インターネット選挙運動解禁で、政党の戦略はどう変わる?

 インターネット選挙運動の解禁に向けて4日、「ネット選挙ガイド2013 ~政党別ネット活用法~」がニコニコ生放送とUstreamで配信された。これは、全10政党の担当者が、自党のネット戦略について話すイベント。主催したのは、グリー株式会社、Twitter Japan株式会社、株式会社ドワンゴ、ヤフー株式会社、Ustream Asia株式会社、LINE株式会社というネット事業6社だ。ネット選挙に向けた共同企画の第1弾となっている。

 それでは、「注目政党」の主張を中心に見てみよう。

<自民党 平井卓也議員>
 2009年の野党転落以来、ネット上での情報発信に力を入れてきた。
すでにTwitter・Facebook・LINEといった各ツールは導入済みで、今後のネット選挙運動にあたっては3つの戦略を軸にしていく。
 1つ目は、「有権者の声を聞くこと」。ソーシャルリスニングと呼ばれる概念のもと、有権者の投稿から民意を分析して政策に反映する。全候補者にタブレット端末と「ダッシュボード」という独自の仕組みを配布しており、党側から日々の分析結果を伝える。
 2つ目はアプリの開発。現在、複数のSNSをまとめて閲覧するとともに、それに対するフィードバックが返せるアプリを開発中。同時に"前代未聞"のFacebookアプリの開発も進行している。
 3つ目は「電子書籍の出版」。電子書籍「あなたもできるインターネット選挙運動」を緊急出版し、ネット選挙運動の方法や法律的な内容などを有権者向けに解説する。
 とはいえ物を言うのは有権者との普段からの関係性なので、急につぶやきだしても運動の効果は見込めない。国民の声を聞く耳が大事なのではないか。

■自民党からは、09年から培った4年間の実績をもとに、党をあげて戦略を作っている自信が伺えた。

<民主党 大野元裕議員>
 党の役割は「セキュリティ」と「聞く姿勢」の2つ。他党との一番の違いは、党が候補者を支えるというスタンスを明確にして、議員・候補者と役割を分担したこと。
 「セキュリティ」面では、各議員・候補者にサーバーを提供する形でサイト運営を支援、サイバー攻撃等のリスクを防ぎ、候補者が安心して発信できる環境を整えている。
 「聞く姿勢」に関しては「ソーシャル・ネットワークボイス」という特設サイトを設置。一般の参加者と議員がテーマごとに、双方向で熟議を行える場をWeb上に設けた。この活動は全国各地に足を運んで有権者と意見を交換する「地域から歩く、聴く」プロジェクトとも連動している。
 また、広報活動の弱さを解消するために海江田代表がfacebookを、細野幹事長がTwitterを始めるなど、情報発信を強化している。

■昨年の衆議院選挙で野党に転落した民主党は、その経験も活かし徹底的に国民の声を聴く姿勢を示している。一方で、番組アンケートでは「参考になる」と回答した人は38.8%に留まるなど、ニコニコの視聴者からは厳しめの評価も。

<日本維新の会 浦野靖人議員>
 党としての予算に限りがある中でも、議員個人は、事務所公式のものと議員個人のものを使い分けるなど戦略的に立ち回っている。膨大な情報から、有用な情報をピックアップして届ける必要性を感じている。
 個人の取り組みとしては、橋下代表にTwitterを使うように進言した過去の経験を活かし、党内の各議員にネットや各種SNSの利用を進めている。

■政党や各国会議員より、橋下代表の存在感が強い感もある日本維新の会。党としての歴史が浅く戦略が固まっていない印象も一部受けたが、発言力の強い同代表を軸に盛り上がりを見せそうだ。

<公明党 遠山清彦議員>
 戦略に関して公明党のポイントは3つ。1つ目は同党のLINE公式アカウントの登録者数が他党を大きく上回る5万人超であるということ。
 2つ目は党公式アプリの「公明アプリ」。日本の政党初の公式アプリとして注目されており、すでに2万件以上のダウンロード数を記録した。
 3つ目は「リアルとの連動」。幅広い年齢層にアプローチしている機関紙「公明新聞」とWebコンテンツとの連携を進め、多くの人に情報を届けていく。
 告示日には、有権者側から多くの応援サイトが出てくると想定される。だからこそ政党公式サイトやブログでの発信が大事。コンパクトに、そして時々笑いもある形で情報発信を続けたい。

■ 公明党は、まずは支援者をしっかり固め、そこから他の党の支持者にも情報を広げていこうとする戦略が見えた。多くの登録者数をもつLINEの使い方に注目。

<みんなの党 三谷英弘議員>
 公式Twitterのフォロワー数が6万人と、政党の規模に比べて多いのが強み。
 インターネット上での存在感を活かし、一般党員に加えて「ネット党員」というライトな党員制度を設けており、党員向けメルマガで党三役のコメントや各議員のメディア出演情報等を配信している。
 週に1回「みん生」という生放送番組で、動画だからこそ伝わる各議員の姿を視聴者に配信している。また、過去には「みんなの公募」と題し、選挙の候補者を選定する過程をフルオープンで配信するなど従来にない取り組みを積極的に続けている。

■みんなの党の強みである、各議員のタレント力を活かすために党がサポートするスタンス。ネットでの発信力が強い各議員の力をまとめることができれば、党として強い力を引き出せそう。

 残る5党についても、ラジオや独自のSNSを活用したり、知名度の高い党首を活かしたりといった取り組みが出揃った。

 以上、ネット選挙解禁に向けて、候補者・政党が、ネットを有用なコミュニケーションツールとするために試行錯誤している様子をお伝えした。もちろん有権者にとっても情報の取捨選択や判断は必要になるが、投票の参考になる情報を得やすくなることは事実。この新たな状況を積極的に楽しみたい。

(NPO法人YouthCreate代表 原田謙介)

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