センバツ引き分け再試合列伝

拡大画像を見る

 熱戦が続くセンバツ高校野球。3月29日(土)の第2試合では桐生第一高(群馬)と広島新庄高(広島)の一戦は延長15回を戦ったものの、決着はつかず引き分け再試合となった。再試合は桐生第一高が4-0で勝利し、ベスト8に進出を決め、31日の第4試合にも登場した。

 延長戦が18回から15回までになったのは2000(平成17)年の第72回センバツから。15回に短縮されたのは、やはり選手の健康を考慮してのルール改正だった。今センバツでは延長15回制になってから、4度目の引き分け再試合になり、過去3度の引き分け再試合はそれぞれ、センバツ史に名を残す名勝負であった。プロ野球情報のみならず高校野球の情報にも詳しい、『週刊野球太郎』編集部に、過去3度の引き分け再試合について聞いてみた。

     *   *   *

◎2003(平成15)年・第75回大会
■準々決勝 東洋大姫路高(兵庫)2-2花咲徳栄高(埼玉)/延長15回
■再試合  東洋大姫路高(兵庫)6-5花咲徳栄高(埼玉)

 引き分けた最初の試合は東洋大姫路高のグエン・トラン・フォク・アンと、花咲徳栄高の福本真史が一歩も譲らず、無得点のまま延長戦へ突入。10回表に花咲徳栄高が待望の先取点を挙げれば、その裏に東洋大姫路高が追いつく展開。延長最終回の15回には花咲徳栄高が相手エラーで1点を奪うも、その裏の東洋大姫路高も2死三塁から内野ゴロエラーで同点。結局、2-2で引き分け延長再試合が決定。両投手とも投球数は200球を超えた。

 翌日の再試合は、前日の静かな試合とは一変し、シーソーゲームとなった。そして、土壇場の9回表、花咲徳栄高が同点に追いつき、史上初の「引き分け延長再試合も延長戦」に。決着は10回裏についた。無死から三塁打を打たれたのは、9回から登板した花咲徳栄高・福本。満塁策をとったが、最後はワイルドピッチで、三塁走者がサヨナラのホームイン。うずくまって号泣する福本を、花咲徳栄高ナインが抱きかかえて整列するシーンは、いまでも多くの高校野球ファンの胸に刻まれている。

◎2006(平成18)年・第78回大会
■2回戦 早稲田実業(東京)7-7関西高(岡山)/延長15回
■再試合 早稲田実業(東京)4-3関西高(岡山)

 まるで漫画のような試合だった。雨の中で始まった最初の試合は早実・斎藤佑樹(現日本ハム)と関西・中村将貴が先発。早実3点リードで迎えた9回裏がこの試合のハイライトだった。関西は無死満塁と斎藤を攻め、4番・安井一平の走者一掃となる三塁打で同点に追いつく。同点にされ、無死三塁という絶体絶命の斎藤。しかし、満塁策をとってから、魂を込めた熱投をみせ、ピッチャーゴロで併殺、そして三振と神懸かり的投球でピンチを脱した。結局、試合は7-7で引き分け、斎藤は15回完投、231球の熱投をみせた。

 翌日の再試合も劇的だった。3回から登板した斎藤は明らかに疲労が残る様子だったが、なんとか踏ん張り、5回には自ら本塁打を放つ。この姿は漫画『キャプテン』で満身創痍の体で本塁打を放ったイガラシを彷彿とさせた。

 さらに9回表、1点を追いかける早実は1死から出塁した走者を置き、船橋悠がライト前ヒット。その打球を関西の右翼手・熊代剛がまさかの後逸。打った船橋もホームインして早実が逆転。この場面でエラーを犯した熊代と漫画『ドカベン』で里中のけん制を外野で後逸した山岡がダブって見えた。

 9回裏、関西は2死満塁と斎藤を苦しめるも、最後は安井がキャッチャーフライを打ち上げゲームセット。2日間に渡る死闘は終わった。再試合の終了直後、甲子園にサイレンの音が響くなか、季節外れの雪が舞い散る……。と、もはやこの試合は「漫画かよ!」とツッコミを入れたくなる出来事が次々と起きた、思い出深い試合だった。

◎2008(平成20)年・第80回大会

■3回戦 平安高(京都)3-3鹿児島工高(鹿児島)/延長15回
■再試合 平安高(京都)1-0鹿児島工高(鹿児島)
※平安高=現龍谷大平安高

 最初の試合は多彩な変化球が持ち味の平安高の川口亮と、2回戦で11奪三振をマークした鹿児島工高の内村尚弘の投げ合いが注目を集めた。試合が動いたのは7回表、平安高が先行するも、鹿児島工高も7回裏にすぐさま追いつき、延長へ。延長10回にも点を取り合う、一進一退の攻防を展開。結局、15回を戦っても決着がつかず再試合が決まった。

 最初の試合で194球を投げ切った内村は、中1日空けて行われた再試合には登板せず右翼手として出場。不慣れなポジションのせいか、フライをグラブに当てながら落球。勝負を決する1点を献上するきっかけを与えてしまった。一方の平安高・川口は再試合で118球を投げ、鹿児島工高打線を6安打完封。両校のエース同士の、明暗のコントラストが残酷なまでに現れた試合だったといえるだろう。


※『週刊野球太郎』は、新シーズンを楽しむネタが満載。auスマートパス、Yahoo!プレミアム、ドコモSPモードでサービス中です。
『週刊野球太郎』ではセンバツ大特集中! 有力選手紹介、歴史に関する記事、バックネット裏の住人「ラガーさん」を密着取材とてんこ盛り!

関連リンク

  • 3/31 11:29
  • Scoopie News

スポンサーリンク

記事の無断転載を禁じます