「ポスト安倍」最後に笑う“首相の盟友”

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 “一強”政権の揺らぎを見て取るや不穏な動きを見せ始めた黒い影。日本を動かすパワーゲームを制し最後に笑うのは、“あの男”!?

 向かうところ敵なしだった安倍晋三首相に降って湧いた、森友学園問題。「国有地の不正払い下げ疑惑に留まらず、籠池泰典理事長の学歴詐称疑惑に、著名人らの氏名無断借用疑惑などなど、首相とは直接関係のないものも含め、日替わりで問題が噴出。完全に“疑惑のデパート”と化しています」(全国紙社会部記者)

 この炎上劇はここにきて、いよいよ刑事事件に発展する可能性が浮上してきた。「(小学校開設の)総事業費を国に23億8464万円と報告していた一方、学園が大阪府に提出した契約書には7億5600万円と記載。つまり、費用を実際の金額の3倍に水増して国交省から補助金を受け取っていたことになります」(前同)

 大阪府の松井一郎知事も、これを「補助金詐欺が事実なら刑事事件」と批判した。安倍首相にとって痛いのは、学園と首相周辺とのつながりが多数、指摘されていることだ。

 まず、昭恵夫人が、不正な用地取得が問題になった土地に建つはずだった「瑞穂の國記念小學院」の名誉校長に名を連ねていたこと。そして、2014年12月6日と15年9月5日の2回にわたって森友学園の幼稚園で講演を行い、そこに政府の職員が同行したことだ。「菅義偉官房長官は、あくまで昭恵さんは私人という認識を示していますが、政府の職員が同行している以上、だいぶ苦しいですね。これでは、学園と首相の“深いつながり”が勘ぐられて当然です」(野党議員)

 自由党の山本太郎参院議員が戦後最大の疑獄事件となったロッキード事件をもじって、この問題を「アッキード事件」と揶揄したことに、安倍首相が「極めて不愉快だ」と声を荒げたのも、危機感ゆえだと言える。「昭恵夫人が学園の広告塔としての役割を果たしているのは間違いない事実。首相には、より丁寧な説明が求められます」(政治評論家の角谷浩一氏)

 もちろん、だからといって安倍首相自身が土地の不正取得に関与していたとも言いきれない。ただし、政治家として、その責任を問われる事態にはなりかねないというのだ。

 ジャーナリストの須田慎一郎氏が、こう語る。「まず、この問題では、行政経験があって行政手続きに詳しく、かつ、国有地の払い下げから学校法人認可まで、すべて熟知している指南役がいると思います。そして問題は、その指南役が、どの政治家に話を持っていったのかということ。いずれ名前が出てくると思いますが、今現在、自民党の大物議員を含めて、2~3名が噂されています」

 これが本当なら、話は首相夫妻の個人的な思想信条の問題にはとどまらない。そこに金銭の授受があったと考えるのが当然で、ロッキード並みとは言わずとも、紛れもない大汚職事件だ。籠池理事長は金銭授与の事実を否定しているものの、理事長から頻繁に陳情を繰り返されていたという自民党の鴻池祥肇元防災担当相は、「封筒のようなものを渡されて、“無礼者っ!”と突き返した」と語っている。

「もし自民党議員が金をもらって不正取得を口利きしたことが明るみに出たら、当然、安倍首相の責任問題に発展。厳しい立場に追い込まれるでしょう」(政治評論家の有馬晴海氏)

 ズブズブの癒着関係というイメージが払拭できなければ、これまで安定的に40%台後半~50%以上の支持率を誇り、“一強”と呼ばれてきた政治基盤が揺らぎかねないのだ。「このまま行けば、秋以降に予定されている総選挙は“安倍で本当に勝てるのか”という空気が自民党内で強まる可能性があります」(前同)

 折しも、3月5日の自民党大会で総裁任期が「連続3期9年」に延長され、安倍首相が東京オリンピック後の2021年まで政権を担えるようになったばかり。「しかし、自民党内には、仮に今、総選挙を実施したら、現有勢力から30議席前後は失うだろうという見方が浮上しています。よって党内では、来年への解散延期も慌てて検討され始めました」(永田町の事情通)

