“もっこり”も健在で「ぜひフィクションの出来事として、楽しんでほしいですね。『いまの時代に大丈夫なのか?』と言われても、やっぱり冴子にしたって、彼女が職務に忠実だったら、みんな困っちゃうでしょ!?」とファンの喜ぶ内容が満載だという。

映画化が叶ったことで、また新たなファンも出現することだろう。時代を経てもなお、リョウが愛される理由について、神谷はこう分析する。「いつもは“もっこり”なんて言っているけれど、リョウには依頼人を安心させるような雰囲気があります。演じる側としても、リョウの背中にそういったものも感じさせないといけない。そして強くて、優しい。結果的に、依頼人がリョウに好意を寄せるようになったとしても、リョウは『こっちの世界に入ってきちゃダメだよ』と自分の世界には入らせないんですよね。結局、そばに置いているのは香だけですから。あんなに依頼人にデレデレしていたのにね(笑)!そういうところが、かっこいいですよね」とギャップと強さ、優しさを持ち合わせたリョウの魅力を愛情たっぷりに語る。

■ もしまたリョウを演じられたら「泣いちゃいます!」走り続ける原動力は?

神谷は現在72歳となり、まもなく役者業50周年を迎える。「もし50周年の際にリョウを再び演じることができたら?もしそんなステキなことがあったら、泣いちゃいますね」とリョウへの想いを吐露。「誰も知らないリョウが、まだたくさんいると思う。彼を作り上げたものがなんなのか、『エピソード0』があったっていいですよね。そうやってわからないところがあるのも、リョウの魅力。北条先生に描いてもらいたし、僕も演じてみたいです」と意欲も旺盛だが、神谷にとっての原動力の源とはなんだろうか。

「たくさんの方に支えられてきたことですね。こんなに恵まれた人間はいない」と話し、「本当にテアトル・エコーに入ってよかったなと思っています。テアトル・エコーには、ルパン三世(山田康雄)がいて、銭形のとっつぁん(納谷悟朗)がいて、海賊トラヒゲ(熊倉一雄)がいて、ひみつのアッコちゃん(太田淑子)、サリーちゃん(平井道子)までいましたから!そこに行かなかったら、声優というお仕事にも出会わなかった。先輩が敷いたレールに乗らせていただき、ここまで来ることができました。人、時代、作品。この3つのどれかがズレていたら、いまの僕はいない」と感謝しきり。

さらに「キン肉マン、ケンシロウ、リョウと『週刊少年ジャンプ』の3作品をやり終えた時には、ファンの方にご恩返しができたと思いました。皆さんの応援してくださる力がなかったら、進んでは来れませんでした」とファンの存在が励みになるといい、「僕がいまでも現役で頑張っているから、同世代やジャンプを読んで育ってきた方たちにも『みんな、頑張ろう!』と声をかけたいです。もし僕がその灯台のようになれたら、こんなにうれしいことはないです」とエールも。数々の出会いを糧に、神谷明はまだまだ走り続ける。(Movie Walker・取材・文/成田 おり枝)

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  • 2/10 16:15
  • MovieWalker

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この記事のみんなのコメント

11
  • ミヤネ屋に神谷さん出ていたけど、リョウ、ケンシロウ、スグルと連続で演ってくれて尚且つ全て当時のままなのが凄いと思った。 別記事でルパンみたいに年1のテレビスペシャル枠でシティーハンターやりたいと神谷さんが言ってたけど、キャスト的には全然出来るわ。

  • トリトン

    2/12 10:03

    マジンガーZインフィニティも良い例ですね声優変えられ少し残念曲も変わってましたまあ妥協できる範囲でしたが。そんなに良いならブルーレイで買ってみようかな。

  • 剣飛竜

    2/12 9:09

    声優がそのままなのがいいよね、星矢がいい教訓になっとるな。

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