今夏で退任! 松坂大輔などを育てた横浜高・小倉清一郎コーチの豪快で緻密な野球人生を追う

 5月18日、横浜高校野球部コーチ、小倉清一郎氏(69歳)の今夏限りでの退任が明らかになった。高校野球の監督ではなく、コーチの退任がニュースに。それほど小倉コーチが果たして来た役割は大きい。小倉コーチのスゴさを高校球界に詳しい『週刊野球太郎』編集部に教えてもらった。

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 小倉氏は横浜高、東京農業大を経て社会人野球(三菱自動車川崎、河合楽器)でもプレーした経験を持つ。ポジションは捕手。横浜高での同期が、現在横浜高監督を務める渡辺元智氏だ。

 現役を引退した理由は、河合楽器時代に肝炎を患ったから。だが、肝炎になった経緯がすごい。当時、急激に太り始め70キロを超えてしまった小倉氏は、監督から5キロの減量を言い渡される。グラウンドまで往復26キロを毎日走るなど懸命な努力を見せた小倉氏だったが、疲れて水分補給をするときはグラウンドにまく水を飲んでいた。この水、実は工業用水。小倉氏自身は「塩分が入っていておいしかった」と後に述べているものの、この工業用水を飲みまくったことで肝炎を患ってしまったといわれている。

 そこから小倉氏の指導者人生が始まった。東海大一高(現・東海大翔洋高)、横浜高、横浜商高などでコーチ、監督を歴任。その後、横浜高野球部部長を務め、渡辺元智監督とともに春・夏あわせて3度の全国制覇を成し遂げた。2010年3月に定年を迎え、部長を退き(後任には平田徹氏)、コーチとして指導は続いた。

 なかでも小倉氏の手腕として高く評価されているのは、選手の「発掘・育成能力」と相手チームを徹底的に丸裸にしてしまう「分析能力」だ。

 「発掘・育成能力」では、1998年に春夏連覇を達成した時のエースである松坂大輔(メッツ)のほか、成瀬善久、涌井秀章(ともにロッテ)、荒波翔、石川雄洋、筒香嘉智(以上DeNA)ら多くのプロ選手を育てたことで有名。松坂に関しては試合結果ではなく、中学1年生のときにブルペンで投げている姿を見てピーンときたという。

 小倉コーチの「分析能力」が光った試合は数えきれないが、近年では昨年夏の神奈川県大会準々決勝で、日本中が注目していた高校No.1左腕・松井裕樹(現・楽天)の球種を見破り、打ち崩したことだろう。相手チームを徹底分析したノートは「小倉ノート」、「小倉メモ」として全国の強豪校からも恐れられている。

 横浜高のコーチを退任したあとは全国各地で指導したい、という意向がある小倉氏。だがその前に、最後の夏を完全燃焼で終えることが最重要課題だ。先日行われた関東大会で、横浜高は公式戦では44年ぶりのコールド負けを喫するなどチーム再建が急務になっている。最後の夏、小倉氏の横浜高コーチとしての手腕に注目が集まるのは間違いない。

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