『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』岡秀樹さんインタビュー!特撮と『ヤマト』がクロスオーバーする!?

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2017年10月14日よりついに劇場上映される『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第三章「純愛篇」。


http://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1507785245 (【『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』岡秀樹さんインタビュー!特撮と『ヤマト』がクロスオーバーする!?】の写真付き記事はこちら)
スタッフ、キャストともに日本最高のメンバーが勢揃いした本作ですが、脚本に『ウルトラマン』シリーズなどを手がけている岡秀樹さんが名を連ねているのはご存知ですか?

ご自身も生粋の『ヤマト』ファンということで、参加した想いもひとしおな様子。今回、その想いをインタビューを通してお伺いしました。

『ヤマト』の出会いから、ご自身の世界観まで、コミカルな中にも真剣な表情で様々なトピックスを話していただきました。『ヤマト』ファンはもちろんのこと、特撮ファンも必見の内容です!

突然に開かれた『ヤマト』への道筋
──最初にまず、これまで『ウルトラマン』シリーズなど、主に実写作品で活躍されていた岡さんが『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』(以下、『2202』)に参加されることとなった経緯をお聞きかせください。

岡:参加のきっかけは羽原(信義)監督からの一通のメールでした。

文面はごくシンプルなものです。XEBECで『宇宙戦艦ヤマト2199』(以下、『2199』)の続編を制作することになりました、白色彗星編のリメイクです、といった概要に続いて「企画書を書いてください」と(笑)。


──そんなストレートなお誘いだったんですね。

岡:はい。ただ、そのメールを送った時点では羽原監督も福井晴敏さんが参加されることをご存じなかったそうで、実際は福井さんもすでにスタンバイされていたんです。「運命的な過ち」といいますか(笑)とにかく僕はそんなオファーをインドネシアで仕事をしているときに受けました。


──ということは、まだ『ガルーダの戦士ビマ』(以下、『ビマ』)シリーズ(※1)の最中だったんですか?

岡:そうです。ちょうど全てを撮り終わってCGの発注も済ませ、あとはその完成を待つだけ。残り1ヶ月、スケジュールにぽっかり穴が開いた矢先の出来事で、いま考えても絶妙のタイミングでした。神様、どっかで見てた?……って感じの話です(笑)。

今までの人生の中で何度か“変なこと”というのが起きていて、以前『ウルトラマン』の監督を任されたときもそうですけど、想像の埒外からパンチが飛んでくるような感覚ですよね。特に今回はものがアニメ作品なだけに「本当に俺に出したメールなのかこれは?」とすら思ったほどで(笑)。

もちろん、僕が『ヤマト』を非常に好きだということを、これまでのお付き合いで羽原監督はよくご存知でした。

『宇宙戦艦ヤマト 復活篇 ディレクターズカット版』を、そのアニメーションディレクターである羽原さんと一緒に観て、生コメンタリーをたった一人で楽しませていただいたこともあります。いいでしょ? 非常に恵まれた友達付き合いをさせてもらってました。

一同:(笑)。

岡:でも、「とは言え」ですよ。なんで実写畑の人間にアニメの仕事を振るんだと。

戸惑いも感じましたけど、それでも「何かのお役に立てるなら」と思い、企画書やストーリーの構成を自由に楽しくやらせてもらって日本へ送ったんです。

※1:『ガルーダの戦士ビマ』
インドネシアのMNCメディアと石森プロとの提携によって制作された特撮テレビドラマ。撮影はジャカルタで行われ、インドネシアならではの文化が反映された作品となっている。第1作は全26話が放送され、さらに続編となる『ガルーダの戦士ビマX』は全50話が放送された。『ビマX』は脚本に日本の特撮作品でもおなじみの三条陸、香村純子、石橋大助らも参加している。

──そもそも、これまでは監督としてのキャリアが主でしたけど、脚本は『ビマ』が初ということになるんでしょうか?

岡:クレジットされているものとしてはそうですね。ただ監督という立場は、脚本を形にする過程で内容に深く関わることが多々あります。『ビマ』以前から脚本の手習いのようなことは色々とやってはいたんです。


──では、ちょうどその経験が活かされた形に?

