【ライターコラムfrom仙台】帰ってきたハモン・ロペス 愛をくれた街のため、勝利とゴールを

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 ハモン・ロペスにとって、仙台という街は特別な場所である。

 ブラジルのベロオリゾンテ出身。名門フルミネンセやクルゼイロのユースで育ったが、プロフットボーラーとしてプレーした時間は、彼にとっての外国の方が長い。ウクライナのヴォリン・ルーツィクで実に6シーズン(2013年は一時期ブルガリアのレフスキ・ソフィアに移籍)に渡りプレー。そして2014年夏に、未知の国である日本へやってきた。得点力が課題のひとつだったベガルタ仙台から、声がかかった格好だ。

「憧れの選手はアリエン・ロッベン」と、同じ左利きのMFを挙げるように、来日当初の彼はチャンスメーカータイプ。右サイドから切れ込んで、左足のスルーパスで好機を演出するプレーをウクライナでは得意としていた。

 しかし初挑戦のJリーグは彼にとってなかなか厳しいもので、思うようにプレー機会をつかめなかった。そこで、当時から指揮を執る渡邉晋監督は、同年秋にハモン・ロペスをFWにコンバート。恵まれた上背と強靱な体を生かし、前線でボールにからむことを求めた。ハモン・ロペス自身も、当時の仙台に在籍していたブラジル人FWウイルソンらを手本として、Jリーグの試合映像も見て研究した。

 それから4年が経つ。今では、ハモン・ロペスはJリーグでFWとして戦い続ける存在になった。試合を重ねるごとに相手DFへの脅威が増し、2016年には自身初となるハットトリックを達成するなどしてJ1リーグ戦10得点を達成。その力は他クラブの目にも止まり、翌年から柏レイソルでプレーすることになった。

 そのハモン・ロペスが、今年の夏に仙台へ帰ってきた。相手の選手ではなく、再び、仙台の選手として。柏時代には新たな戦術への適応などで苦しんだ時期もあったが「それもまた、自分にとっては大事な時間。これからのプレーでさらにいい時間を作っていきたい」と、前を向いてこの「日本で初めてプレーした、大切な場所」という仙台での活躍を誓う。

 初めてJリーグでプレーし、初めてFWとしてプレーし、そしてフィニッシュもこなす役へと成長した場所。母国ブラジルでもあまり行かなかったというスターバックスに通い始めたのも、この仙台に来たことがきっかけだという。

 その街、仙台のサポーターはハモン・ロペスの左足の強烈なシュートや、かつては「あまりゴールを決めていなかった」というヘディングによるゴールに、何度も拍手を送ってくれた。だからこそ、ハモン・ロペスは再び仙台でプレーするようになってから初めてのゴールを取りたいと、強く願う。前節・北海道コンサドーレ札幌戦では、以前仙台に所属していた時には確実に決めていたPKを止められたことを悔やんだ。だが「あの後も拍手を続けてくれたサポーターの声援に応えたい」と、前を向いて次の決定機を待つ。

 チームはリーグ戦で5試合勝ちがない苦しい状況で、次節のサンフレッチェ広島戦を迎える。「やっていることを一生懸命続けていれば、きっと結果はついてきます」。豪快なプレーとは対照的に普段はおとなしいハモン・ロペスだが、この言葉には力を込め、次節のゴールと勝利を目指す。

取材・文=板垣晴朗

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  • サッカーキング

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