 “一強”に揺らぎが生じたと見るや、すぐさま挽回策を練るあたり、さすがは戦後の長きにわたって政権を担い続けた自民党のしぶとさと言うべきか。そして、風が吹けばなんとやら。「ポスト安倍」へ向けた動きまでも、にわかに加速してきたのだ。「万一“安倍では次の選挙を戦えない”というところまできたときのため、別の“顔”を準備する必要があるからです」(前出の有馬氏)

 そして最近、ある大物の動きが、とみに活発化しているという。「しきりに自派の会合を開き、“きたるべき時”に備えているという話もあります」(前出の事情通)

 歴史上、政局あるところには必ず黒幕あり。今回の動きにも、煽動者がいるというのだ。「それが、意外や意外。首相の盟友のはずの麻生太郎副総理なんですよ」(同)

 なんと、安倍首相が全幅の信頼を置く麻生氏が、まさかの“安倍降ろし”の首謀者だというのか……。「森友学園問題で疑惑の焦点となっている近畿財務局を管掌する財務相でありながら、国会審議の際、野党から厳しい追及を受ける安倍首相の横で終始、にやけ顔でしたからね。もしや、“安倍がコケてくれれば、オレの出番もある”と見ているのかも」(夕刊紙記者)

 しかし、ある首相番記者は、これを言下に否定する。「麻生さんには、安倍政権を倒そうという意思はゼロですよ。先日、日米首脳会談のため渡米した際、2人で同じ政府専用機に乗り込むほど仲良しですからね」

 トランプ政権の要請で首相に同行した麻生氏だが、このとき、政府専用機とは別に、麻生氏が乗るための、貴賓室付きの予備機も用意されていた。が、麻生氏は、「オレは安倍と同じ機に乗る」と譲らなかったという。

「万一、事故でもあった際に2トップが共倒れになってはマズいので、危機管理上、通常は分乗が当たり前。しかし、制止する声にも“もしオレと安倍が死んだら菅(官房長官)の天下になるんだから、いいじゃねえか!”とうそぶいたとか。アレを見て、2人の蜜月を疑う者はいませんよ」(前同)

 では、麻生氏の活発な動きの狙いは何なのか? ある自民党の長老に聞くと、「ズバリ、大宏池会構想の実現だ」という。

 宏池会(岸田派)とは、麻生氏の祖父・吉田茂元首相の右腕だった池田勇人元首相が設立した、自民党最古の派閥。輩出した総理大臣を見ても、池田勇人、大平正芳、鈴木善幸、宮澤喜一ら、戦後日本の礎を築いた実務派がそろう名門だ。

 だが、故・加藤紘一元幹事長が会長の時代に、それを不服とする河野派(現在の麻生派の源流)が離脱。その後、加藤氏が森喜朗首相(当時)の不信任案に絡んで起こした“加藤の乱”で、さらに分裂。現在、その流れを汲む岸田派、麻生派、谷垣グループの3派に分かれている。

「2000年代に入ってからの自民党は、森-小泉-安倍(第1次)-福田と、8年の長きにわたって、以前は非主流派だった清和会(岸信介元首相の流れを汲む派閥。現在は細田派)に支配されてきました。宏池会結成60周年となる今年、旧宏池会の流れを汲む3派をもう一度大同団結させ、清和会と拮抗する勢力を築こうとしているんです」(全国紙政治部記者)

 清和会は小泉純一郎元首相によって隆盛を極め、現在でも所属議員99人を誇る。

 一方、結成時こそ15人の弱小派閥だった麻生派は、安倍政権下での麻生氏の権勢を反映し、みるみる膨張している。「最近では、金銭授受疑惑で大臣の職を辞したものの、自身と同じく安倍首相の盟友である甘利明前経済財政担当相ら5人を入会させました。結果、細田派(99人)、額賀派(55人)、岸田派(46人)に次ぐ党内第4派閥(45人)に躍り出たんです」(前同)

 さらに、麻生派の勢力拡大は止まらない。「今後、党副総裁である高村正彦氏を擁する山東派(旧大島派= 11人)や、ボスが自転車事故で不在になっている旧宏池会系の谷垣グループ(有隣会= 17人)を吸収合併する予定。これで、麻生派は党内第2派閥へと躍進します」(同)