岡:いやー、そこで訓練したことも多少の経験値になっているとは思います。思いますが、「でも、福井晴敏」ですよ(笑)。

日本に戻ってみると福井晴敏さんがおられ、その助手をやってほしいと各方面に要請される場があったんですけど、「なんで俺に福井晴敏さんの助手が務まるとあなた方は思ってるんですか?」とこっちは思うわけですよ。ねえ? 当たり前じゃないですか。

なので、さすがにその場ですぐに首を縦には振れなかったですね。

それから福井さん、羽原さんも交えて、「せっかくだから飲みに行きましょう」ということになりまして4~5時間ぐらいあれやこれやの話をしました。

その中で「この人になら、何かの形でお役に立てるかもしれないな」という思いを福井さんに対して持つことができたので、ようやく参加の意志が固まったという流れです。

大きな影響をもたらした『ヤマト』との出会い
──ちなみに、『宇宙戦艦ヤマト』(以下、『ヤマト』)の原体験的なこともうかがっておきたいのですが、世代的には1974年の初放送をリアルタイムで体験されていたのでしょうか?

岡:体験はしてます。ただあれを「見た」と言って良いのかどうか……。正直に言うと、迷いに迷った結果、同じ時間にやっていた『猿の軍団』(※2)のほうを選んでしまった!

『ヤマト』もオープニングだけは必ず見ていたんですよ。そっちがほんの少しだけ始まるのが早かった。1分30秒くらい。『ヤマト』の主題歌を聴いたあとに急いでチャンネルを変えても、まだ♪ダッダダダ、ダッダ~って『猿の軍団』の歌の途中に間に合ってたんですよ(笑)。

で、CMの間も『猿』と『ヤマト』を行ったり来たりしてました。とにかく両方見たかったんですよ。まあ結果的には『猿』9割、『ヤマト』1割でしたねえ。

※2:『猿の軍団』
1974年に放送された、円谷プロ製作のSFドラマ。全26話。正式なタイトルは『SFドラマ 猿の軍団』。映画『猿の惑星』の大ヒットによって企画された作品ではあるが、小松左京、豊田有恒、田中光二の3名を原作者として招聘し、科学考証にも力を入れて作られた本格的なSF作品でもある。しかし、同じ時間に『宇宙戦艦ヤマト』と『アルプスの少女ハイジ』が放送されており、視聴率的には苦戦する結果となった。


──ある意味、後にウルトラマンシリーズに関わる岡さんらしいチョイスとも言えますが(笑)。

岡:まぁ『猿の軍団』のほうが再放送の機会には恵まれませんでしたから、それはそれで正解だったのかも。

で、僕はばあちゃんの部屋にあった小さいテレビでそんな見方をしてたんですけど、リビングの大きいテレビでは両親がそろって『ヤマト』を見てたんです。

当時うちの両親は30代半ばです。そんな大人がハマって見ている『ヤマト』とは一体どんな作品だったんだ? と放送が終わってからもずっと気になっていました。なので、しばらくして再放送が始まった時は本当に嬉しかったですねえ。

──当時はどちらかといえば、再放送で盛り上がるコンテンツも多かったですよね。

岡:ぼくのクラスでは、本放送で『ヤマト』を視聴してたのはごく一部。勉強のできるやつ、ちょっと独特なセンスを持ってたやつががわずかに見ていたくらいです。

小学3年生世代だと「高級品」「俺たちにはまだ早い」という印象も少しあったかな。でも再放送を重ねるたび、クラスの話題の中心がどんどんヤマトになって行きましたね。


──その後、『ヤマト』は劇場版の公開など大きなムーブメントとなっていくわけですけど、『2202』のベースでもある『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』(以下、『さらば』)はどのようにご覧になられましたか?

岡:『さらば』は中学1年生の夏でした。そのころはもう『スター・ウォーズ』も日本公開されており、「SF映画が好きだ!」という意識や「将来、絶対映画監督になる!」という熱病に冒されてまして(笑)。まあそんな状態で『さらば』を観に行ったわけです。

ただ封切り日に観ることができなかったんですね。白色彗星のベールが剥がされ都市帝国が出現するまでのストーリーはアニメ誌に公開されていましたし、先に見たやつらが「ヤマト特攻するんだぜ」なんて噂をしていたのを聞かされてもいた。

