「根性型から抜け出した」ChatWork流マネジメントとは?

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スムーズでタイムリーな情報共有ができる、ビジネスユースのチャットツール「チャットワーク」。世界205の国と地域で広まり、今や導入企業は12万7000社(2017年2月末日時点)超え。電子メールを凌ぐ勢いのコミュニケーションツールとして、注目度が高まっている。

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サービスを提供するChatWorkは、2年連続で「社員満足度日本一の会社」に選出されるなど、働きやすい企業としても知られている。その信条は、創業期に「社員が次々と辞める」という山本敏行代表取締役の苦い経験がもとになっているようだ。失敗から得た学びは、ビジネスパーソンが教訓にしたいことでもある。

●感情的に怒鳴り散らし、メンバーが離れていった過去

根っからの体育会系であり、起業家気質だという山本氏は、2004年に会社を立ち上げて以降、睡眠3時間のモーレツ経営者ぶりを発揮。業績は上々だったものの、根性型のマネジメントが災いして、主力メンバーが離脱していったという。

「当時、僕は“永遠に”働き続けられたんで、『俺についてこられない社員が悪い』『こんな楽しいことをやめるなんてありえない』って思っていました。自分に問題があるとは全く考えず、完全に人のせいにしてましたね。でも、根性論では限界があると悟って、トップリーダーに学ばせていただこうと思い立ち、1年間で1000人の経営者に直接会ったり、講演会に出向いたりしたんです」

それまでは、部下に対して感情的に怒鳴ることもあったという山本氏。しかし、誰かの失敗の原因も、元をたどれば自分にあるのではないかと思考を転換。以来、自分のマネジメントスタイルが大きく変わったと振り返る。

「ある経営者の方に言われたのが、『原因自分論』。たとえば、メンバーに対して駄目だなと思ったとして、『何でこんな事やってんねん!』じゃなくて、『何でそんなことをさせてしまったんだろう』とか『何で教育しなかったんだろう』と、自分自身の過去の行動でどう防げたかっていうのを考える視点を持って行くというものでした。人のせいにするってすごくラクじゃないですか。『君が悪い』→『すみませんでした』、ハイ終わり、みたいな。でも、それで終わってもまた同じようなことが起きるんですよね。それって相手に対してはもちろん、未来の自分にとっても損失だと思うんです。だから未来の自分をラクにするためにも、いま苦労してでも部下をしっかり教育したり、やり方を教えたりすることは、いつも意識しています」

「原因自分論」はマネジメントだけでなく、自分自身が仕事と向き合ううえでも携えておきたい心構えだと山本氏は言う。

「スティーブ・ジョブズだって孫 正義だって、同じ24時間しか持っていない。それでも、あそこまで行く人は行く。才能や環境の違いを言い訳にしがちだけど、目標地点に到達できないのは自分のやり方が悪いのかもしれないと考えられるかどうか、その視点の変換がまずは大事なんだと思います」

●熱量は「踏ん張る力」につながる


人を動かすために根性論を封印し、「最新デバイス購入支援制度」「出産立ち会い制度」「椅子選択制度」などユニークな制度を次々と導入し、社員ファーストの仕組みも整えた。しかし、その一方で、内面には相変わらず熱いものを秘めている。特に、仕事に対して中途半端な姿勢で臨む者には手厳しい。

「仕事がつまらないからと、後ろ向きの姿勢で臨んでいる人っていますよね。人生の時間削って何してんの? その時間を僕にくれよって思います。つまらないんだったら、たとえば割り切って思いっきり稼ぐ方向にいけばええやん、と。もちろんリスクもあるけど、稼げる仕事はいくらでもありますから。いずれにせよ、せっかく与えてもらった人生を最大限生かせよ! って思うんですけどね」

仕事への姿勢を前向きに転換するための原動力は、お金に限らず何でもいい。熱源が何であれ、やるからには情熱をもって取り組んでほしいと山本氏。

「ビジネスコンテストの審査員として若い子のプレゼンを聞くときも、熱量みたいなものは重視しますね。スマートなプレゼンをする子はたくさんいるんです。でも、スタートアップで一番大事なのは、しんどい時に踏ん張れるかどうか。たとえば、この前『本物の和牛を世界の人に食べさせたい』ってプレゼンした女性がいて、所定の30秒を過ぎても熱くしゃべっているんです。聞けば焼肉屋の娘さんで、親の仕事を誇りに思っている。お父さんのやってきた仕事を守っていきたいと言うんです。実際に、アイルランドの和牛の工場に学びに行きたいと。その思いの強さは、ギリギリのところで頑張れる力になると感じました。ただ頭の良い子より、そういう子のほうがオモロイですよね」

(末吉陽子/やじろべえ)
(R25編集部)

※当記事は2017年03月20日に掲載されたものであり、掲載内容はその時点の情報です。時間の経過と共に情報が変化していることもあります。
※コラムの内容は、R25から一部抜粋したものです
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