 そこで、いよいよ本家・宏池会との合流の時がやって来るというわけだ。「そうなれば、清和会をも一気に抜き去り、100人超の巨大派閥が完成。党内で麻生氏にかなうものは、誰もいなくなるでしょう」(前出の永田町事情通)

 実際、他派閥には、この動きに対抗する力はない。「かつて自民党を牛耳った額賀派(平成研究会=旧経世会)は世代交代に失敗し、二階派も、ボスの二階俊博氏が高齢と幹事長の激務のため、お疲れ気味。甘利氏や平沢勝栄氏らが抜けた石原派はもはや死に体で、二階派への合流も囁かれます。“ポスト安倍”を目指す石破茂氏の石破派も、ボス同様“安倍一強”にのまれて、いまいち存在感が出ず、伸び悩んでいます」(前同)

 しかし、安倍首相に弓を引く考えがないのなら、なぜ、ここまであからさまに勢力を伸張させるのか? 「麻生氏は旧経世会が大嫌いですからね。そこで、自民党と民進党ではなく、清和会と大宏池会の“政権交代”、いわば安倍・麻生ラインで首相の座を回そうとしているんです」(前同)

 安倍(清和会)の次は麻生(宏池会)、次はまた安倍と、それぞれの息のかかった者を首相に就け、キングメーカーとして今後も日本を牛耳ろうというのだ。党内で「ポスト安倍」候補と目される人物は、目下のところ、4名。

「“岸破聖美”と呼ばれる、岸田派のボスである岸田文雄外相、石破茂前地方創生相(石破派)、野田聖子元総務会長(無派閥)と稲田朋美防衛相(細田派)です。稲田氏は安倍首相の秘蔵っ子でしたが、南スーダンへの自衛隊派遣の日報紛失問題や森友学園問題でボロを出し、“初の女性首相”への道が遠のきつつあります。石破、野田氏は、それぞれ総裁選で安倍首相に歯向かった2人ですから、このままだと、盟友・麻生氏に近い岸田氏に“次は任せる”という話になるのでは……」(有馬氏)

 清和会の安倍首相から、宏池会の岸田外相へ。路線は築かれつつあるという。できれば現在の逆風をうまく乗り切り、東京五輪をつつがなく終えてから岸田氏に禅譲。それが麻生氏の描く絵なのだ。しかし、「そう簡単に事が運ばない可能性もあります。2人の“邪魔者”が、麻生氏の自民党支配を阻みにくるでしょう」(前出の事情通)

 その一人が、宏池会の元会長、古賀誠元幹事長だ。「政界を引退していますが、なにせ本流の宏池会のボス・岸田氏の師。今も隠然たる影響力を誇っています。古賀氏の地盤は麻生氏と同じ九州ですが、政策は水と油で、関係的にも犬猿の仲。古賀氏がいる限り、岸田氏は麻生派との合併に首を縦に振りづらい。古賀氏を排除できるかどうかが、大宏池会構想のカギと言えるでしょう」(前同)

 さすがに、“本家乗っ取り”は一朝一夕にいくものではないというわけだ。さりとて、そう悠長にしてもいられない。それは麻生氏をはじめ、現リーダーたちが、どうしても勝てない相手“若さ”を持つ相手が迫っているからだ。

「それが、小泉進次郎農林部会長です。国民に圧倒的な人気を誇り、党内でも地道に経験を積んで風格も出てきている彼が“長老同士の談合に反対する!”と敢然と叫ぶ時が来たら……」(前出の政治部記者)

 実は、現在の自民党には、当選1~3回、年の頃では40代前半までの若手議員が150名以上いる。進次郎氏が40歳を迎える21年には完全に自民党の中心勢力となっており、そのとき81歳の麻生氏、67歳の安倍首相、64歳の岸田氏の思い通りになるとは限らない。

「安倍首相が来年秋に自民党総裁として3選されず、もしくは総選挙で敗れて退陣する可能性もありますが、仮に任期を全うするとしても、そのときには、さらに力をつけた進次郎氏が、再び父・純一郎氏のように“古い自民党をぶっ壊す”かもしれません」(前同)

 麻生氏の野望を打ち砕くのは、他派閥でも、野党でもなく、誰も抗えない“時”を味方につけた者たちなのかもしれない。

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  • 3/21 7:00
  • 日刊大衆

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