だから途中までは事前に得ていた情報をなぞるような感覚で冷静に観ていました。

ところが最後の最後でヤマトが古代と雪だけを乗せて超弩級巨大戦艦に向かっていくところで、テレビ版主題歌が重々しい男性コーラスで詠唱されるじゃないですか。

あれを聴いた瞬間、一気に血が沸騰しました。さらば地球よ、旅立つ船は、宇宙戦艦ヤマト……。

「あの歌の本当の意味はこれだったのか!」と。

そこからあとは、もうとめどなく涙を流しながらラストまで観てましたね。惜別の念とともに、まさしく“滂沱(ぼうだ)”というやつでした。

──そこまで思い入れが深いと、劇場版とは結末の違う『宇宙戦艦ヤマト2』(以下、『2』)にはもしかすると複雑な思いもあったのでは?

岡:『ヤマト2』……『2』?……「なんじゃあこらあ!!」って感じ(笑)。

でも、そんなことを思いつつも、その頃していた塾通いをどうにかサボって見れないものかと画策してみたり。まあ実際『ヤマト2』を見るために熟はやめちゃいましたね。むちゃくちゃですね。でも「見ないことには始まらない」って感じでした。

中学生だった自分の目にも「なんだか今回は絵が荒れているなぁ」とか「これ水増しじゃないの?」と思える回もありましたけど、逆に『2』にしかないワクワクさせられるシチュエーションも多々あって、結果的には『ヤマト』全体に対する思い入れを深くすることになりました。


──人物の深掘りなども、『さらば』だけではできなかったところもあったかと思います。

岡:そう、まさに! ズォーダー大帝のことを好きなファンの方は多いと思うんですけど、あなたの心の中のズォーダーって『2』と『さらば』が混じり合ってませんか?

……いや、俺自身がそうなんだけど、大帝が今も愛されてる秘密はそこなんじゃねーかと思ってます。


──『さらば』だけで見ちゃうと、ズォーダーって純然たる悪役というか、ほとんど高笑いしてるだけのイメージもありますよね?

岡:そうなんですよ。彼の人気の半分ぐらいは「武人に対する情を知る男」というニュアンスがあってこそだと思うんですが、そのキャラクターは明らかに『2』で紡がれていったものですよね。

もちろん「命ある者は血の一滴まで私のものだ」という彼の論理にもシビれましたけどね。

あんなこと言われたら「あぁ、俺も搾り取ってほしい」と思うしかないでしょ。

一同:(笑)。

岡:それだけに、最終回での「ひぃやああぁあ~~~!」って情けない悲鳴はどうしたことかと。あのズォーダーの最期にはいまだに納得していない人は多いんじゃないかと思いますし、僕も“残念”の二文字が頭をかすめましたね。


──まぁ、あの結末はともかくとして、忘れがたいセリフも多かったですね。

岡:ズォーダーに限らずなんですけど「血の一滴まで私のものだ」とか「あなたの胸に、心に、魂の中に」といった、まるで肉体を錐で突き刺すかのようなフレーズが作品のあちこちにあって、それが『ヤマト』を忘れられないものたらしめている一因なのかなと思います。

SFの衣をまとっているのに『ヤマト』って全然クールじゃなくて、肩に力が入った物語を照れることなく見せてくれていましたよね。だから魅かれ続けたんでしょうね。

──その後、作り手側へと回られても『ヤマト』の影響はありましたか?

岡:そりゃあもう、もちろん影響はあります。

たとえば敵の描き方にしても、やはり敵というのは圧倒的であってほしいんですよ。

少し話は逸れますが、白色彗星帝国と、『グレートマジンガー』の闇の帝王と7つの軍団(※3)、そして『タイガーマスク』の虎の穴(※4)。これが僕にとっての「世界3大・絶対勝てない悪の組織」なんですね(笑)。

主人公単体に対して圧倒的物量で攻めてくるうえに、侵略する側にも確固たる論理があって、そこでも圧倒的なんですよ。
なので『ウルトラマン』シリーズの監督を任されたときも、どこかそういった敵の影を追った感じはあります。

※3:闇の帝王と7つの軍団
永井豪原作のロボットアニメ『グレートマジンガー』、およびその劇場版作品に登場する悪の軍団。その頂点である闇の帝王と、本拠地であるミケーネ帝国は『グレートマジンガー』の最終話においても無傷のままという異例の結末を迎えており、悪の組織としてはトップクラスの強敵であることに間違いないだろう。ちなみに小説『スーパーロボット大戦』では、人類は闇の帝王に支配されている衝撃的な後日譚が描かれている。

