「西郷どん」21話。愛加那(二階堂ふみ)と大久保一蔵(瑛太)が西郷を取り合う

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大河ドラマ「西郷どん」(原作:林真理子 脚本:中園ミホ/毎週日曜 NHK 総合テレビ午後8時 BSプレミアム 午後6時) 
第21回「別れの唄」6月3日(日)放送  演出:野田雄介

「2018年NHK大河ドラマ「西郷どん」続・完全読本」

菊次郎


奄美大島に来て2年、吉之助(鈴木亮平)に子ども(男の子)が誕生する感動の場面から21話ははじまる。
オープニング明け、子ども誕生から7日目の朝「イジャシハジメ」という祝いの儀式が描かれる。
子どもに吉之助が「菊太郎」と名付けると、佐民(柄本明)は「菊次郎」とつけろという。いずれ薩摩に戻ったとき妻を迎えてまた子どもができたら、その子に「太郎」をつけないといけないからという。そのとき、愛加那(二階堂ふみ)は薩摩には行くことができない。
家を大事にすると本家とか長男とかが大事になるからこういうことになってしまう。なんともやりきれない話である。

それにしても、吉之助は島では菊池と名乗っているのに菊池菊太郎(次郎)って・・・。

その頃、薩摩では


21話は名前にまつわるエピソードがふたつ。大久保正助(瑛太)も異例の出世をして国父の久光(青木崇高)の命名で一蔵に改名した。
改名した大久保は久光の元で活躍しはじめる。
一緒に活躍する小松帯刀役は劇団EXILE の町田啓太。

奄美大島で吉之助と再会し名前が変わったと報告すると、一蔵とは「きらっきらしくないおって」と盛り上がる。

大久保in奄美大島


見た目も名前も「きらっきらしく」なった大久保と、吉之助から紹介された愛加那は黙って会釈し合う。静かな火花が散ったようにも見える場面。
大久保は、吉之助を迎えに来たのだ。だが、この島に残ると断る吉之助。
「薩摩といえば西郷じゃ」と説得する大久保に、この島で「生きる力」「人の愛」を教えてもらったと話す吉之助の顔は、薩摩や江戸にいたときより顔の輪郭がしっかりして来ているように思う。逸るばかりで何もできなかった頃より豊かな顔になっている。島の力、愛加那の力、父になったことなど多くの経験が彼を変えているのだろう。

それでも大久保は諦めず、愛加那に「吉之助さんを返してたもんせ」と頭を下げると一端、薩摩に戻る。
吉之助が動かないなら、まわりから攻める作戦。さすが策士。
大久保は愛加那に刀(島津斉彬に渡されたもの)を預け、彼女はそれを吉之助に渡す。
なにごともないように立ち上がって歩いていく吉之助だが、スローモーションカメラになって、愛加那と吉之助の別れのときが近づいていることを愛加那が感じたように見える。

さらば、奄美大島、愛加那


吉之助が島に来て3年、愛加那には第二子を身ごもった。
吉之助は島に残りたいと手紙を書いたり、愛加那に花かんむりをあげたり、唄を歌ってくれと優しく接するが、愛加那は手紙を破って「薩摩に帰りなさい」と言うと、家を出て行ってしまう。

佐民のところに行ったらしく、佐民から愛加那がつわりで苦しんでいると聞かされ驚く吉之助だったが、「果たすつとめがある」「あなたのいるべきところはここではない」と言われ心揺らす。
海に行くと愛加那がいて海のなかにじゃぶじゃぶ入っていく。お腹の子どもに触らないのだろうか。
膝上まで海に浸かりながら「必ず戻ってくる」と言う吉之助。
悲しい顔で、あなたの未来に幸がありますようにと祈りの歌を歌う愛加那。
パチパチと吉之助の背中を叩いて節をとるような、彼をあやすような、いつしか吉之助も共に歌う。

旅立ちの日、髪の毛を整えてもらってぱりっと白い着物を着て刀を差して舟に乗る。
「いとしい人よ行ってしまうのですか」「お役目が終わったら戻ってきてください」と見送りの唄を島の女も子どももが合唱。

こうして残された愛加那は子どもを背負いながら農作業に励む。そのときも歌っている。
ナレーション(西田敏行)が「愛加那 チェスト 気張れ」と言う。ほんとうに、愛加那、チェスト!

西郷はその後、糸(黒木華)と再再婚するかと思うと胸が痛い。実際、こういうことがあったのだから、ひどい話である。

ご参考までに


さて、本編はここで終わりだが、NHKでは「先人たちの底力 知恵泉」の6月5日(火)放送回で「幕末動乱の処世術 島津久光 自分の器を自覚せよ!」をやっていた。その前の週は島津斉彬回だった。
「西郷どん」では庶民の生活や心情のほうが細やかに描かれ、えらい人たちの活動はあまり細かく描かれないので、「先人たちの底力」がいい参考番組になる。
島津斉彬(渡辺謙)亡き後、保守派と急進派に別れ揉めた島津藩を、久光がうまく落とし所を提示してひとつにまとめたという。挙藩反体制を実現。異なる意見の者を排除するのではなく取り込む。分裂でなく一丸となって島津藩のために働く気持ちにさせた久光は、凡才と言われながらも、明治維新にもたらしたものは大きく、斉彬はそんな彼のことを評価していたと語られた。
和歌の勉強も熱心で、博聞強記だったそう。
久光を理解する手立てになる番組なので、おすすめ。
久光の肖像を見ると、青木崇高が口元を少し歪めているのはこの肖像に寄せているのかなあと思ったりもして。
6月12日に再放送がある。
(木俣冬)

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