マニュキュアNG、家族は同じ色の服!マレー系ウェディングに参加してわかった日本との違い


海外で暮らしていると、日本と異なる部分をたくさん見つける。結婚式の仕方もそのひとつ。多民族国家マレーシアは、中華系、マレー系、インド系でウェディングも民族により風習が異なっている。今回はイスラム法に基づくユニークな儀式を大切にするマレー系(イスラム教式)の結婚式に参加してみた。


イスラム法に基づいて行われる結婚の儀式


マレー系結婚式の中で一番重要なのが、披露宴の前に行われる、イスラム法でニッカ(Nikah)と呼ばれている婚姻の儀式だ。ニッカは通常、披露宴の前にモスク、もしくは新郎新婦のどちらかの自宅で行われる。自宅で行われる場合、居間にはおしゃれなカウチソファーが置かれたり、華やかに花が飾られたりと特別に装飾される。

まず、新郎はハドラやコンパンと呼ばれる音楽隊を引き連れて、新婦を家まで迎えに行く。新婦の家に到着すると、新郎は新婦の家族にお金を払う。金額は新婦の家族のリクエストによる時もあれば、新郎側に任せる場合もある。

次に新婦を連れて新郎の実家に行く。そこでは誓いの儀式が執り行われる。儀式では新郎が新婦の父の手を握り、結納金をいくら収めるかといった決まりごとを宣誓したり、コーランに手を置いて誓いの言葉を読みあげたりする。今回は筆者が参加した結婚式は、新婦の父が参加できない事情があったため、モスクなどでイスラム教を教えるウスタズ(ustaz)と呼ばれる宗教教師が代理を務めた。

これらが済むと、最後に新郎新婦が互いに贈り物の交換をして儀式は終了する。一般的にはそれぞれ7点ずつ贈り物を用意するのだが、今回は簡素化したため5点の贈り物が新郎から新婦に送られた。


マニュキュアNG、家族はみんな同じ色の服


日本のようにマレー系結婚式もいろいろと服装に決まりがある。まず女性はマニキュアを塗れない。これは結婚式に限らず、マニキュアにはアルコール成分が含まれているから。加えてマニキュアの皮膜は水を通さないので、祈りの前の手顔足の洗浄が完全なものでなくなるから、という理由もある。

マニキュアはできないが、その代わりに新婦の爪(というより第一関節から先の指ごと)はヘナで染める。ヘナは葉から作られる染料で、髪や皮膚を染めるものとしてもおなじみ。それをムスリムはマニキュアのように使う。結婚式の際も、新婦の指はきれいに赤く染まっていた。

さらにヘナには、「魔除けの力」「幸運を呼ぶ力」があると信じられているため、結婚式では特に好まれる。今回の新婦は指先だけだったが、手足の爪や手のひらにヘナをする人もいる。

服装にも決まりがある。マレー系のウェディングは、まず両家のテーマカラーを決めるのが一般的だ。筆者が参加した時のテーマカラーは、サーモンピンクと淡い紫。そのため会場の飾りやテーブルウエアはサーモンピンクで、両家の衣装は淡い紫で統一されていた。

一方で参加者は、このテーマカラーに縛られず自由な色を着ることができる。カジュアルな民族衣装を日常的に着るマレー系マレーシア人の間では、結婚式の場合は正装の民族衣装がわりと好まれる。正装というのは、女性ならバジュクバヤ(上下別のタイトなスカートスーツ)にバジュクロン(ロングスカートにゆったりした腰くらいまである長袖の上着を合わせたもの)、男性ならバジュマラユにサンピン(腰に巻く前掛け)だ。

ただし「好まれる」というだけで、マレーシアは日本のように厳格な服装の決まりがあるわけではないため、普段着のようなジーンズにTシャツの男性、ワンピース姿の女性もいる。ミニスカートやノースリーブなど、露出の激しいものでなければ何を着ても基本的には問題ない。


披露宴にはプログラムもスピーチもない


一般的にマレーシアでは、自宅で披露宴を行う場合が多い。その場合は新郎側が主催で一日、新婦側が主催でもう一日と、合計2日間に渡って披露宴を行うのが慣例だ。家の外にテントを出して食事はビュッフェ形式。参列者は来たいときに来て、帰りたいときに帰る。

今回は、新郎側主催のホテルでの披露宴に参加した。ホテルの場合は、開始時間が招待状に書いてあるが、マレーシアでは1時間ほど遅れて始まる。ある程度参列者が集まると、新郎新婦の入場、民族衣装で正装した家族・親族が続くので、この入場時が最も盛り上がる。

新郎新婦たちが入場すると、誓いのセレモニーが行われ、次にマレー語で「レンジス」と呼ばれる繁栄や浄化を意味する儀式が行われる。新郎新婦が水をすくうような形で手を合わせて、VIPゲストがパンダンの葉と香水を新郎新婦の手のひらにふりかけ二人を祝福する(VIPゲストは新郎新婦の両親の知り合いから選ばれる)。セレモニー自体はあっという間に終わり、その後は記念撮影や食事、歓談する。お酒がない点を除けば、ほとんど日本の披露宴と変わらない。

今回の披露宴では、司会者が余興を兼ねていて、マイクを持って各テーブルをまわり芸能人のディナーショーのようにお客さんを盛りあげていた。聞いてみると司会者は元歌手だという。他の披露宴でも司会者が突然歌い始めたことがあり、マレーシアでは案外このパターンに遭遇する。

さて、披露宴も終盤に近づきおなかいっぱいになったら、招待客は各自自由にお開き。決まったプログラムもなければ、日本ではお決まりのスピーチも、花束贈呈も引き出物もない。

ただし、帰り際にはご祝儀を渡す。金額は新郎新婦との関係の深さにもよるが、20~100リンギット(約600~3000円)と幅が広い。イスラム教のシンボルカラーである緑色のポチ袋にお金を入れて、主催側の家族に渡すのが慣例だ。渡し方は握手するふりをして、さり気なくポチ袋を相手の手に握らせる。慣れていない筆者は、賄賂をこっそり渡すようで緊張しドキドキした。イスラム教では異性の接触が好ましくないこともあり、女性の招待客は女親に、男性の招待客は男親に渡すことになっている。


心が広く家族思いのマレーシア人


兄弟、親戚の多いマレーシア人は、とても家族思いだ。マレーシアでは、ちょっとした休みが取れると週末は実家に帰る人は多い。中華系マレーシア人の結婚式と同様に、マレー系の結婚式も親戚の友人、近所の人など新郎新婦とそれほど親密でない人たちも披露宴に参加する。列席者の数も400人から600人が当たり前。大規模だと1000人を超える。

イスラム法に基づく厳かな雰囲気で始まる儀式から、オープンで大人数が集まる披露宴まで、結婚式にはマレーシア文化の良さが凝縮されている。
(さっきー)

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