※4:虎の穴
『タイガーマスク』に登場する悪役レスラーの養成機関。スイス・アルプス山中に本拠地が置かれ、翼の生えた巨大な虎の像がその象徴。世界中から集められた屈強な男たちを、さらに鍛え上げるために10年にわたる地獄の特訓が行われ、生き残った者は世界各地のプロレスで悪役ファイターとして残虐非道の限りを尽くすことを強いられる。裏切り者にはリング上での死の制裁や、事故に見せかけた暗殺が待っており、タイガーマスクは組織への上納金を、自身が育った孤児院「ちびっこハウス」の負った借金返済に使ったために追われる立場となる。


──たしかに、それを聞くと『ウルトラマンサーガ』での敵の描かれ方などに納得するところはあります。

岡:当時はぼかした言い方しかしてませんけど、あの映画でのバット星人(※5)のセリフや高笑いは、僕の中では完全にズォーダー(笑)。

ズォーダーのような、「抵抗する意志すら無くなるほどの強大な障壁」として立ち塞がってほしいという想いで撮ってました。

僕らの世代では、やはり『ヤマト』の影響からは逃れられないところがあって、『ウルトラマン』シリーズで長く監督をされているアベユーイチさんとは『2199』をずっと一緒に観に行ってました。

そのアベ監督が撮られたものを拝見しても、直接そうだと聞いたわけではないんですけど、間違いなく『ヤマト』がお好きなんだろうなとバレバレなカットがいっぱいありますね(笑)。『ヤマト』の刷り込み恐るべしです。

※5:バット星人
ウルトラマンシリーズに登場する侵略者。初出は『帰ってきたウルトラマン』最終話で、ゼットン(二代目)を伴って登場。その初代は人質作戦の末にあっけなく新マンのウルトラクロスで串刺しにされて絶命するが、『ウルトラマンサーガ』に登場したのは特に能力値の高いエリートとされる個体であり、ハイパーゼットンとともにウルトラマンゼロ、ダイナ、コスモスを苦しめた。なお『サーガ』で声を演じたのは、元宮崎県知事でもある東国原英夫。

『2202』の“クルー”の一員として
──そういえば、その「白色彗星」という単語が『2202』の第三章で初めて登場しますね。無粋なツッコミだとは思うんですが、天文学の定義ではあれは彗星じゃないというような話もあるので、今回は「帝星ガトランティス」で統一されるのかなとも思っていたんですが。

岡:…いやいや。「白色彗星」という言葉の響きはやはり大切じゃないですか。みんなの耳にすごくなじんでるわけで。それを捨てたらみんな怒るでしょ?

あの緑色の肌の人たちは呼ばれ方がいっぱいあるんですよね。『さらば』当時の関連書籍でもっとも多かった呼び名が「白色彗星帝国ガトランティス」。

ただこれは映画の中では実際には使われていなくて、劇中では「白色彗星」「彗星帝国」「彗星帝国ガトランティス」「帝星ガトランティス」「都市帝国」という5種類の名称が使い分けられていました。

今回の「2202」では福井さんの発案で、「白色彗星」と「帝星ガトランティス」の二つに絞っています。終盤に新しいもう一つの呼び方が出てくるので3種類ですね。

「2202」では、地球とテレザートを結ぶ航路上に彗星とヤマトが対峙する形になっています。彗星への接近に伴ってその実態が徐々に判明していくわけで、「白色彗星」という言葉が3章で初めて聞こえてくるのにはそういう設定上の理由もあるのでしょう。


──なるほど。それではここで、脚本が形になっていく流れや、『2202』での岡さんの役割について具体的にお聞きかせください。

岡:まず福井さんが作られた構成メモという書類がありまして、それを熟読したうえで、1話30分の物語に落とし込むためのロングプロットを僕が起こします。

構成メモの時点では多分に“小説的”なところもありまして、各話ごとに切り分けられてはいますが、長さもまちまちなんです。

福井さん曰く「切り捨てられることを前提に、たくさん書いてある」とのことで、登場人物の心情とか、裏事情などを理解してもらうために、あえて多くの情報がこめられているわけです。

つまり「すべてを脚本にせよ」という性質のものじゃないんですが、それだけにどこを拾ってどこをスルーすべきかという取捨選択が難しい。勘どころを掴むまでは苦労しました(笑)

そうやって書かれたプロットを福井さんと羽原監督に見ていただいて、OKが出たら全体会議となります。

全体会議で出た色々な意見を受けて次は脚本化です。まずは僕が「ゼロ稿」と呼ばれるものを作ります。「初稿」は、あくまでも福井さんが書かれるものですから僕が書くのはそのたたき台に当たるものですね。

もちろん、その「ゼロ稿」も福井さんと羽原さんに様々な意見をいただいて何度か書き直すんですが、それでOKとなったものを再び全体会議にかけ各パートの意見をもらい、今度は福井さんが持って帰って徹底的に書き直します。

福井さんが書き上げてきたものが全体会議で承認されると、それがようやく「初稿」となります。必要とあれば、第二稿以降は福井さんが直接書いています。

その間に僕のほうは次のロングプロットに着手して、あとはひたすらその繰り返しですね。

──『2202』は、ベースとなった『さらば』や『2』へのオマージュ的な要素も多く、ファン的に「これが見たかった!」というような見せ場も非常に多いように感じられますが、それも様々な人の意見やアイデアが反映されているのでしょうか?

岡:福井さんが決めた大きな方針、「“名場面”と呼ばれるものは、極力そのまま再現する」ということが最初に掲げられているんですね。

だからこそ、やはりヤマトは海を割って発進しなければならないし、そこに至る道筋として乗組員は反乱同然の状況に追い込まれなければならない。

そういった方針が前提にあるので、おのずとオマージュ的な要素は多くなりますね。

オマージュといえば、僕もおそるおそる「あれ使っていいですかね~アステロイド・ベルト(※6)」って言ったことがありますね。「2199」で描かれなかった要素でいまさら感があったんですがその場にいたスタッフみんなが「おぉ、いいぞ、やれやれ!」「古い設定でも今なら今なりの見せ方ができる」と盛り上がってくれて。

その時のみなさんの反応が、「昔からあった技術の咄嗟の応用」「イズモ計画の置き土産」って設定につながってます。

ただ、脚本が全てということではなく、さらにアクションやビジュアル面でのアイデアが、小林(誠)副監督を中心とした方たちから出されて、それが絵コンテに反映されていくわけです。

その過程で、脚本にあった要素がいくつか整理されていくこともあります。
「2202」の脚本はもとから長めに書かれています。でも、それでいいんだとスタッフ間での申し合わせがありました。絵コンテを作る段階で各話の演出が取捨選択をするので、アイデアはなるべくたくさん入れておいてくれという意味です。

その上で、さらに新たなアイデアが出てくれば豪快に盛り込んでいく。そうやって完成した映像が皆さんがご覧になられているものなわけです。

そういう作り方ですので、これは以前に羽原監督もインタビューでおっしゃられていましたけど、『2202』は非常に多くの人と一緒に作っている感覚がとても強い作品です。大勢の人間の知恵を集めて、それを練り上げていっているのが『2202』の現場ですね。

※6:アステロイド・ベルト
『ヤマト』シリーズでは、テレビ版第1作の第9話『回転防禦!! アステロイド・ベルト!!』で見せた戦法において非常に重要な意味を持つ。戦闘の終盤で見せた、周囲に小惑星の欠片をリング状に配置したヤマトの姿は、多くのファンの記憶に残る名シーンのひとつ。


──なるほど。ビジュアルとしてファン的にグッとくる要素が多いのも、非常に納得できた気がします。

岡:たとえば第一章で言うと、「ガイゼンガン兵器群」と呼ばれる、いわゆる「大戦艦」ですね、あれがなぜか岩の中からググ~っと登場するわけですけど、あそこに費やしている尺ってけっこう長いじゃないですか。

普通の作劇だと「なんでここでそんなに時間使っちゃうんだ」と言われかねないくらい長い。でも過去の体験を振り返ると、あの見せ方こそ『ヤマト』なんですよ。物語の進行をいったん止めてでも、敵の「出現」を強調する。音楽をガンガン響かせて。

それをあえてやることで、『ヤマト』らしい世界観が久しぶりに見れた気もするんです。

それは小林副監督の強いこだわりによって成し遂げられたものだと思います。ここから先も、さらに物語が進むに連れて、ぼくらが思いもつかなかったような見せ場がどんどん投入されていくと思います。

僕は脚本製作の一翼を担う役割を与えられていますけど、感覚としては大勢の人間で形にしていく『2202』という物語の乗組員のひとりです。大勢の中のひとりである…ということが……なんて言ったらいいのかな、本当に幸せだと思っています。

脚本作業ってのは、基本は孤独なんです。

でも、その先に大勢の人のアイデアとたいへんな苦労があって、血の通った作品となっていくわけですよね。エンドロールで流れて行く膨大な数の人の名を見ていると、最初の孤独な時間を知る者としては、非常に幸せなことに思えてなりません。

第三章は、エンドロール後まで必見!
──では最後になりますが、『2202』第三章の見どころをお聞かせください。

岡:劇場で観られる方に何よりも言っておきたいのは、「最後まで席を立つな」ってことですね! まぁ、熱心なお客さんばかりですから、そんなことは絶対無いとは思うのですが、エンドロール後までしっかり観てください。

僕自身、完成した映像を最後まで観た瞬間に「ヒャッホー!」って声出ちゃいましたからね。何が起きるか知ってるのに。

一同:(笑)。

岡:実はこのラストは福井さんのアイデアでして、僕が書いた段階では加藤真琴と息子の翼くんのエピソードで締めくくろうとしていたんです。でも福井さん「それもいいんだけど、最後に持ってくるならこっちでしょ」と。これには僕も「そうでした!」となりました。


──ところで『さらば』を観ているファンにとっては、加藤が深く描かれるのは嬉しい反面、いわゆる“死亡フラグ”にも思えて仕方ないのですが……?

岡:死亡フラグですか? やっぱそう見えます? さて、どうでしょう。ある時、福井さんがこんなことを言ったんですね。当時『さらば』を観ていた僕らは大人になったと。

家族を持った人もたくさんいるわけで、そういう人たちに響く何かがなければいけないんじゃないかと。

そういう「守らなければならないもの」を持った人たちが同意できるような物語を作りたいと考えている……それを聞いてぼくも非常に共感しました。それが『2202』の加藤の家族に集約されています。今言えるのはそこまで(笑)。

──あと、先ほどズォーダーへの思い入れも語っていただきましたが、第三章ではいよいよそれが強く反映されているのも見どころかと思います。

岡:福井さんはやはり「福井晴敏」という作家ですから、何か“テーマ”を探り当てないことには動き出さないところがあると僕は感じてます。その作家としての嗅覚が『さらば』をベースとした物語にはピクッと反応したようなんですね。

「愛」という言葉についてもう一度、正面から向き合って考え直す物語を作る。それが福井さんが選んだ「2202」の大きなテーマのひとつです。そのテーマの体現者としてズォーダーを指名し、「誰よりも愛を知る者」という新しい一面を託したわけです。

オリジナルのズォーダーしかご存じない方は戸惑われるかもしれませんが、3章以降、この新しいズォーダーが更に深く描かれていきます。

僕自身も個人的なプロットの段階で、古代進をあらためて主人公に戻すという過程で、ズォーダーとの対峙は必須だと考えていました。ここから先のズォーダーに注目してください。

もちろん、古代と雪の関係も第三章では大きな要素となっています。なんと言っても『純愛篇』ですから。あのふたりが、いったいどうなるかを劇場の大スクリーンで見届けていただければと思います。

[取材・文/大黒秀一 ]

作品情報
『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』第三章 純愛篇

劇場上映
Blu-ray特別限定版 劇場先行販売&デジタルセル版配信
10月14日(土)同時スタート!

悪魔が告げる。
「おまえの愛を選べ」――

●上映館
2017年10月14日(土)より
全国25館にて劇場上映【3週間限定】

[東京]新宿ピカデリー/シネマサンシャイン池袋/MOVIX亀有/MOVIX昭島
[神奈川]横浜ブルク13/川崎チネチッタ/MOVIX橋本/TOHOシネマズ海老名 [千葉]MOVIX柏の葉
[埼玉]MOVIXさいたま/ユナイテッド・シネマわかば
[栃木]MOVIX宇都宮
[群馬]MOVIX伊勢崎
[静岡]MOVIX清水
[宮城]MOVIX仙台
[北海道]札幌シネマフロンティア
[大阪]なんばパークスシネマ/大阪ステーションシティシネマ
[京都]MOVIX京都
[兵庫]神戸国際松竹
[愛知]ミッドランドスクエアシネマ/MOVIX三好
[岡山]MOVIX倉敷
[広島]広島バルト11
[福岡]T・ジョイ博多

●『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』とは
アニメーションの歴史に輝く不朽の名作『宇宙戦艦ヤマト』をリメイクし、2012年から2014年に渡り、劇場上映から全国ネットでのTV放送で展開した傑作『宇宙戦艦ヤマト2199』。

そして2017年2月より、ヤマトファン待望の完全新作シリーズ『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』全七章が順次劇場上映中!!

監督は『宇宙戦艦ヤマト 復活篇 ディレクターズカット』にてアニメーションディレクターを担当した羽原信義氏、シリーズ構成に『機動戦士ガンダムUC(ユニコーン)』の福井晴敏氏を起用。音楽は引き続き、ヤマトの遺伝子を受け継ぐ宮川彬良氏が担当する。

モチーフとなるのは、日本全土を熱狂させた劇場用映画『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』。

その壮絶なる物語を、新たな解釈と装いで現代に甦らせる。この時代に語るべき「愛」の姿とは!?宇宙戦艦ヤマトが再び旅立つ――!!

<第三章「純愛篇」STORY> 
※第三章は第七話~第十話の計四話で構成されます。
第十一番惑星の岩塊に埋もれたヤマトの頭上に、おびただしい数のガトランティス増援艦隊が到着する。波動砲を封印した今のヤマトには為す術がない。逡巡の末に、古代が取った道とは――。

苦難の連続で追い詰められた古代を見かね、ヤマトに密航していた雪が姿を現したところで、事態が好転することはない。

必要に駆られ、惑星シュトラバーゼへと立ち寄ったヤマトを、二つの巨大な罠が襲う。ガミラスに革命を促さんとする反乱軍は、なぜヤマトを待ち構えていたかのようにシュトラバーゼを襲撃したのか。

その混乱の中、古代はアケーリアス文明の遺跡の中でガトランティスの意思を体現する男と対面を果たしていた。宇宙の真理として絶対的な“愛”を説く男は、「おまえの愛を示せ」と、古代に恐るべき選択を迫るのだが――!?。

●第三章「純愛篇」CAST
古代 進:小野大輔
森 雪:桑島法子
島 大介:鈴村健一
真田志郎:大塚芳忠
南部康雄:赤羽根健治
相原義一:國分和人
太田健二郎:千葉優輝
徳川彦左衛門:麦人
アナライザー:チョー
佐渡酒造:千葉 繁
西条未来:森谷里美
加藤三郎:細谷佳正
山本 玲:田中理恵
斉藤 始:東地宏樹
永倉志織:雨谷和砂
土方 竜:石塚運昇
藤堂平九郎:小島敏彦
ズォーダー:手塚秀彰
サーベラー:甲斐田裕子
ガイレーン:柴田秀勝
キーマン:神谷浩史
沖田十三:菅生隆之

●STAFF
製作総指揮:西﨑彰司
原作:西﨑義展
監督:羽原信義
シリーズ構成:福井晴敏
副監督:小林 誠
キャラクターデザイン:結城信輝
ゲストキャラクター・プロップデザイン:山岡信一
メカニカルデザイン:玉盛順一朗・石津泰志
美術監督:谷岡善王
色彩設計:福谷直樹
撮影監督:堀野大輔
編集:小野寺絵美
音楽:宮川彬良・宮川 泰
音響監督:吉田知弘
音響効果:西村睦弘
オリジナルサウンドエフェクト:柏原 満
CGディレクター:木村太一
アニメーション制作:XEBEC
製作:宇宙戦艦ヤマト2202製作委員会

>>http://yamato2202.net (「宇宙戦艦ヤマト2202」公式サイト)
>>https://twitter.com/new_yamato_2199 (「宇宙戦艦ヤマト2202」公式ツイッター(@new_yamato_2199))



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